中国フラッシュニュース(3)『ルノー・東風汽車の立地はど… 

飛ぶ鳥を落とす勢いで成長している中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

第3回 『ルノー・東風汽車の立地はどこへ?』
——————————————————————————–

6月29日、仏自動車大手、ルノーは中国の東風汽車公司と中国に合弁自動車メーカーを設立すると発表した。

2006年からルノーの「メガーヌ」などの共同生産を開始し、年産30万台を目指すという。

しかし、この発表では生産工場の立地について一切触れていない。

「立地が発表できない」理由としては、少なくとも2つの問題がまだクリアされていないと理解すべきだろう。

1)国家発展改革委員会の最終審査がまだ終わっていない
ルノーのパートナーとなる東風汽車公司は、すでに中国ではPSA、ホンダとの合弁企業を持っいるほか、起亞(KIA)の合弁企業にも出資している。更なる合弁企業の設立計画は政府部門だけではなく、他の企業からも俄然と「雑音」が高まっている。一方、東風汽車にはこれだけの合弁企業を創設・維持するエネルギー・リソース(人材、経験、能力)が果たしてあるのかと疑問視する向きが多い。そのため、国家発展改革委員会も慎重にならざるを得ないのが一般的な見方である。

2)立地について
ルノー・東風汽車の合弁企業の立地候補は、湖北省、広州市、深せん市があげられている。

湖北省:
東風汽車の本拠地のある湖北省側が、ルノー・東風汽車の立地を切望しているが、ルノー側が強く難色を示しているため、可能性が薄いと言われている。湖北省はルノーにとって、大失敗したルノー三江プロジェクトがあり、正しく「傷心の地」とも言える。

広州:
もっとも有望視されている。広州には、ホンダ、日産、トヨタなど有力メーカーが立地している。広州に立地できれば、日産と車台の共用や部品共同購買などの利点がある。

深せん:
広州まで僅か1時間半の距離である。可能性が薄いものの、深せん側が熱心に誘致活動を繰り広げている。

ルノー・東風汽車の合弁事業はまだ紆余曲折がありそうである。

<張 浩群>