本文へジャンプ

コラム

翼システム、自動車部品・用品の流通システム、エンドユー…

◆翼システム、自動車部品・用品の流通システム、エンドユーザーも利用可能に
インターネットを利用したマーケット「パーツ・デ・ドットコム」

<2004年04月30日号掲載記事>
——————————————————————————–

翼システムは、1983年に設立された中小企業向を対象とした業務用パッケージソフトウェアハウスであり、大手商社の子会社で自動車関連ビジネスを担当していた道川氏らが独立して作ったベンチャー企業である。

これまでの翼システムが提供してきたパッケージソフトウェアは次のような製品群である。

(1)パーツマン
自動車類別型式データベースを基に開発された自動車部品商向けのパッケージソフトウェア。自動車部品検索、伝票発行、在庫管理を行うバックエンドシステムである。全国の地域部品商の多くが、このパーツマンを導入している。

(2)スーパーフロントマン
自動車部品商の取引先である自動車整備工場、鈑金整備工場向けのパッケージソフトウェア。3タイプの自動見積作成対応。部品情報検索、整備情報検索が可能で経営効率、業務効率化に寄与。累計で5万台の出荷実績。

(3)スーパーフロントマンBKパーフェクト
自動車鈑金工場向けの鈑金修理自動見積作成対応パッケージソフトウェア。事故損傷情報を入力するだけで復元作業工程の選択と必要部品の選択まで行う。
概算修理見積作成、損保会社への提出書類、修理証明書までカバーしている

(4)ガラス商システム、電装整備業システム
自動車ガラス(フロント、ドア、リア)部品商、及び電装部品整備工場向けのパッケージソフトウェア。

(5)その他のパッケージソフトウェア
機械工具、文房具、釣具、玩具、旅行代理店、工務店、携帯電話販売会社向けにフロントエンドからバックエンド業務まで効率化のパッケージソフトウェア

上記のように自動車部品関連事業のソフトウェア開発からスタートした翼システムは、その開発領域を異業種へと水平展開させた時期もあったが、1990年後半より自動車部品関連事業で培ったノウハウをさらに垂直に展開させることを優先させる戦略を取るようになっていく。

(6)ニュークイック(軽鈑金自動見積サービス)
車検制度の簡素化に伴うニューサービスの開始に対応した自動車整備工場、自動車鈑金工場向けパッケージソフトで、小傷修理専用ソフトこの(6)までが、パッケージソフトの展開であり、この頃から翼システムは次第に消費者までサービス対象を拡大していく戦略を志向していく。

(7)カーコンビニ倶楽部
ニュークイック導入店を主体に1999年より軽鈑金修理専門FCのカーコンビニ倶楽部の全国展開を開始。現在の店舗数3,000拠点。

(8)パーツステーション
2000年5月より運用開始した中古部品商、自動車整備工場向け中古部品共有在庫システム。SSグループを主体に40万点の在庫がネット登録されている。

(9)ヤマト車検
2003年より本格稼動。カーコンビニ倶楽部経営者が主体の車検FCチェーン。光速デジタル診断機器を用いた15分診断システムが最大の特徴。診断結果をもとに、ユーザーと相談しながら交換部品の要不要を決定し、納得して車検が受けられるようになっている。

これら(1)~(9)以外に自動車整備、車検サービスとは一線を画すものの、中古車売買の促進策として中古車雑誌の発刊、中古車ポータルサイト運営や車のリニューアル施工サービス/リニューアルカーの販売を行う全国ネットワークショップ事業であるリニューカーなどを消費者向けに展開している。

