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コラム

AYAの徒然草(32)  『日記のススメ』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。
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第32回 『日記のススメ』

私は、中学生の時、1 つ上の先輩と 1年間、交換日記をしていました。私は女子校に通っていたので、先輩と言っても同性の女性との交換日記です。(女性同士の交換日記は、今、考えると、ちょっと変ですね・・・。)先輩は、頭が良く、スポーツ万能、それでいて美人で、おまけに優しくて性格も良く、みんなの憧れの的でした。そんな、みんなの憧れの的である先輩と交換日記ができることは、私の自慢だったんです。

交換日記は、1冊の日記帳で、2 人で交互に日記を書きます。先輩の日記には、その日の出来事やその前の日に私が書いた日記についての感想が書いてあったり、また、効果的な勉強法など先輩ならではのアドバイスが書かれていたりするのです。だから私は、先輩から日記帳を受け取るのが楽しみでしょうがなかった記憶があります。今でもその先輩とは仲が良く、先日お会いした時も、当時の交換日記の話題が出て、懐かしい思い出に 2 人で浸っていました。

私が生涯、「日記」と言えるものを書いたのはそれきりです。正確に言うと、何度か日記を書き始めたことはあるのですが、いわゆる三日坊主で、せいぜい1週間しか持たず、新品に近い日記帳が家には何冊もある状態です。
そんな私が、なんであの時、交換日記は 1年も継続できたのか。1日おきとは言え、自分の身の周りの出来事や自分の考えを、まめに紙に記録することが苦だったはずなんです。その苦を楽しみに変えたのは、私が書いた日記を読み、その感想を述べてくれる人がいたことです。相手がいるので、単なる記録に留まらず、対話になっていたからなのです。当時は、E-Mail というような便利な連絡ツールはなかったので、アナログな「日記帳」そのものの受け渡しも発生し、それがまた、わくわくして楽しかったというのもあるかもしれません。
そもそも、「日記」とは、日々の出来事を記すものですよね。そして、それを残すことは、自分の歴史を残すことであり、後々、自分の成長を実感できるものにもなります。これが本来の「日記」の意義だと思います。
日本の文学史上の日記文学を見てみると、蜻蛉日記や紫式部日記、更級日記など、女性が書いた日記が日記文学の中では主流でした。これは、当時の律令制の思想が基盤となる儒教の影響があったようです。儒教の文芸観によると、公の文学と認められるものは、漢詩・漢文と和歌のみで、しかも、文芸とは社会的・政治的に有効性のあるものでなければならなかったようです。つまり、男性官人による、漢詩・漢文で書かれたものでなければならなかったのです。それに対し、儒教的な文芸観に捉われない女性たちは、仮名文字によって日記を書くことができ、自由な発想で、自由に自分の思想を表現できたんです。だから、女性が書く日記は、男性よりも自照性が発揮でき、女流日記文学が栄えたのです。
そして、時は流れ、文明は進化し、現代では老若男女を問わず、「ブログ」(日記風の簡易型ホームページ)や「SNS」(Social Networking Service)といった、人の目に触れる日記を簡単に書くことができるようになりました。というより、日記を人の目に触れさせることの方が主流になっているように思います。紙に記す「日記」を書いている人は、今や少ないと思います。

ブログや SNS は、自分の歴史や成長を自分自身で実感できるという日記本来の意義の他に、自分以外の、しかも不特定多数の人に対して、私たち一般人でも、意思を発信できる貴重な場にもなっています。その証拠に、ブログや SNSでは、個人的な行動の記録よりも、どちらかと言うと、世相や時事問題・専門的な話題に関しての独自の情報や見解を掲載するという形が主流となっています。また、SNS では、日記や独自の情報の公開範囲を選択でき、特定多数の人への開示もできるというような情報開示のコントロールもできますし、また一方では、「友達の友達はみな友達だ」的に、思わぬ人脈も広がる可能性もある人脈ツールにまで発展しているのです。

しかし、紙に記す日記でも、現代のブログや SNS のような日記でも、自分の頭の中で考えていることを言語化するということは共通です。自分の考えを言語化する時には、自分が考えていることをさらに深堀りしないと書けないものです。だから、日記を書くことは、自分の考えをまとめる良い訓練にもなると思うんです。
また、ブログや SNS のように自分の書いた文章が人の目に触れると思ったら、読み手に理解してもらうために分かりやすく書こうと努力をすると思います。自分以外の人に自分の考えを理解してもらおうとすることは、日記に限らず、人と人とのコミュニケーションの原点でもありますよね。だからこれは、日記を書くこと以外にも応用できると思うんです。

私にとって、このコラムもそうなんです。毎日書いているのではないので「日記」ではありませんが、私にとっての「週記」になっているような気がします。一週間に一度、自分が普段考えていることをまとめて言語化することは、決して簡単なことではありません。でも、私は、私がコラムで発信しているものよりもはるかに多くのものをもらっているような気がするんです。自分の考えや意見を発信することによって、まるで磁石で引き寄せているかのように、それに対する様々な意見・感想が読者の方から寄せられて来て、私にとってはそれがとても良い刺激と励みになっているんです。その刺激や励みのお陰で、相手がいて対話になっているような気がして、中学時代の交換日記のように継続できているのかもしれません。

何が原因かはっきりしないけどなんとなく焦燥感に駆られたり、また、不安になったりすることって誰にでもあると思います。仕事のことに限らずプライベートのことを含めて、なんだかわからないけど気分が晴れなかったりモヤモヤしたものがあったり。そんな時、「日記」を書き始めてみることをオススメします。いきなり毎日書く「日記」が無理だと思うなら、私のように「週記」から始めても良いと思いますし、「日記」を書き始めるなら、最初は 2~ 3 行の短い日記でも良いと思います。心のモヤモヤや不安の解決策は、天から降ってくるものではなく、自分で道を切り開いていかないと見えてこないものです。
「日記」を書くことは、自分の考えがまとまり、心のモヤモヤを解消するのに役立ち、その先の道を切り開くきっかけになると思いますよ。

<佐藤 彩子>

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