中国フラッシュニュース(72)『中国政府が自動車の輸出を後押し』

生産台数では既に第 3 位となり、販売台数でも今年には日本をも上回り、世界第 2 位になると見込まれる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

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第72回『中国政府が自動車の輸出を後押し』

2月下旬、中国商務省 WTO 司(局)は、中国の主要商用車メーカー及びメディアの代表を招き、「中国商用車及び部品輸出入関税シンポジウム」を開催した。

中国の商用車の輸出は昨年、宇通汽車は各種バスの輸出が6.3 億元に達し、前年比 10 倍の伸び率を見せていること、また、蘇州金龍、中国重型(大型)汽車などのメーカーの輸出台数も急増していることなどに代表されるように好調である。

これらの宇通汽車、蘇州金龍や中国重型汽車に代表される中国企業の商用車の輸出増加の裏には以下のような背景がある。

1)中国では、乗用車と比較し、トラック、バスなど商用車の歴史が長く、歴史の中で培われてきた技術集積や産業集積がある。

2)乗用車が「擦り合せ型製品」の代表選手と呼ばれるのに対し、トラック、バスなどの商用車は「組み合せ型製品」の要素が強い。エンジンなどのキーパーツでも必ずしも内製する必要は無く、国内外から調達できれば生産可能となる。

3)乗用車が資本集約型のライン生産であるのに対し、商用車の生産はまだ労働集約的な固定式または機能別のレイアウトを取ることが多い。大量の安価な労働力を投入できる中国企業にとって、外国のメーカーと比較し、コスト競争力がある。

「中国商用車及び部品輸出入関税シンポジウム」では完成車輸出を促進するため、様々な金融優遇措置、政策支援策を約束するなど中国政府が、中国メーカーの輸出志向を拡大させようと後押ししていることがうかがえる。

<張 浩群>