このように翼システムは、自動車部品関連業界を主体にニッチ市場をより深耕する戦略で競合他社に付け入る隙を与えず、強固な収益基盤を構築しているのである。

今回の記事で取り上げられている自動車用部品のeコマース「パーツ・デ・ドットコム」も上記で述べたニッチ市場戦略に即したものである。

「パーツ・デ・ドットコム」の概要は次の通りである。

(1)仕組み
2004年4月30日から一般消費者向けに利用可能となったeコマースサイトであり、ブラウザからユーザー登録後、自宅からアクセスできるもので、自動車用品在庫を自由に検索、購入できるシステムとなっている。 下記に示したA、Bのパッケージでは、店舗内でユーザーが自由に自動車用部品の検索が可能な店舗用ブラウザが用意されている。共有在庫から即座に在庫確認が可能なため、パーツ・デ・ドットコム導入店は新品と中古品などを組み合わせることなどでユーザーの予算に合わせた提案ができ、商機の拡大につながるものと期待されている。
また、パーツ・デ・ドットコムで商品購入だけを希望するユーザーへ部品の取り付けを店舗に誘導することで工賃収入の拡大にも繋げることも可能となる。

(2)部品在庫点数
スタート時点での在庫点数は、新品・中古部用品1万点、本年度内には15万点にまで拡大する計画となっている。

(3)売上計画
翼システムでは利用者は、一般消費者を含み30万ユーザーを確保したいとしている。アクセスする消費者は無料で利用でき、事業者むけには、専用ソフト及びシステム利用料を課金することとしており、初年度4億円の売上を見込み取引総額30億円のネット流通規模と想定している。

(4)課金体系
自動車部用品を提供する販売事業者には、下記の3つのパッケージが用意されている。

Aパッケージ・・・仕入れと登録、販売が可能 18,000円/月(5年リース契約)
Bパッケージ・・・在庫から仕入れのみ可能   9,000円/月(5年リース契約)
Eパッケージ・・・在庫登録、販売のみ可能   9,000円/月(5年リース契約)

(5)代金決済
代金の支払はパーツステーションで運用している翼システム独自開発のファクタリングシステムが採用され、購入者、販売者ともに電子決済システムで手間を掛けることなく利用できるなど利便性に優れたものとなっている。

前述したように業務用パッケージソフト開発から、カーコンビニ倶楽部、ヤマト車検、リニューカー事業などFC展開を通して一般消費者向けサービスの拡大志向を続ける翼システムにとって、今回のパーツ・デ・ドットコムのユーザーへの開放も同一線上の戦略と理解すべきであろう。

パーツ・デ・ドットコムで販売される部用品の新・中比率はどの程度に落ち着くのかは、現段階では不明であるが、中古部品市場は、推定で800億円ともいわれ、今後さらなる拡大が見込める市場でもある。

この中古部品市場への参入企業は小規模事業者が多数を占めており、新規参入を果たそうとしてもある程度の取引件数を確保するのに、多大な時間と経費がかかることは自明であるが、翼システムの場合は、従来よりこうしたニッチな市場にフォカースし、顧客基盤を有していることからサービスラインを拡大することが可能である。
また、このパーツ・デ・ドットコムの参加企業も多くは、これまでに翼システムが各種のパッケージソフトを導入した事業者が主体であることは想像に難くない。

翼システムの製品開発に際しての目付けの鋭さは、業界の多くが認めるところだが、例えばカーコンビニ倶楽部の経営者からは、課金に応じたサービス提供がなされていないという声も耳にしている。
翼システムの計画では、本年度内に部品在庫点数15万点まで引き上げるとしているが、このような内部の批判の声を封じるためにも、早期にパーツ・デ・ドットコムを実効性のあるものとすることが求められている。

<寺澤 寧史>

  • コラム
  • 業界アンケート
  • 書籍&レポート
メールマガジン

住商アビーム自動車総合研究所が発信する各種情報をご紹介します。当研究所のスタッフが日々移り変わる自動車業界を、経営と現場を結ぶ視点で紐解いた記事やコラム、等です。

無料配信申し込みはこちら
PDF メルマガ見本はこちら

News -プレスリリース・メディア対応 自動車業界ライブラリ

UPページの先頭へ