AYAの徒然草(11)  『お客様への正しい敬語の使い方』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

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第11回 『お客様への正しい敬語の使い方』

先日、「敬語を 5分類に」という記事が新聞に載っていました。これまでは、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の 3 つに分類してきた敬語を、より厳密な解釈を目指すために、「謙譲語」を「謙譲語Ⅰ」と「謙譲語Ⅱ(丁重語)」の 2つに、「丁寧語」を「丁寧語」と「美化語」の 2 つに分け、トータル 5分類にしようという案が文化審議会で出ているそうです。

従来の「謙譲語」は、「申し上げる」「伺う」など、へりくだって相手を立てる表現が「謙譲語Ⅰ」に、「参る」「申す」など、話す相手に対して自分の行為を丁重に述べるものが「謙譲語Ⅱ(丁重語)」に分類されるそうです。従来はこれらをひとくくりにしてきたけれど、性質の違いを理由に 2 つに分けるようです。
また、従来の「丁寧語」は、文章の語尾に「です・ます」をつける「丁寧語」と、「お酒」「お風呂」のように、ものごとを美化する「美化語」の 2 つに分けるそうです。
敬語の使い方って難しい上に、このように細分化されてしまうと、益々ややこしい言葉のようなイメージになってしまいますね。
でも、敬語はビジネスシーンでは必須ですよね。「敬語が使えないのは社会人として失格だ!」とも言われますよね。そんな敬語を、みなさんは完璧に使いこなしている自信がありますか?
私は、秘書を担当しているので、よく、敬語はバッチリ使いこなしているように思われるのですが、実は敬語を完璧に使いこなせる自信なんて全くありません。
敬語は難しいですし、それに間違った使い方をすると却って恥になるので、私は敢えて過剰な敬語は使わないようにしています。完全な敬語を使う代わりに、不完全な敬語でも、相手の方の立場や気持ちに「共感」を持ち、その「共感」を表現するようにしています。

例えば、お客様の中には、要領よく要件を伝えられない方もいらっしゃいます。そういう時に、お客様のおっしゃったことを繰り返すように、「○○がないとお困りになるのですね。」、「○○したいと考えていらっしゃるのですね。」と、相づちを打つようにしています。決して、「要するに、どういうことでしょうか?」と急かしたりせずに、「共感」を示すようにしているのです。また、お客様との会話時は、会話の一方通行にならないように注意することも大事だと思います。相手に伝えたいことが念頭にあると、どうしても、自分が伝えたいことを話すことに神経を集中しがちですよね。でも、私たちのようなコンサルティング会社の場合は、困って相談してこられるお客様が多いですし、しかも、実は自分の中に既に答えを持って相談してこられる方が多いんです。
そういう場合は、話を聞いてあげるだけで困りごとが解消することも多いので、相手の話を「共感」を持って聞いてあげることが大事だと言われます。
私個人も、お客様が言ったことに対して、どんな小さなことでも、絶対に否定しないように気を付けています。たとえ、相手が間違ったことを言っていたとしてもです。必ず、「共感」を示すようにしています。そんなことを言っても、相手が間違ったことを言っている場合、それを否定しないわけにもいきませんよね。そんな時は、「確かにそういう解釈もあります。でも、別の言い方をすると・・・」と、言い方を変える方法で、または、「おっしゃる通りですが、でも、もう少し付け加えるとしたら・・・」と、解釈を追加する方法で、「共感」しつつもさりげなく訂正し、正しい解釈を理解してもらうというワザもあります。

それから、どの業界にも、専門用語があると思います。私は長年、商社に勤めていたので、商社の専門用語は日常的に使っていて、自分でも気づかないうちに、一般用語との区別がつかなくなっている部分があったと思います。でも、商社に勤めていない人にとっては、商社の専門用語が頻出する会話は、まるで宇宙人の言葉のように、意味のわからない言葉の連発だと思います。上司や同僚との会話では、専門用語を使う方が話が早いので頻繁に使う方が効率的だと思いますが、お客様の前ではできるだけ使わないようにしています。
専門用語や難しい言葉で会話を進めることは、いつの間にか相手を話から置いてきぼりにしていることになりかねません。これは「共感」を示す態度ではありませんよね。それに、仕事のデキる人ほど、平易な言葉だけで難しいことを説明できると思うのです。

いくら敬語が完璧であったとしても、お客様に対する「共感」がなければ、本当の敬意にはならないし、逆に少々敬語がいい加減でも、「共感」を持って会話をすることの方が、本当の敬意なのではないかと思うのです。私の大先輩で、お客様との商談で、必ず、相手に同意してもらえる自信があるとおっしゃる方がいらっしゃいました。「僕が話して、商売が成り立たなかったことはない」とまで断言している彼に、その極意を聞いたところ、まさに、「相手を思いやる気持ちを持って話すことだ」とおっしゃっていました。
「思いやり」=「共感」だと私は解釈しています。相手に対する「共感」をきちんと示すことができれば、よっぽど筋の通らない話でない限り、同意してくれるものだそうです。特に、1対1での会話では、100 %当てはまるのだそうです。これが本当なら、1対1の会話時に、過剰なまでの敬語を使うことは、もしかすると、相手に対する敬意を欠くことと紙一重なことなのかもしれませんね。お客様への正しい敬意の示し方は、相手に「共感」を持ってそれを示すこと、そして、相手との心の距離を縮めることなのだと思います。

<佐藤 彩子>