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コラム

道路交通法改正~違法駐車取締りを強化

(大阪府警「駐車監視員」に対して資格者証を交付)

大阪府警 来年 6月までに駐車違反の取締りが民間委託されるのに伴い、実際に業務を行う「駐車監視員」に対して資格者証を交付した。

<2005年08月06日号掲載記事>

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クルマを運転する方であれば誰でも一度くらいは止むを得ず「少しの間だけ」と路上駐車等の駐車違反行為をしたことがあると思う。が、来年 6月迄に施行される道路交通法の改正により、ちょっとクルマを止めて用事を済ますことも市街地では難しくなるかもしれない。

警視庁より既に発表されている通り、2005年 6月 9日に交付された道路交通法の改正により、来年 6月迄に違法駐車対策が強化される。本記事は大阪府警が今月 5日に早くも「駐車監視員」の資格を得た民間法人のうち、第一陣の 8名に資格証を交付したものである。大阪府警では 6、7月に計 6 回の講習が行われ 1523 人が合格済みであり、警備会社等の民間法人 5~ 8 業者と委託契約を結ぶ予定で(入札は 11月予定)、当初は約 250 人が実際に取締りを行う見通しである。尚、東京では 540 人が委託を受け同様に取締りにあたる予定。

【駐車監視員とは】

駐車監視員は各県警と委託契約を締結した民間法人の有資格者が指定の制服を着用し、デジタルカメラで違反車両を撮影し「確認標章」と呼ばれるシールを張り警察に連絡する。違反切符の処理はナンバー等を記録したデータをもとに警察官が行うこととなる。(改正道交法では、弁明通知書や納付命令書の発送など反則金関係事務も委託可能としているが、警察内部事務量とのバランスを見極め民間へ委託する予定としている。)

実際に業務を行う「駐車監視員」になる為には交通法規など計 14時間の講習を受け、筆記試験に合格(9 割以上の正答率が必要)して有資格者となる。

東京都内で行われた説明会には警備業者が約 600 社、ビル管理業者が約 100社、駐車場管理業者が約 30 社、公益法人が約 40 社などが参加する等、関心の高さが伺え、警察としても「何とか民間委託を成功させたい。そのためにも高い倫理観を持った本制度の良き理解者となってもらいたい」と呼び掛けた。

【今回の改正ポイント】

<必要となった背景>

「違法駐車は、交通渋滞や交通事故の原因となるほか、緊急時に緊急車両の通行の妨害になるなど、国民生活に悪影響をもたらしています。駐車違反の大半は、運転手が車両から離れていることから、違法駐車行為をした運転手を特定することが出来ず、運転手に対する責任追及が困難になっています。

こうした状況を踏まえ、今回の改正により、車両の運行を管理している使用者の責任が強化されました。

また、違法駐車の取締り事務の合理化を図る為、警察署長により、放置車両の確認や標章の取付けなどの取締り関係事務を民間法人に委託できることとされました。」

<改正の具体的なポイント>

【1】放置車両にかかわる使用者の責任が強化されます。

・車両を放置した運転者が特定できずその責任が追及できない場合は、放置車両の使用者(車検証に記載されている管理者)に対して放置違反金の納付が命じられます。

・放置違反金を滞納している人は、車検を受けることが出来ません。

・違法常習者に対しては、自動車の使用制限が行われます。

【2】違法駐車取締り関係事務を民間法人に委託することができます。

(出所:警視庁ホームページ)

上記【1】は違反行為に対する責任を明確にするものであり、【2】では実質取締りを強化するものである。現行の違法駐車の取締り方法は住民の日常生活に支障が出ることを考慮し、駐車違反車両を発見後タイヤにチョーク線を引き、ある程度の時間を経過した後に放置されている場合に違反切符を切っているが、改正施行後は駐車違反を発見し次第、即切符が切れるようになる。

上記の改正で短時間駐車を繰り返す悪質なケースや、継続的に駐車が繰り返されるエリアでの駐車の取締りを強化する一方で、同じ規制区域でも休日になると交通量が減少するエリアは禁止を解除する、公園の周囲など交通の妨げにならないエリアの禁止を全面解除する(地域住民には駐車禁止エリアを開示したガイドラインを作成)といった実情に合わない駐車規制は年内までに解除する方針である。

駐車違反に対しては「他にも停めているではないか」「停めていても道路事情に影響がないではないか」「レッカーまでしなくても」等と不平不満を感じるドライバーが少なくない実情に配慮し、取締りの明確性・公平性を確保する趣旨で全国一律で改正するものである。

