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コラム

自動車業界とXX業界 第12回『自動車業界とコンサルティング業界』

自動車業界と××業界を比較し、製品、業界間の関連性や類似点・相違点から自動車業界への示唆を探るこのコラム。弊社副社長の秋山喬とアビームコンサルティング経営戦略事業部マネージャー山田将生の共同執筆です。

第 12 回の今回は、「自動車業界とコンサルティング業界」です。

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【はじめに】

これまで 11 回にわたり、上記の趣旨に沿って様々な業界と自動車業界とを比較してきた本シリーズであるが、第 12 回となる今回でいよいよ完結となる。そして、今回は弊社、住商アビーム自動車総合研究所及び弊社親会社、アビームコンサルティングが属するコンサルティング業界と自動車業界との新たな関係の方向性を模索してみたいと思う。

コンサルティング業界といってもイメージがわかない、またコンサルティング会社がどんな機能を提供してくれるのかよく分からないという方もいらっしゃると思うので、まずそのあたりを説明し、その後、自動車業界で見られるコンサルティング的事例を踏まえ、今後のコンサルティング業界と自動車業界との新たな関係に触れたいと思う。

現在、世の中にはコンサルティングという言葉が氾濫している。

自動車業界においても、日産の中期経営計画立案に大手コンサルティングファームが参画したという記事が新聞に掲載されたり、新車ディーラーを専門とするコンサルタントが存在していたり、トヨタ式のカイゼンを指導するコンサルタントがいたりと様々な場面でコンサルティングという言葉を耳にする。

このようにいまやコンサルティングという言葉は幅広い意味、用途で使用されているが、広義に解釈した場合、コンサルティングはいくつかのスタイルに分類される。

まずは「パートナー型」というのが挙げられる。

これにはいわゆる戦略系、会計系といった大手のコンサルティングファームが主に該当するだろう。(いまや戦略系、会計系といった区分はそれほど意味をなさないが。)具体的な社名を挙げるとマッキンゼー、ボストンコンサルティング、アクセンチュア、そして弊社親会社であるアビームコンサルティングなどもこのスタイルに該当する。

これらの会社は顧客であるクライアントの相談相手、パートナーとなり、クライアントが抱えている課題に対して、共同で取り組んでいくというスタイルを取る。

扱う分野、課題は戦略~実行、財務~マーケティングまでと幅広く、業種も様々である。そして、過去の多様な事例を通じて普遍化、体系化した課題解決の技術、セオリーをクライアントに提供し、クライアントからは自社の情報を提供してもらいながら、共同で課題解決を目指すというものである。

このスタイルはクライアントをサポートする形で、幅広い課題に対応することが可能だが、それだけに、クライアントを指導し、課題に対して直接答えを指し示すという関わり方ではない。

そういう意味で、いわゆるコンサルタントのイメージと異なるかもしれないが、実際は課題がどこにあるか明確でなかったり、認識しているものとは別のより根本的な課題があったりするケースも多いので、事象、情報を整理、分析したりする課題発見機能がこのスタイルには必須のものとなる。

次に、「先生型」というスタイルも存在する。

このスタイルにおいては、コンサルタントはある特定の課題、分野を熟知していて、その課題、分野に関してはクライアントより圧倒的な知識、経験を有するため、先生のように指導を行い、課題の解決方法を提示する。

そしてこのスタイルの場合は、やはりコンサルタントの得意な分野、課題が特定されており、それ以外の分野の課題に対しては基本的に対応しないし、対応できないというケースが多い。

ディーラー専門のコンサルタントやカイゼンを指導するコンサルタントなどがこのスタイルに該当する。また税理士の先生やブログコンサルタントなどもこのスタイルといえるだろう。今や、様々な分野でこのスタイルのコンサルタントが存在している。

