くるま解体新書 第10弾 『中国で生き残る(5)』

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第 10 弾は、中国自動車メーカーの調達戦略を 5 週に渡って紹介する。今回はその最終回にあたる。

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第 10 弾『中国で生き残る (5)』

(日刊工業新聞 2005年06月29日掲載記事)

中国自動車産業では、世界の自動車メーカーが中国系のメーカーと合弁で事業を立ち上げている。また民族系メーカーも数多く存在するなど、ほかの市場にない特殊性が、日系部品メーカーにとって、中国事業戦略を困難なものにしている。

今回のアンケートで自動車メーカーが今後、調達先をどう見直すのかと取引の増減を聞いたところ、日系だけでなく、外資系・中国系メーカーも中国系の部品メーカーからの調達を進めていくことが分かった。日系部品メーカーにとってこの動きは自動車メーカーの生産拡大によって販売増が期待されるものの、原価低減要求や地場の部品メーカーとの競争が一段と激しさを増すものと見られる。自動車メーカーに追随するかたちで中国に進出した日系部品メーカーも成功の保証はどこにもない。日系部品メーカーが中国で生き残るためには、自社の状況に照らし合わせて中国だけでなく日本やアジア全体での事業戦略を明確化することが必要である。

モジュール化など技術革新が進む傾向にある部品群に属するメーカーは、自社で生産していない部品については外部調達して組み立てなければならない。品質が高く、技術力がある優良部品メーカーとの提携が必要で、日系メーカーのみでの開発、調達体制にも限界がある。モジュール化の動向や環境・安全技術などのニーズに合わせて外資や日系部品メーカーとの系列を超えたアライアンスの実施や M & A によって競争力の強化を図ることも一案である。

日系自動車メーカーの中には中国からの輸出を目的とした生産を始めているところもある。外資系自動車メーカーを中心に、中国を世界における部品調達の中核拠点として取り込む戦略も進んでいる。日系部品メーカーの中には汎用品を中心に中国生産によるコスト競争力の強化を生かして、輸出目的の拠点を中国に移管するケースもある。

中国メーカーとの合弁事業が原則になっている海外の自動車メーカーは、取引相手や拠点も合弁との関係に左右されている。合弁相手の取引関係によって遠隔地から部品を調達するケースも少なくない。自動車メーカーは自国の部品メーカーを自社の周りに集結させる傾向が強い。

しかし、供給先の開拓と輸出を視野にいれた拠点構築も部品メーカーにとっては重要である。主な供給先との関係を強固なものとする一方、中国市場をターゲットにするのか。中国以外の生産拠点も考慮に入れて中国をアジア地域におけるサプライチェーンの核と位置付けた戦略も有用である。

日系部品メーカーが中国で成功するためには自動車メーカーに対して、付加価値のある製品を提供するパートナーとなることが重要である。そのためには技術力や製品の特徴を生かしながら自動車メーカーとの関係を構築していくことが望ましい。

<土方 三千代>