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コラム

一時的なスクラップインセンティブの先を見据えた施策を思索

◆「エコカー減税」「最大25万円の新車購入補助」、セールス現場は悩みも国会での予算案可決・成立が前提となる為、セールスの現場ではPRに苦慮。

<2009年4月19日号掲載記事>
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【エコカー減税について】

エコカー減税策としてまとまった内容によれば、新車登録から 13年を超える自動車を廃車にして、2010年度燃費基準を満たすクルマに買い替える場合に 25万円、同軽自動車に買い替える場合は 12.5 万円、廃車は伴わないものの、同燃費基準を 15 %以上上回る低燃費車を購入する場合でも 10 万円、同軽自動車では 5 万円、の補助が受けられるとのことです。

これは、国会での予算可決・成立が前提となりますが、このエコカー減税には 2 つの狙いがあります。

【一つ目の狙い・需要喚起】

これは、供給過多に対する需要不足という現在の世界経済を考えるうえで、耐久消費財において一番高い層に位置づけられる自動車をもっと消費してもらう、という趣旨になります。なぜ自動車とエレクトロニクスだけが?という別産業セグメントの声も勿論妥当ではありますが、各国足並みを揃えつつある政治的な意味合いをも含めて、狙いは分かります。

因みに保有台数 79 百万台のうち、13年超の台数は 10 百万台。政府はこの母数を前提に、今年度で 1 百万台の乗り換えを目指しています。

車齢 13年超の車に乗っている人たちがこれまで買い替えを行っていない理由は必ずしも価格やエコだけではないはずですが、一定の期間が区切られて、その後は最大 25 万円価格が上がってしまう、という観点でいえば、来年度末に向けて駆け込みがあってもおかしくないでしょう。

また、メーカーによっては、独自のインセンティブプランを導入するところもあります。

例えば、現在クライスラーとの間での提携に注目されるフィアットの日本法人は、政府の「追加景気対策」と同様に最大 25 万円引きを実施するとのことなので、輸入車を中心に他社で追従する動きもあるかもしれません。

但し、年間 1 百万台の需要増実現可能性については、分かりません。1 百万台増加はパーセントにすると、08年 1-12月販売台数の 5 百万台に対して+20%です。

いわゆるスクラップインセンティブ制度で先行するドイツの 2月における前年同月比台数増加率が 20 %とのことなので、この勢いが 1年間続く前提の増加率ということになります。

【二つ目の狙い・CO2 削減】

燃費の悪い中古車が減って、燃費の良い新車に替われば CO2 の排出量は 1 / 3 になるとの試算があります。しかし、フェアに考えればエコカーを製造する過程で発生する CO2 をも含めた総合計算で算出した CO2 量と、すでに製造は 13年前に終わっているものの、現在は相対的に多量の CO2 を排出する中古自動車との比較が必要でしょう。

筆者は必ずしも CO2 のみが地球を温暖化させている原因であると信じているわけではありませんが、有限な化石燃料を無尽蔵に費消することに立脚する経済・社会は明らかにサステイナブルでないとの考えから、代替燃料の模索と「低燃費」技術の開発は重要であると考えています。

よって、今回のスクラップインセンティブが化石燃料消費量という観点でもどういう効果を与えるかの計算も必要であると考えています(上記 CO2 排出量と同様のフェアな比較が必要)。

【自動車ビジネスのサービス業化・保有台数減少を先取りする施策】

CO2 削減、化石燃料消費量削減の一番シンプルな方法は、車そのものの数を減らすことです。

勿論、今回の政府による緊急景気対策という観点では、一つ目の狙いと相容れないため、これは施策としては取れない形です。

しかし、日本では既に自然ベースで自動車保有台数(車の絶対数)は減少傾向にありますし、これを先取りして更なる台数減少を加速させながら自社へとユーザーを囲い込む動きが、複数ユーザーで少数の車を共通利用してもらう、レンタカーやカーシェアリングといったものになります。

ただ、この場合でも車自体の数は(既存ユーザーが車を手放したとしても当該車両が廃車にならない限りは世の中に存在し続け、CO2 を排出するし、)レンタカー用車両やカーシェアリング用車両が増加します。

車両の数が全く増加しないという意味では、例えば以下の通り既存の個人が保有する車をシェアするという方法があるようです。

◆個人間で自動車を貸し借りするカーシェアリング「カフォレ」

ブラケットがサイトを運営する。事故などのトラブル対策として、ドライバーとなるボロワーには自動車を借りる前にドライバー保険会員への加入を義務化する。 一方のレンダーには、保険会社と開発した独自の補償プログラムを用意しており、1事故の補償限度額に応じて月額負担 1050円、2100円、3150円から選択できる。初年度目標は成約数12000件としている。

個人間で車を貸し借りするに当たり、保険適用についてはプログラムを開発済みのようですが、一番大きいのが個人同士でどこで会って、貸し出しをして、帰ってくることをどう期待するかではないでしょうか。

その意味では、営業車や輸送用のバンなどを持っている法人間、乃至は法人vs 当該法人従業員を中心とした周辺住民との間のカーシェアリングの可能性はあるかもしれません。法人間であれば両者契約を結ぶ前提で、両者合計 10台所有していたものを、例えば 7台に減らすかわりに、基本時間ベースでシェアしたりすることは可能でしょう。

79 百万台の保有台数のうち、法人が所有している可能性の高い貨物車は約 20 %の 16 百万台となっています。

3年前の駐車違反取締り民営化の際に、同様の可能性について模索したコラムは以下の通りです。

『駐車違反取締り強化で法人カーシェアリング』

事業者としては、今期の一時的な需要増(の可能性)をしっかり享受しながらも、長い目で見た国内における保有減少時代を見据えた施策が必要になるということと思われます。

<長谷川 博史>

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