中国フラッシュニュース(35)『戦国時代に突入したタイヤ市場』

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

第35回『戦国時代に突入したタイヤ市場』

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最近、中国のタイヤメーカー各社の業界団体である中国ゴム工業協会は、中央政府に「タイヤの新規生産ラインを認可しないように。」という要請を出した。既に生産過剰状態にある中国のタイヤ市場において、メーカー各社が厳しい消耗戦に陥っていることが、この背景にあると見られている。

2004年、中国の自動車用タイヤの市場規模は、生産量が 2 億本程度で、金額ベースでは 800 億元弱となっており、史上最高額を記録している。近年の中国におけるタイヤ生産量の急激の成長は、ほとんど外資企業によるものである。

1.ブリヂストン:
天津工場の拡張の他、無錫、瀋陽、恵州にそれぞれ工場建設を発表しており、年間生産能力を 500 万本に拡大する計画である。

2.GoodYear:
1 億 2 千万ドル増資し、年間生産能力を 200 万本から 525 万本に引き上げる。

3.韓国の錦湖:
南京に第二期工場を完成させ、年間 570 万本の新規生産能力を確保した。今後、年間生産能力を 30 百万本まで拡大を目指すという。

この他、日本の横浜ゴム、住友ゴムもそれぞれ工場建設を始めている。

しかし、2004年後半から、自動車市場の成長鈍化により、タイヤの在庫も急激に積み上げられており、タイヤ市場の楽観的雰囲気も一変した。より厳しくなる局面に対応するため、タイヤメーカーは「輸出」と「アフターマーケット」の二つの戦略に走り始めている。

1.輸出ドライブ
2004年のタイヤ輸出量は既に 70 百万本に達した模様であり、急激の輸出増加は、貿易摩擦を招かねないという警戒の声が出始めている。

2.アフターマーケットへのシフト
2004年の自動車保有台数は 27~ 28 百万台程度であり、今後、2015年までには、全国の自動車保有台数は 120 百万台に達すると予想されている。
当然アフターマーケットも拡大することになるが、これをめぐり、各メーカーは、なりふり構わず販売網の拡張を推し進めている。各メーカーの間で、代理店を引き抜くケースも後を絶たないという。

タイヤ市場も「戦国時代」に突入したと言える。

<張 浩群>