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コラム

勝手にホームページ診断 (3)  『トヨタ ヴォクシー/ノア』

自動車の販売・マーケティング活動におけるホームページの重要性は今後、更に高まっていくことが予想されます。

SE のキャリアを経て、現在は自動車好きの中小企業診断士、Web コンサルタントとして活躍する遠藤康浩が、その商品の持つ特徴や魅力が適切に消費者にコミュニケーションされているか、という視点から車種別のホームページを診断していくコーナーです。

【筆者紹介】
中小企業診断士。住商アビーム自動車総合研究所アドバイザー。(株)NTT-ATテクノコミュニケーションズでSEとして勤務後、経営コンサルタントとして独立開業。現在、中小企業向けホームページのコンサルティングを中心に活動。

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第3回 『トヨタ ヴォクシー/ノア』

【今回の診断ホームページ:トヨタ ヴォクシー/ノア】

ヴォクシー http://toyota.jp/voxy/
ノア    http://toyota.jp/noah/

概要:国内市場では、3列シート5ナンバーサイズのトールミニバンはBセグメントコンパクトに次ぐ主力商品となっている。新車販売台数が低迷する中、トヨタが力を入れているカテゴリーである。
保守的で安心感のあるデザインや、機能性を高めた多彩なシートアレンジ、トヨタお得意のインテリジェントパーキングアシスト(自動駐車機能)に加え、トヨタ初のバルブマチック(連続可変バルブリフト機構)搭載の新エンジンを搭載。走行性能と環境性能の両立を目指す。

ターゲット層:子供を持つ30~50代のファミリー層が中心。柔らかい雰囲気で温かい家庭をイメージさせ、母親を狙ったテイストのノアと、クールな雰囲気で男らしい父親をイメージさせ、父親を狙ったテイストのヴォクシー という先代と同じ二つのモデルで、保守的な購買層の囲い込みを狙う。

診断のポイント:

・国内市場では独走のトヨタにおいて、ライバルに負けている数少ない販売セグメント。不振の日産において同社トップの販売台数を誇るセレナに対抗することが求められている。
・ノア・ヴォクシーと2つの異なるテイストの車種を用意し、国内随一の販売力を持ってユーザーを囲い込むことができるか、注目である。
・今年秋にはホンダステップワゴンもマイナーチェンジが予定されており、今年、国内市場で最も熱い戦いが予想されるセグメントの一つである。

【同じ商品を違う売り方で】

言うまでもなく、ヴォクシーとノアは兄弟車である。極めて乱暴な言い方をしてしまえば、同じ商品であるが外見を変えただけということである。

かつてはトヨタに限らず、同じコンセプトの車を、デザインと車名だけ変えて販売していたケースが多くあった。その多くは販売店の系列ごとに名前を変えてあげる必要があるという、政治的な必要性から存在していたものである。しかし、販社の統合が進むにつれて、純粋な兄弟車はかつてほど見なくなった。

今回のヴォクシーとノアは、純粋な兄弟車であるが、かつての政治的な意図は薄れ、同じ商品を、見せ方を変えることによって、違ったターゲットに販売しようとする、マーケティングの意図が色濃く出ている。ホームページにも、その意図が明確に表現されている点は、好感が持てる。

【「オヤジ」のヴォクシー】

ヴォクシーのホームページを見て、これを買おうというユーザー像を私なりに勝手な想像してみたのだが、

・男の子(小学校低学年くらいか?)がいる家庭の
・仕事も頑張るが、趣味も頑張ってるお父さん
・将来、子供からは「お父さん」ではなく「オヤジ」と呼ばれたい

こんな結果になった。

これは布袋さん、反町さん、浅野さんと実際に子供をもつ三人のタレントから受けるイメージがかなり色濃く反映されていると思われる。

前回も、TV コマーシャルとの連動という話をしたが、自動車のホームページで CM に起用しているタレントを登場させるケースは、それほど多くない。TVコマーシャルのイメージを壊さずにホームページでプロモーションする確実な方法は、タレントをホームページにも起用することであろう。予算やら、事務所との交渉やら、色々難しい事情があることは察するが、やはり CM とホームページ両方にタレントさんが出ていると、消費者はイメージをつなげて見ることができる。

