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コラム

日産、新型車のデザイン決定から量産開始までの開発期間を…

◆日産、新型車のデザイン決定から量産開始までの開発期間を最短11カ月へ
<2004年03月01日号掲載記事>
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日産は現在、平均15ヶ月要している外観デザイン決定から量 産開始までの新型車開発期間を数ヶ月圧縮し、最短で11ヶ月まで短縮するという。一方、トヨタ自動車では既に最短10ヶ月での派生車の市販開始を実現しているが、今後、2~3年をかけて最短で6ヶ月にまで短縮するとのことである。

これら自動車メーカーの開発期間短縮に向けての取り組みであるが、その実現において、商品競争力の向上との両立が重要と考える。90年代前半、日本の自動車会社は、外観デザイン決定から量産開始まで平均で約30ヶ月(欧米では約40ヶ月)かかっていたが、90年代終盤には約20ヶ月、もしくはそれ以下までリードタイムの短縮を実現してきた。
80年代まで、一般的に日本の自動車メーカーは、欧米と比べ過剰設計であったと言われている。車種が多く、共通部品が少ないために、部品が多様化したこと、市場条件上製品サイクルが短いこと、消費者ニーズに対し過剰品質・過剰機能であったことなどが聞かれる。

90年代半ば以降、この過剰設計を是正し、また当時の円高危機に対抗するコスト削減を実現するために、設計の簡素化・合理化が進められることになり、この結果として、上記のリードタイム短縮を実現することになる。
開発期間の短縮と開発コストの削減を可能にした要因としてはいくつか考えられるが、代表的なものとしては、
(1)部品、プラットフォームの共通化
(2)IT技術革新(3次元CAD、CAEシュミレーション等)
(3)開発工数のフロントローディング
が挙げられる。

特に(3)フロントローディング(開発前半の工数を増やすことで後半の負荷を減らし、全体の期間を短縮する手法)により、日本の自動車メーカーが基本設計の完成度を高めることによって、開発試作や量産試作の回数を削減することが実現でき、結果的に、(1)、(2)で先行していた欧米メーカーよりも開発期間の短縮を実現してきた。

一方で、商品競争力の向上であるが、開発期間短縮や開発コスト削減が十分条件ではないし、簡単な問題でもない。例えば、部品やプラットフォームの共通化を進めることは開発期間短縮と開発コスト削減を両立する代表的な手段ではあるが、一つ間違えば商品が画一化してしまい、かえって商品競争力を低下させてしまう危険もある。しかし、開発期間の短縮が商品競争力にもたらす効果は大きい。開発に長期間を要するようでは、競合他社に先行され、潜在顧客を奪われる危険性も出てくるし、消費者の流行に乗り遅れる恐れもあるが、競合他社に先駆けて消費者のニーズに即した商品を発売できれば、大ヒット商品となる可能性もある。

90年代半ばにホンダアコードと約50%の部品を共通化しながら革新的なコンセプトで大ヒット商品となった初代オデッセイが良い例だろう。
今回のような開発期間の短縮化といった取り組みにしても、それにより商品自体の競争力が失われてしまっては本末転倒である。そのため、開発工程や手法を画一的に効率化を推し進めることは難しいが、社内の体制・組織・システム等においても、開発期間の短縮と商品競争力の両立に貢献できる部分があるのではないかと考える。

マーケットのニーズやサプライヤーの意見を効率的に取り入れられるような仕組みや、社内の設計・製造・調達等各部署との連携が効率的・効果 的に行えるような仕組みを整備したり、ITの活用により文書管理や進捗管理を行うことで、人間は純粋な付加価値活動に集中できるようにしたりということも、改善につながる部分があるかもしれない。

グローバルな観点から見ても、世界各地で様々なニーズが存在し、自動車メーカーはそれぞれのニーズに対応した商品をタイムリーに投入する必要に迫られており、今後も、各社の開発期間短縮競争は続くであろう。
この中で、これまで着目されていなかった部分での改善が重要となってくるのはないかと思われる。

<秋山 喬>

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