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コラム

アフターマーケットの成功者たち(6)『中部自動車販売』

国内製造業の屋台骨たる自動車産業。国内 11 社の自動車メーカーの動向は毎日紙面を賑わしている。

しかし、消費者にとって、より身近な存在であるはずの自動車流通業界のプレーヤーについては、あまり多く知られていないのも事実である。

群雄割拠の国内の自動車流通・サービス市場において活躍する会社・人物を、この業界に精通する第一人者として業界内外で知られる寺澤寧史が、知られざる事実とともに紹介する。

第 6 回は、関東一円にドミナント展開を続ける中部自動車販売を紹介する。

第6回『中部自動車販売』
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市場参入企業が 2 万社、3 万社とも言われる中古車販売業界の中で本業の中古車販売に加えて、オートオークション、料亭、スパ(温泉)事業を経営している中古車販売事業者がいることをご存知であろうか。

それが、今回ご紹介する横手弘之社長率いる中部自動車販売である。

チュウチュウマークのねずみのキャラクターといえば、「あのお店」と分かってもらえる読者もいるかも知れない。

それでは先ず最初に、中部自動車販売の創業時のエピソードからご紹介したい。

横手弘之社長は、熊本の出身で 18 歳の時に上京しブリヂストンタイヤに入社。2年間勤務の後、手に職をという考えから自動車整備工場に職を変える。この自動車整備工場で自動車整備士として働くなかで、リーダーシップと営業力に磨きをかけたのだという。

自動車整備工場に入社後、 程なくして班長に抜擢されたことからも窺い知れるように自動車整備工場経営者の目からも、頼もしい青年と映っていたのであろう。その当時のエピソードとして、次のような出来事があった。

この自動車整備工場のお客にその道の関係者がいた。誰しもそうした人への応対はしたくないから、自然と横手氏が担当することとなった。整備料金も取りはぐれては、大変であるからと、最初に概算見積もりを作成し、前金で整備料金をもらってから作業をしていたのだという。追加作業が発生した場合には、納車時にきちんと取りきっていたというから、驚きである。

企業経営において売掛金の回収を早めることは、資金の安定化のための要諦かと思われるが、横手弘之氏は 20 歳そこそこで既に実践していたことになる。

横手弘之氏が独立したのが、24 歳の時であった。独立に際しても 100 坪の土地を無償で貸してくれた人がいたという。青年横田弘之氏の人柄を彷彿とさせる出来事である。

このような経緯を経て独立した横手弘之氏が、中部自動車販売を設立したのが、1971年7月、選んだ場所は東大和市であった。

それでは次に、中部自動車販売の現在までの事業展開を見てみよう。

同社の事業展開は、大きく分けて3つのステージに分かれている。

1)事業基盤の確立期 1970~1980年代
東大和で創業した中部自動車販売は、70年代から80年代にかけては、事業基盤の確立に費やした時期で、営業拠点の開設は三多摩地区、及び埼玉で6箇所にとどまっている。

2)事業拡大期 1990年代
1992年の小川店を皮切りに97年までに群馬、栃木、千葉に13拠点開設とドミナント展開を行っている。

3)周辺事業の拡大期 1990年末から2000年代
1998年には、これまでに開設した各販売拠点の全在庫共有化システムであるBCN(ビッグ・カー・ネット)の外販事業の開始を行う。さらに1999年に関東の有力中古車販売事業者5社の共同出資で買い取り専門チェーンのカーセブン事業を立ち上げている。また同年、埼玉県川本町にBCNオークションを開設するなど中古車周辺事業の充実が計られた時期である。さらに2000年以降は、従来の販売拠点よりはるかに事業規模が大きい500台以上展示可能なBCN店を7店舗北関東中心に立ち上げている。

こうして、販売拠点を東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、群馬、栃木、福島と関東及び東北一円に38店舗を有し、2003年度の売上高250億円、従業員数430名を擁する国内でも最大規模の中古車販売事業者となったのである。

さりとて、中部自動車販売のこれから後の販売拠点開設も年間 2~ 3 店のスピードで展開されていくことになろう。恐らく、今後も横手弘之社長は堅実路線をとるものと思われるからである。

しかし、中部自動車販売が他の有力中古車販売事業者と大きく違う点は、サービス工場を併設している点であろう。民間車検場6、認証サービス工場16拠点の充実ぶりである。

中部自動車販売では、「買って安心、乗って安心、任せて安心」をキャッチフレーズにしており、車の返品、交換(納車後15日間)サービスの実施や、電球1個からエンジンまで全ての保証制度を確立している。
また、直営のサービス工場では車検点検、整備、鈑金、ドレスアップまでと実にサービスが充実している。

1999年のBCNオークション開設前後に、横手弘之社長とお話をする機会が何度かあった。横手弘之社長の次の言葉が印象に残っている。

「寺澤さんね、このオークション会場はスタジアム形式にするんだけど、地元の人達にもシアターとしての利用も考えているんだ。雇用も含めて出来るだけ地元に貢献したいからね。」

「今のオークション会場の敷地は2万坪程度だけど、ゆくゆくはレストランやショッピングセンターみたいな複合施設にしたいと考えている。男の夢ってやつかな」と。

2005年7月にBCN高崎(中古車販売店)にスパリゾート、飲食店、地元産品を扱うレジャー施設の併設を予定している。横手社長の夢が一つ実現することになる。

次は、横手社長が熱く語ってくれたBCNオークション会場の複合施設実現に向けて、夢を語り合いたいものである。

<寺澤 寧史>

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