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コラム

今更聞けない財務用語シリーズ(9)『EVA』

日頃、新聞、雑誌、TV等で見かける財務用語の中でも、自動車業界にも関係が深いものを取り上げ、わかりやすく説明を行っていくコラムです。

第9回の今回は、EVAについてです。
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今回はEVA(Economic Value Added:経済付加価値)について解説していきた
い。

EVA とは、米国のコンサルティング会社であるスターンスチュワート社が商標登録している経営指標である。文字通り企業が生み出している経済付加価値を算出し、これを経営指標とすることで全てのステークホルダーを満足させ、企業の経営目標を一致させることを目的としたものである。

米国のコカコーラや GE を始め、日本でも HOYA、花王、オリックスなどがEVAに類似する指標を経営指標として取り入れている。

EVA が指す経済付加価値とは企業が税引後営業利益から資本コストを差し引いた絶対額を指す。前回の DCF、前々回の資本コストで解説した内容を思い出して頂ければ、この指標がステークホルダーを満足させた後の企業が生み出した価値を表していることがお解りになるだろう。税引後営業利益は売上高、売上原価、販管費での消費者、供給者、従業員、政府に対してサービスの対価を受け払いした後の価値を示し、資本コストは株主からの期待値である。つまり、経済付加価値とは全てのステークホルダーを満足させた後の価値を示した価値を示しているのである。

スターンスチュワート社は EVA の概念を以下のように説明している。
1.企業を巡るステークホルダーの順位を従業員→消費者→供給者→銀行→政府→株主と置いている。

2.ステークホルダーの最後尾にある株主のニーズを充たすことによって経営陣はその過程において全てのステークホルダーのニーズを充たしていけるはずである。

3.企業はステークホルダーのニーズを充たす為には、「4 つの M」の要素を統合する必要がある。「4 つの M」とは尺度(Measure)、経営システム(Management System)、動機付け(Motivation)、意識改革(Mindset)であり、企業の経営成果の尺度をステークホルダーの満足度と一致させ、資産効率を高める為に、経営システムを改善し、経営尺度と連動した人事評価制度によって社員を動機付け、意識改革を行うことが経営に求められる。

これは即ち以下を意味しているのである。
1.企業の目的、存在理由をステークホルダーのニーズをバランス良く満たすことだと再定義する。

2.企業目的の達成度即ちステークホルダーの満足度とバランスを測る尺度として EVA を導入する。

3.経営システムを EVA が最大化されるように作り直すと共に、業績評価体系もそれに沿ったもの(ストックオプション等)に作り変えて動機付ける。

4.最終的に企業を動かすのは、そこに働く人の意識であるから、上記 2.3.を通じて意識改革を促し、企業を作り変える。

EVA を採用している企業は商品や部門単位で EVA を計算し、EVA がマイナスとなる事業は行わないという方針を打ち出していることが多い。これは EVAを全社の単位ではなくより小さい組織や商品単位に落とし込むことでより動機付けや意識改革を推進していく目的があることが推測できる。

EVA を導入した企業にはマーケットで優良企業として認知されている企業が多いが、これは EVA を導入した結果なのであろうか。

おそらく、EVA の結果ではなく、EVA によって意識改革を進めた結果、優良企業になったものであろう。そういう意味では、EVA 経営は、いくつもある企業革新の方法論の一つに過ぎず、より合理的・効率的な企業革新の方法や尺度があるかもしれない。重要なことは、企業を革新する、強くする為に企業が誰の為に、何の為に存在するかを見直し、そこに至るために「尺度を設ける→経営システムを変える→動機付けを行う→意識を変える」という EVA のコンセプトを理解することである。

<篠崎 暁>

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