そして、もう一つは近年、増加している「ソリューションプロバイダー型」である。

これは、既存のソリューションプロバイダーがコンサルティングも始めた、というもので、既に何らかの目に見えるソリューションが用意してあり、そのソリューション近辺の課題であればコンサルティング機能を発揮し、最終的には自社のソリューション提供により課題を解決するというものである。

課題解決の落としどころが決まっているという意味では、上記の先生型とも似ているが、具体的な目に見えるソリューションを扱う点が異なる。

このスタイルには例えば、システムパッケージの導入コンサルティングや人材派遣会社が行う人材コンサルティング、コンサルティング営業などが該当するだろう。

このように今や、様々なコンサルティングの形が存在するが、元々、狭義の意味では、コンサルティングは利害関係のない第三者的立場ということが重要な要素の一つであった。

しかし、近年では、それに捉われない形のコンサルティングも増えてきている。例えば、コンサルティングの成果に対する成功報酬の仕組みや、課題を解決するために、自社のソリューションを提供するなどのケースはクライアントとのWIN-WINの関係を目指すものであり、そういう意味では、以前に比べてよりビジネスパートナー化の傾向が強まっているといえるだろう。

但し、様々なコンサルティングのスタイルがある中で、共通しているのは相手の課題解決を目指すという点であり、これこそがコンサルティング機能の本質ということができる。

そして、相手の課題解決がコンサルティングの本質だとすると、自動車業界においても、コンサルティングという名称こそ使われていないものの、コンサルティング的な事例というのは多く見受けられる。

例えば、自動車メーカーが系列部品メーカーの生産技術や生産管理を指導して、コスト低減をサポートし、それによる利益増加分を両者で分配するというのも一種のコンサルティング的な事例であるし、自動車メーカーが系列ディーラーの経営改善をサポートするというのもそれに類似した形である。

このように相手の抱えている課題を解決することでお互いに WIN-WIN の関係を目指す動きが自動車業界の場合、他業界に比べて多く見られるが、これは自動車のバリューチェーンが上流から下流まで密接に結びつき、それを構成するプレイヤー同士がいわば一心同体となっていることに大いに関連がある。自動車メーカーは部品メーカーから供給される部品なしには生産活動が成り立たないし、ディーラーは自動車という商品の唯一の販売窓口といえる。

ここで紹介したように、自動車業界内のプレイヤー自身がコンサルティング的機能を発揮し始め、トヨタなどはリクルートと合弁会社を設立し、実際に他業種に対してもコンサルティング活動を展開し始めている中で、既存のコンサルタント会社は今後、自動車業界に対し、どのような役割を担い、どのような機能を提供していったらよいのだろうか。

この場合、冒頭で紹介したスタイル別にアプローチ方法が異なるだろう。

まず、パートナー型の場合だが、現在、MBA で学ぶような経営理論は書籍等による紹介により、事業会社においても一般的に用いられるようになってきており、コンサルティング会社がパートナーとして認められるレベルは従来に比べて、格段に高くなってきているといえるだろう。目に見える効果、成果を重視する自動車業界においては、その傾向がより強い。

そういった状況の中では、コンサルティング会社には理論、セオリーを振り回すだけでなく、個別のケースに合わせて、実行可能な戦略、施策に落とし込む能力が求められることになる。その意味でパートナー型といえども自動車業界に関する一定の見識、知見を有していることが必要になるだろう。

また、先生型、ソリューションプロバイダー型の場合は、自動車業界がまだそれほどノウハウを有していない分野、課題に対していかに解決策、ソリューションを提供していくか、ということがポイントになる。現在で言えば、動き出したばかりのリサイクル分野などがこれに該当すると思われる。

翻って、弊社は上記のような問題意識を踏まえ、自動車業界唯一の相談窓口を目指している。基本的にはパートナー型のスタンスを取りつつも、業界動向、業界ニーズを踏まえて個別のソリューションを適宜、開発、提供していく予定である。何か困りごと等あれば気軽にご相談して頂きたい。

<山田 将生>

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