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コラム

志と行動・ご挨拶

【受け継ぐ者として】

日本における No.1 産業である自動車産業が世界でも No.1 になりつつある昨今だが、足元を見れば人口動態の変化や製品アーキテクチャにおける大きな転換、資源の枯渇や消費に伴う環境問題など、様々な困難に直面しつつある。

こうした外部環境の変化への対応は、過去における成功の要因であった「品質・生産性」での競争力の維持だけでは難しいことが予想される。

一昔前に Harvard Business School Press が発行した『イノベーションのジレンマ(クレイトン・クリステンセン著、翔泳社)』によれば、世界有数の優良企業は優れた経営を正しく行うが故に失敗する。

これらの企業は、顧客の意見に耳を傾け、顧客が求める製品を増産し、改良するために新技術に積極的に投資し、市場の動向を注意深く調査し、最も大きく収益率の高そうな領域に投資配分するからこそ、リーダーの地位を失う。

イノベーションは新たな規格や価値を自ら創り出す構想力のもとで初めて生まれる。どれだけ巨大な優良企業であっても、より大きな資産を、より大きく収益性の高い市場に特化していくだけでは、結果として、必然的に衰退へと向かう。

前任の加藤は前週のご挨拶で、なぜ自動車業界に「新陳代謝」や「新結合」などの「イノベーション」が求められるのかと言えば、第一に「脱皮できない蛇は死ぬ」からであり、第二に自動車は今や「日本の産業経済のプラットフォーム」になっているからである、と述べさせて戴いた。

栄枯盛衰は世の習いではあるが、日本におけるプラットフォーム産業である自動車から日本のイノベーションを開始しなければ、日本は「脱皮できない大蛇」と化してしまうか、蛇でなければ「茹で蛙」となってしまう。

このたび、2月 1日より住商アビームの代表を拝命した筆者は、こうした問題意識をも含めて前任者より志を受け継いで、微力ながらも業界の発展に少しでも貢献したいと考えている。

【志と行動】

志を持つことは大切だが、これを実現するための戦略と行動が伴わないと画餅となってしまう。住商アビームには「アクション重視」という考えが設立当初から存在するが、これは「志を持ち、戦略を立案する」ところまでは簡単であるものの、最後の行動が伴わないと何も実現されないからである。

そもそも 4年前に前任の加藤と共にこの「住商アビーム自動車総合研究所」を設立したこと自体が、コンサルティング会社と商社のコラボレーションにより「ベストプラクティス」と「事業の現場経験」を掛け合わせ、結果として自動車業界に関連して各種ご相談を戴くための知見の蓄積に至る、というアイデアを具現化する為のひとつの「行動」であったわけだ。

結果、業界の皆様からのご支援に基づき、複数企業様のコンサルティングを継続して実施するという、多忙な毎日を社員一同過ごしている。

しかし、今後の行動計画を立案するうえでは、常に不足するリソースに対して多数のご依頼の全てに応えようとすると、対応可能件数乃至は価値水準に限界が生じてしまう。

よって、これからはより直接的に「お客様が社会から預かられている経営資源(ヒト、モノ、カネの全て)を管理・保全するのみならず、最適に活用することに繋げる」形を、コンサルティングやその他仕組みを通じて模索していく。

預かった資産をしっかり管理・保全することは大切な行為であるが、管理することは目的ではなく手段である。本来の目的は預かった経営資源を最適に活用し、世のため人のためになることを創造・提供することにある。

某上場企業の専務取締役様から、「消費者ニーズを模索するだけでなく、新たな価値を創造出来れば、まだまだ国内市場も面白いマーケットである」とのご意見を頂戴した。

以下は筆著過去コラムからの引用であるが、正に「顧客の期待を上回る差別化」が大切で、これが即ち「イノベーションである」と考える。

『価値を生み出す経営とは(3)・差別化って?』

——————————-引用開始———————–

(顧客の期待を上回るモノ・サービスの提供)

差別化を行うときには顧客の期待を上回る差別化が重要である。これは、顧客に単純に質問して回答を得ることでは生み出せない。顧客はそこまでその商品やサービスに思い入れも無いし、仮に質問したとすれば帰ってくる答えは、「より美味しく、より品質の高いブランド品を、安く販売してください」と言うに決まっている。しかも、その通りのものを開発したとしてもコストが価格に合うわけがなく、実際に販売しても売れる保証は無い。
よって、真の差別化を行う為には、自社の強みを全面的に押し出していき、顧客がその商品やサービスに対して想像可能なレベルを飛び越えたモノを提供しなければならない。
誤解無きようお願いしたいのは、デザインが突飛なものや、性能が普通の人が考えるレベルを逸脱しているものを作り出せ、と言っているわけではない。顧客が、「このものが欲しいな」と思っているのであれば、それを上回る「喜びや満足感」を提供しなければ差別化とは言えない、ということが言いたいのである。

——————————-引用終了———————–

今後の住商アビームは、自動車業界におけるこうした「イノベーションの触媒」としての姿を、これまで以上に先鋭化させていく。

具体的には、これまで提供してきたヒトという経営資源を通じた「知識」でのお手伝いに加え、お客様が必要とするその他経営資源をネットワークを活用して調達したり、お客様としての価値提供のシーズに更に深く関与することで「新たな価値」を創造する作業を協働していくところまで手掛けていく。

こうした行動をお約束することを、新代表としての挨拶の言葉とさせて頂きたい。

2008年2月5日

<長谷川 博史>

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