中国フラッシュニュース(23)『汽車帝国への野望』 

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

第23回『汽車帝国への野望』
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多くの中国自動車関係者にとって、2004年はほろ苦い一年となった。2002年、2003年と、2年連続で急成長を続けた中国自動車市場は、2004年に入ってから、一気に冷え込んだからである。

そんな状況の中、上海汽車及び上海汽車を率いる胡茂元総裁の一連の積極策は大きな注目を集めた。上海汽車は、2020年までに、生産台数 400 万台、世界第六位の自動車メーカーに発展する長期計画を打出している。

上海汽車は、既に上海 GM、上海 VW によって、中国自動車市場の約 3 割を占めており、乗用車トップの地位を確固たるものとしている。しかし、外資との合弁会社に依存するだけでなく、独自ブランド車の生産も目指しており、その生産会社として「上海汽車股分有限公司」を改組・設立した。

胡茂元総裁によると、更なる飛躍を目指すために、「外力」(外部の力)を得ることが不可欠と判断しているという。そのため、念願となる独自ブランド車の開発に向けて、上海汽車は、資金、技術の両面から着々と準備を進めてい
る。

まず、資金面では、IPO により、20 億ドルの資金調達を計画している。そして、技術面においては、韓国の双竜自動車を買収したのに続き、イギリスの MG ROVER を実質的に買収した。更に、戦略的に GM との戦略的連携も強めている。GM を通じ、韓国大宇自動車の株式を 10 %取得した。また、上海 GM を通じ、大宇自動車の山東省にある自動車事業、瀋陽にある GM の子会社も傘下におさめた。さらに、江西省南昌市にある GM グループのいすゞ自動車の持つ関連企業にも興味を示していると言われている。

上海汽車の広大な成長計画は着実に進んでいる。

<張 浩群>