また別の改正効果として税収の増加が挙げられる。減点及び罰金(普通車で1 万 5000~ 1 万 8000 円)の反則金について変更は無いが、2004年度の違法駐車の取締り発生件数は約 160 万件となっており、罰金を 15,000 円とすると税収は年間 240 億円となる。今回の民間委託によって駐車違反の取締り件数は倍増するとの見方であり、単純計算で反則金が 500 億近くとなり国庫収入は確実に増える見通しである。また、民間法人に委託することで退職した警察官の再雇用のルート確保も新たに期待出来るだろう。

【改正法の施策と実情のギャップ】

今回の道交法改正により、安易に路上駐車をする人が減少するかもしれない。しかしながら既存の駐車場が不足している限り、抜本的に駐車違反を減少させることは難しいだろう。そもそも市街地の駐車場の絶対数の不足は道交法の改正が発表される前から指摘されている問題である。

最近では REIT により投資マネーが不動産市場に流入しているため駐車場ビルの建設も進んでいるが、東京・大阪の時間貸し駐車場料金は 10~ 50% も上昇しており、状況はあまり好転しているとはいえないだろう。

また、新たな問題点として委託民間法人に対するモラル管理が必要となる。限定された職務権限しか持たない「駐車監視員」を収賄や恐喝したり、または癒着したりする可能性は否定出来ない。本当に警察の人手不足を補える存在となり得るのであろうか。

つまり改正道交法をより効果的にする為には社会的なバックアップが不可欠となってくることが見えてくる。以下にて違法駐車を“無くすため”の対応策をいくつか挙げてみたい。

1)新たな駐車場の確保によるキャパシティーの拡大
既存の地下施設(企業の倉庫・車庫等)の開放や電車の高架下の有効活用、法人の既存車庫の休日活用等で駐車場を新たに確保する。

2)特定エリアの使用台数を減らす、レンタカー、カーシェアリングの活用目的地の近くまでは公共の施設を利用し、利便性を高めるためレンタカー及びカーシェアリングのクルマを特定のエリアで活用する。

3)路上駐車を容認する新たな試み、地域社会と行政の連携
福井県の武生市、鯖江市では市街地の駐車場を確保出来ない商店街の要望を受け、県公安委員会が駐車規制を見直し地域限定で路上駐車を許可している。郊外型ショッピングセンターの出店を受け客足を奪われた地域商店街を救済する意味合いも強いが、消費者としては気軽にクルマを停められるだけでも商店街へ行くメリットを感じるであろう。

交通の安全が保たれることと商店街の自助努力が前提となるが、両市の実績から地域に駐車ルールを守る秩序が根付けば運用は可能との見解である。

【先ずは個々の意識を変えること】

以上の通り改正道交法を施行するのみでは、どれほどの違法駐車の削減効果を生むのか不透明である。しかしながら現実として違法駐車は道路交通法違反の 2 割を占めており、駐車車両が関与した交通事故の実態(以下のデータ)を見ても違法駐車を減らすことで事故を減らすことが出来ることは間違いない。

<駐車車両が関与した交通事故の実態>

駐車車両のため発見遅れ:     31%
駐車車両に衝突:         28%
駐車車両の直前直後から飛び出し: 21%
駐車車両のため進路変更:     20%

※駐車車両で人身事故が発生する時間帯は朝 8~ 10時と夕方 16~ 18時が一日で多く発生する時間帯である

(出所:警視庁による東京都内の違法駐車に関する平成 16年度のデータ)

実際に 04年の全国交通死亡事故死者数は 48年ぶりに 7500 人を下回り前年比でもマイナス 344 人の 7358 人であったが、事故件数は 6年連続の 100 万人突破と増加しているのである。この結果は死亡者の減少は安全技術の向上が背景にあり、人の安全意識は変わっていないと分析されている。

クルマは我々の生活にとって欠かせないものであるが、ドライバーのマナーが原因による交通事故の発生は未だに少なくなく、現実として違法駐車による通行の妨害が交通渋滞を引き起こし、人の飛出し事故等を誘発するのである。

路上駐車を容認する地域社会と行政の取り組みのように自らが動き、便利で安全なクルマ社会を形成していく行動が必要ではないだろうか。何はともあれ、先ずは一人一人が自己の都合で安易に路上駐車しないことが最も即効性のある削減効果を生む方法ではないかと改めて思う。

<大谷 信貴>

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