コストがかかるのは百も承知だが、ホームページと CM の一貫性という点で評価したい。

【「ママ」の存在感が際だつノア】

ヴォクシーは勝手な想像で「オヤジ」と呼ばれたいお父さん向けとしたが、ノアとヴォクシーを対比させると、各々のねらいが実によくわかる。

ノアは酒井法子さん、佐々木蔵之介さんを起用し、「家族の愛」を中心にアピールしている。

こちらも TVCM との一貫性が保たれており、違和感なく CM の延長としてホームページを見ることができる。

ノアの場合は (佐々木さんには失礼ですが・・・) 酒井さんの存在感が際だっており、やはりママが強い家庭向けの車なのだなというのがよく分かる。イメージ戦略として、兄弟車の PR 手法としてはお手本のようなサイトであると言える。

【中身の見せ方はもう少し工夫を】

ただ、ヴォクシーとノアのイメージがきっぱりと分かれるのはよく分かるのであるが、肝心な車の特徴をアピールする方法にもう少し工夫が欲しかった。お父さん向けの車であれば、お父さんが喜びそうな装備や機能を、お母さん向けの車であれば、お母さんが気にする燃費やアメニティ、子供向けの配慮などを前面に出すことによって、同じ商品でも見せ方を変えることは十分にできるはずである。

イメージ面は CM で、ホームページではそのイメージから具体的な機能や装備への落とし込みへという役割分担を考えると、機能や装備紹介が素っ気なく感じてしまう。

イメージ戦略のすばらしさとの落差がありすぎて、タレントさんのギャラで予算がここまで回らなかったのかな、と変な勘ぐりを入れてしまうほどである。

【カタログ欲しいんですけど・・・】

この記事を読んでいる方、ヴォクシーでもノアでも構わないのだが、カタログを請求しようとしてみて欲しい。(買う気のない人は実際に請求しないで下さいね)



いかがだったろうか?

パンフレット請求の仕方の正解は、

1:左のサイドバーから「クルマ選びサポート」をクリックして、「カタログ請求」を選択する方法
2:上部の「ご購入サポート」をクリックして、「カタログ請求」をクリックする方法

の2つのやり方があった。(それ以外もあるかも知れないが、私にはこの2つの方法しか目につかなかった。)

ちなみに1の方法であると、請求する車種名が予め表示されるが、2の方法では表示されない。

私自身は、正直これらの操作に煩雑さを感じました。

人間、気持ちが盛り上がって「よし!検討しよう!!」と思うのは一瞬である。すぐに理性が邪魔をして、「いや、まてよ」という気持ちが働くのが普通の人間ではないだろうか。

クルマのような高額商品であればなおさらである。

鉄と購買意欲は熱いうちに打て!という格言があるかどうかは知らないが、トップページの目立つところに「カタログ請求」ボタンをつけるだけで熱い購買意欲に到達できる確立はかなり高まるのではないだろうか。

今回のヴォクシーとノアに限らず、カタログ請求がしにくいページというのは、探すとけっこうあるものである。このようなちょっとした工夫をしているかしていないかで、「クルマを買ってもらう」というホームページの大きな目的が果たせるかどうかが決まってくる可能性がある。

ホームページ関係の仕事をしていると、実は細かいところで差が出ているという事例は数え切れないほどある。

カタログの請求数と販売台数に相関関係があるかどうか実証実験をしていないので、確かなことは言えないが、直感ではカタログ請求の箇所を直せば成果があがると考える。ぜひご検討いただきたいと思う。

無駄なカタログは送りたくないという意図があれば話は別ですが・・・

<遠藤 康浩>

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