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コラム

人気車になる理由。その裏には積極的な開発投資がある

◆日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会、10ベストカーを発表

日本カー・オブ・ザ・イヤーの 1 次選考会が 31日、横浜赤レンガ倉庫広場で始まり、1日に 10台の「10 ベスト・カー」が選出された。8日に最終選考会が行われ、9日にはイヤー・カーが公表される。

<2005年11月01日号掲載記事>

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今年で 26年目を迎えた「2005-2006 日本カー・オブ・ザ・イヤー」は、従来の開場であったリゾナーレ小淵沢から横浜赤レンガ倉庫広場(10月 31日~ 11月 1日)、六本木ヒルズ(11月 3日~ 9日)に場所を移し、一連の選考過程を「カー・オブ・ザ・イヤー・ウィーク」と題し、イベント化を試みている。選考過程を公表することで話題性を集め、認知度をさらに高めることが狙いである。

選考は従来通り、自動車専門誌を中心に一般誌を含む 34 誌からなる実行委員会が、厳しい規定のもとに選出した有識者 60 名の選考委員によって行う。2004年 11月 1日~ 2005年 10月 31日までに国内で発売されたクルマの中のうち、ノミネートされた 45台(国内外の自動車メーカー 24 社)の中から、まず「10 ベスト・カー」を選出する。

☆今年の 10 ベスト・カーは以下のクルマが選出されている。
(ノミネート車エントリー No.順)

トヨタ:レクサス GS、日産:ノート、
ホンダ:シビック・シビックハイブリッド、マツダ:ロードスター、
三菱:アウトランダー、スズキ:スイフト、メルセデス・ベンツ:A クラス、
BMW:3 シリーズ、プジョー:407、シトロエン:C4

以上 10台のクルマから選考委員会が、クルマの性能・品質・安全性、搭載されている新技術、デザインやコストパフォーマンスなどを審査して、イヤー・カー 1台と特別賞 3台を決定する。(尚、04年度からはイヤー・カーが国産車である場合、輸入車の中で最も高得点であるクルマにインポート・カー・オブ・ザ・イヤー賞が与えられることになっている。)

この栄誉は、対象期間内に国内で発売された乗用車で年間の販売台数が年間500台以上見込まれること、選考委員が事前にテストドライブ等チェック出来ること、当年の年末まで購入できることの 3 点を条件としており、基本的に何れのクルマにも栄誉に輝くチャンスがある。

選考基準も販売台数の実績、最新の技術機構の搭載等の理由で決定しないものであり、幅広い意見を出来るだけ汲み取り、公平公正に選出される栄誉ある賞なのである。

自動車メーカーにとっても、最も優秀なクルマ=イヤー・カーを受賞できることは、広告宣伝等で活用する権利が与えられる為(各タイトル受賞車は全て権利を得る)、販売促進活動に弾みがつくことから有益である。

今年の 10 ベスト・カーの傾向を見ると、プレミアムセダンが 2 車種(レクサス GS、BMW3 シリーズ)、ミドルクラスが 3 車種(シビック、プジョー 407、シトロエン C4)、コンパクトカーが 3 車種(ノート、スイフト、メルセデス・ベンツ A クラス)となっている。

参考までだが、各自動車メーカーが商品発売時に発表した各車種の特徴を纏めると、「ドライビング性能の充実」と「燃費経済性」の 2 点を共通項として挙げることが出来る。

【過去10年間の受賞実績】

今年で 26 回目を迎える日本カー・オブ・ザ・イヤーであるが、直近の過去10年間の実績データで受賞の傾向を纏めてみたい。

各年度のイヤー・カー受賞車種は以下の通りである。

2004年度  ホンダ: レジェンド
2003年度  スバル: レガシィ
2002年度  ホンダ: アコード・アコードワゴン
2001年度  ホンダ: フィット
2000年度  ホンダ: シビック・シビックフェリオ・ストリーム
1999年度  トヨタ: ヴィッツ・プラッツ・ファンカーゴ
1998年度  トヨタ: アルテッツァ
1997年度  トヨタ: プリウス
1996年度  三菱:  ギャラン・レグナム
1995年度  ホンダ: シビック・シビックフェリオ

特別賞の受賞車種も含め、詳細についてはカー・オブ・ザ・イヤー事務局のホームページに掲載されている。
http://www.jcoty.org/index.html

驚くべきことにホンダが 10 回中 5 回でイヤー・カーの栄誉に輝いており、販売台数首位のトヨタ( 受賞 3 回)を上回る結果を残している。

次に過去 10年間の受賞車種をカー・オブ・ザ・イヤー 5 点、特別賞 3 点、ノミネート 1 点という条件を付けて集計し、各メーカーを順位付けすると以下の結果となった。(上位 5 社)

1 位 ホンダ(48 点)、2 位 トヨタ(40 点)、3 位 日産(23 点)、
4 位 三菱(19 点)、5 位 マツダ(17 点)

上記結果からすると国内自動車メーカービック 3 が上位を占めており、各自動車メーカーの売上高、販売台数等とほぼ同様な順位になっているといえる。

しかしながら、得点で見ると 2 位トヨタと 3 位日産で大きく点が離されており、実質的にホンダとトヨタが世の中に魅力的なクルマをより多く送り出している自動車メーカーということになる。

【受賞回数と研究開発費投資の関係】

次に上記の結果となった背景について考察したい。各自動車メーカーの 2004年度連結業績から各社の研究開発費投資比率(R&D 比率:研究開発費÷売上高)を割り出し、各社が新車や新技術の開発にどれだけ投資しているのかを比較する。

1 位 ホンダ(5.4%)、2 位 日産(4.6%)、3 位 トヨタ(4.1%)、
4 位 富士重工・スズキ(共に 3.7%)、6 位 マツダ・ダイハツ
(共に 3.4%)、 8 位 三菱(3.2%)

上記の結果からホンダが唯一 5% を超えており、自動車メーカーの中で最も研究開発に投資を行っていることが分かる。(尚、2003年度の順位でもホンダのみが 5% 超となっている。)

決してお金をかければ良いということではないが、入賞実績から見てもホンダは革新的で魅力的なクルマを生み出しやすい環境にある自動車メーカーであると言えるのではないだろうか。

尚、ホンダは世界の自動車業界で期待を集めるハイブリッド車種でも独自開発のシビックを今年度から市場へ投入しており(今年の 10 ベスト・カーに入賞)、先を走るトヨタとの今後の勢力競争にも注目したい。

【日本カー・オブ・ザ・イヤーがもたらすもの】

上記の結果から、上位入賞を重ねる自動車メーカーは相当の研究開発費を継続的に投資しており、その成果の 1 つが「日本カー・オブ・ザ・イヤー」という形になって現れているということになるのではないだろうか。

しかしながら個人の嗜好が多種多様化している現在では賞を受賞することが個人の購入意思を決定付けるキーファクターにならないだろう。あくまで受賞の目的としている

「その開発・製造事業者を称えることにより、一層の性能・品質・安全の向上を促すと共に業界発展と地球環境保護、交通安全に寄与する。」

の範囲に留まってしまう可能性は否定できないと思われる。

今後、日本カー・オブ・ザ・イヤーが形骸化しないためにも、消費者マインドを汲みいれるのも必要ではなかろうか。今週にも今年度のイヤー・カーが決定する予定であるが、過去からの傾向からすると、レクサス GS かシビック /シビックハイブリッドが栄誉に輝く可能性が高いということになる。果たして結果がどうなるか、楽しみである。

<大谷 信貴>

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