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コラム

今更聞けない財務用語シリーズ(3)『TOB』 

日頃、新聞、雑誌、TV等で見かける財務用語の中でも、自動車業界にも関係が深いものを取り上げ、わかりやすく説明を行っていくコラムです。

今回は、第3回は、TOBについての説明です。

第3回 『TOB』
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三井住友銀行と東京三菱銀行がUFJとの統合を巡り攻防戦を繰り広げており、この中で三井住友銀行がUFJの株式に対して敵対的TOBを行うのでは無いかという推測について報道されている。今回はこのTOBについて解説したい。

TOBは「Take Over Bid」の略であり、有価証券報告書提出会社の株式を買い集めようとする者が買い付け価額や買い付け期間を公告するなどの要件の下で、有価証券市場外で株式を買い集めることを言う。

自動車業界においても米ジョンソンコントロールズ(JCI)が東証2部の日産系自動車シートメーカー、池田物産を対象とした件やユニゾンインダストリアルパートナーズ(UIP)がキリウを対象とした件などがある。

昨今TOBの件数は増加しており、2003年で 52 件と過去最高の件数を記録している。この背景には 1990年以降企業再編に関する法律や税法が整備されたこと、持ち合いの解消が進み、浮動株が増加したことなどが挙げられる。

TOBは上場企業を現金で買収する為の手法であるが、通常の買収とは異なる点として売り手と買い手がTOBに同意していなくても要件さえ満たせばTOBができるという点が挙げられる。

上記を買い手と売り手が合意しているという意味で「友好的なTOB」と言い、買い手と売主が合意しないままTOBを行うことを「敵対的なTOB」と言う。

日本の自動車業界ではこの「敵対的なTOB」はまだ無いが、昨年 12月に日本初と言われる「敵対的なTOB」の事例が起こったので、この事例を以下、紹介したい。

1.概要
昨年 12月、米系投資ファンド「スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド」が東証2部のユシロ化学工業と毛織物染色大手のソトーに、日本初の本格的な敵対的TOBを仕掛けた。
800円台だったユシロ、ソトー株の買い付け価格を当初1,150円とした。
同ファンドは株価純資産倍率(PBR)が1倍を下回っている企業を買収し、数年後に価値を高め、再上場や売却することでキャピタルゲインを獲得することが目的だったと考えられる。

2.ユシロ化学工業とソトーの対応策

(1)ユシロ工業
1株当たりの配当を 14 円から 200 円に増配し対抗した。この結果、配当利益を目的とした買い注文が集まり、株価が大幅に上昇した。

(2)ソトー
ソトーの経営陣はNIFと組んでMBOを行い、ファンドより高値で買い付け価額を提示する一方で、1株当たりの配当を 17 円から 200円に大幅増額した。この結果、ユシロと同様株価が急上昇した。

3.結果
ユシロのケースでは早々に同ファンドがTOBを断念したが、ソトーについては熾烈な買収合戦となった。当初 1,150 円だった買い付け価額が、高配当などを見込み、株価が高騰したため、スティールの買い付けは1,550円にまでなった。しかし、最終的には増配もあり、株価が高騰したことから同ファンドは買収を断念した。

では、どのような企業が敵対的なTOBの対象になる傾向があるのだろうか。
上記のソトーとユシロは当初、株価を1株当たりの純資産で割った株価純資産倍率(PBR)が1倍を割っており、割安感があったように、安値が続いている株で、現金などの流動資産や内部留保が厚く、借入金の少ない企業が狙わる傾向にある。

通常はあまりTOBをされる脅威というのは感じないものだ。しかし、日本においても敵対的TOBが実施されるようになったのである。財務内容は良いものの資産の運用があまり得意ではなく株価が高くない企業は常にTOBの脅威にさらされる。株主から見て単に自己資本比率などの安定性が高いというだけではなく、常に成長や革新の為の投資やチャレンジを持続的に行っている魅力的な会社であり続け、適正な株価を維持することが公開・上場企業には求められている。

<篠崎 暁>

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