本文へジャンプ

コラム

勝手にホームページ診断 (2)  『日産デュアリス』

自動車の販売・マーケティング活動におけるホームページの重要性は今後、更に高まっていくことが予想されます。

SE のキャリアを経て、現在は自動車好きの中小企業診断士、Web コンサルタントとして活躍する遠藤康浩が、その商品の持つ特徴や魅力が適切に消費者にコミュニケーションされているか、という視点から車種別のホームページを診断していくコーナーです。

【筆者紹介】
中小企業診断士。住商アビーム自動車総合研究所アドバイザー。(株)NTT-ATテクノコミュニケーションズでSEとして勤務後、経営コンサルタントとして独立開業。現在、中小企業向けホームページのコンサルティングを中心に活動。

……………………………………………………………………………………………

第2回 『日産デュアリス』

【今回の診断ホームページ:日産デュアリス】
http://www2.nissan.co.jp/DUALIS/J10/0705/index.html
※開くとサウンドが流れます。

概要:
日産の逆輸入版ミドルサイズクロスオーバー SUV。日欧市場をターゲットに、英国で生産される 2 リッタークラスのジャストサイズな SUV として投入。アウトドア路線イメージが強い X-trail に比べ、「パワードスーツ」のコンセプトに象徴されるような、ちょっと都会派的なイメージを追及している。

ターゲット層:
30~ 40 代の家庭を持つ男性。ファミリーカーの中心市場である C セグメントからの乗り換えを狙う。

診断のポイント:
最近、世界的に注目度が高いクロスオーバーセグメント。高い安全性、運転しやすいアイポイントと広い居住性という SUV の特徴と、燃費・乗り心地といったファミリーカーの要素を融合したモデル。ムラーノよりも二周り小さいジャストサイズ、200 万円前後という(ユーロ高の欧州からの逆輸入車としては)思い切ったプライシングで、販売拡大を狙う。期待通り、ファミリーカーからの乗り換えを進め、低迷する日産の国内販売の救世主となるのだろうか。

【TVCMとホームページの「流れ」】

走行中のクルマが突然、ロボット (日産では「パワードスーツ」とネーミングしている) に変身し、ビルの谷間を飛び跳ねていく印象的な CM で話題になっているデュアリス。ホームページは、CM のコンセプトと完全にリンクしたイメージの仕上がりになっている。

CM で興味を持たせ、Web に誘導し細かい情報を伝えるという、最近 TVCM でよく使われる手法が用いられている。最初にホームページを開くと、Flash のアニメーションが流れ、TVCM と同じようなクルマからパワードスーツへの「変身」が見ることができことや、パワードスーツに関する詳細な説明をクルマの説明よりも目立つように配置するなど、TVCM とのつながりという点では、一つの流れを感じさせる作りになっており、評価できる。

TVCM とホームページのコンセプトがあまりに乖離してしまっていて、せっかく TVCM で視聴者に訴求したコンセプトがまったく活かされていないケースをたまに見かける。

これでは、各々のメディアの効果が限定的になってしまい、十分な相乗効果は期待できないであろう。

デュアリスのホームページは、TVCMで

「あのパワードスーツってなんなんだ?」

という疑問を抱く (はずである)30 代から 40 代のいわゆる「ガンダム世代」を、TV からホームページに誘導した後、パワードスーツの説明→最終的にクルマの説明という流れになっている。

TV とホームページとの相乗効果が期待できる作りと言えるだろう。

【肝心のクルマの説明は・・・】

トップページのメニューの中に「街にパワードスーツが出現!」というコンテンツがあるので、ぜひ見ていただきたい。

日常生活の中で活躍するデュアリス (パワードスーツ) の動画を観ることができる。

ただし吹き出してしまう可能性があるので、周囲の状況を確認の上、観ていただきたい。

このようなコンテンツを楽しみつつ、肝心のデュアリスの情報を見ようと思うと・・・

正直な感想として、「パワードスーツ」のイメージと「デュアリス」の説明コンテンツが十分にリンクしていないと感じた。

パワードスーツが象徴しているものは「機動力」であるが、このクルマの特徴との説明という意味で言葉足らずになっているのではないか、つまりパワードスーツ→クルマへの落とし込みが、閲覧者任せになっている部分があると感じる。

これはコンテンツではなく、単に見せ方の問題だと思う。

よく見ていけば、サスペンションやボディサイズやエンジンなど、機動力を裏付ける特徴を理解することができるが、トップページではよく分からない。

そうすると、パワードスーツのイメージがなぜデュアリスのイメージにつながるのかということを、閲覧者は瞬時に理解することができないのではないだろうか。

かなり興味を持った人は自分で理解するよう努力するであろうが、そこそこ興味をもった人に購買意欲を抱かせるためにも、この点については改善の余地がありそうだ、

【「音」について】

このホームページを開くと、いきなり音楽が流れ始める。

デュアリスのホームページだけでなく、このような自動車のホームページは多い。

イメージを表現するという制作者の意図は十分にわかるのだが、閲覧者の立場に立った時、このやり方は正しいのか、疑問である。

このクルマのターゲットは 30 代から 40 代の男性、つまりサラリーマンが中心になる。

建前からいけば、職場での私的なホームページ閲覧は禁止されているはずなので、自宅・あるいは休憩時間中にみるはずである。よって突然音楽が流れ出しても不都合はないだろうという結論が導き出される。

でも、実際は業務時間中にちょっと・・・ということはあるはずである。

その時にいきなり音楽が鳴りだしたらどうであろうか。

不都合があってもそれは本人の責任なので仕方がないでしょう、というのは簡単であるが、彼らもお客様である。

職場での私的なホームページ閲覧を助長するという意味ではなく、音楽が鳴って困る環境にいる人もホームページを見るはずである。

本人の意思で音楽の ON ・ OFF を選ばせてあげることも重要なサービスではないだろうか。

【役割が明確なホームページ】

細かな指摘はしたが、全体的に役割が明確になっているホームページであるという点で好印象を持った。

TVCM とホームページとの連動が今後、ますます大切になっていくと思われる。もはやホームページは TVCM の補完ではなく、TVCM と組み合わせて、その相乗効果を発揮するための重要なパーツの一部になっている。

その点で、パワードスーツのイメージを前面に押し出した作りもよいのではないかと思う。

ちなみに、ある雑誌でパワードスーツを指して「ガンダムを連想させる」とあったが、ガンダム世代の我々が連想するのはおそらく「装甲騎兵ボトムズ」であったり「トランスフォーマー」であったりするのではないだろうか。

少なくともガンダム世代の一人である私はそうである。

<遠藤 康浩>

  • コラム
  • 業界アンケート
  • 書籍&レポート
メールマガジン

住商アビーム自動車総合研究所が発信する各種情報をご紹介します。当研究所のスタッフが日々移り変わる自動車業界を、経営と現場を結ぶ視点で紐解いた記事やコラム、等です。

無料配信申し込みはこちら
PDF メルマガ見本はこちら

News -プレスリリース・メディア対応 自動車業界ライブラリ

UPページの先頭へ