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コラム

今更聞けない経営用語シリーズ1 BPR(4)

日頃、特にその定義や本来の意味を意識することもなく使用している経営用語を取り上げ、自動車業界の事例も交えながら説明を行っていくこのコラム。
第1弾として、BPR(Business Process Re-engineering)を取り上げており本配信が最終回となる。

第1回 BPR(Business Process Re-engineering)(4)
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前回までのコラムではBPRと「カイゼン」活動の違いであり、且つBPRの失敗要因ともなりうる項目として挙げたトップマネジメントの明確なイニシアチブ、戦略及び情報システムとBPRの関係について言及してきた。
最終回となる今回のコラムでは、BPRとその他のいくつかの三文字アルファベット経営用語との関係について触れたいと思う。
具体的には
・SCM (Supply Chain Management)
・CRM (Customer Relationship Management)
・PDM (Product Data Management)
の3つを取り上げることにする。
これらの用語も耳にすることはあるが、ぼんやりしていて、いまいちよくわからないという方もいらっしゃるのではないかと思われる。
まず、BPRと上記3つの経営用語との関係だが、非常に乱暴にいうとBPRという概念を細分化、ブレイクダウンしたものがSCM, CRM, PDMだと思ってもらえればよいかと思う。BPRはビジネスプロセスの改革であり、狭義の概念としては経理、人事といったバックオフィスプロセスの改革というように取られる場合もあるが、一般的には企業内のどのプロセスというように限定されているわけではない。
それに対し、上記3つの経営用語の場合はSCMならモノの流れに関連したプロセス、CRMなら顧客に関連したプロセス、PDMなら設計開発に関連したプロセスというように、より具体性のあるものとなっており目指す効果 もBPRと比較した場合、明確である。
それでは各経営用語を、簡潔にではあるが見ていきたいと思う。
●SCM
SCMというコンセプトは簡単に言ってしまえば最終消費者まで商品(モノ)を時間、コストのムダなく届けましょうというものである。もう少し補足すると、企業横断的にモノの流れに着目し、調達から生産・販売・物流を経て最終消費者へとつながるサプライチェーンのプロセス全体を最適に管理する仕組みをつくるということになる。

目指す効果としては在庫削減、輸送費削減といったコスト削減効果 、リードタイム短縮、欠品確率の減少といった顧客満足度の向上、及びキャッシュフロー効率の向上が挙げられる。
適切な需要情報、需要予測に合わせて、最適な時に最適な量だけ調達・生産・供給することになるため、実績管理のプロセスだけでなく計画系のプロセスも対象に含まれる。  いわばカンバン方式の逆輸入版ともいえるコンセプトであり、自動車業界には馴染み深いものかと思われる。

●CRM
CRMとは簡単にいうと顧客のことをもっとよく理解して顧客満足度を高めようというものである。
マーケットの成長が頭打ちになり新規顧客の獲得が難しくなる中で、現在の顧客を大切にし離反を防ぎ、顧客一人一人からの売上を高めることが狙いとなる。背景には一般的に新規顧客を獲得しようとすると顧客維持に比べて何倍ものコストがかかるという事実も存在する。
顧客を一塊にせずに年代、性別、来店頻度等様々な切り口によって細分化し、切り分けられた各セグメントに対し、最適なチャネル(対面 ・店舗・コールセンター・電子メール・DMなど)を用い、適切な時期にコンタクトを行い、フィードバックを受ける仕組みをつくる。
現在ではセグメントという塊でも大きいとされ、顧客一人一人に合わせたマーケティング(ワン・トゥ・ワンマーケティング)が志向されている。

●PDM
PDMという用語は3つの中で最も聞きなれないものかもしれないが、簡単に言うと設計開発を今以上に効果的、効率的に行おうというコンセプトである。
製品の開発工程において、設計・開発に関わるすべての情報(CADデータ等の図面データ、仕様書等の文書データ、部品構成データ、設計・生産スケジュール)等を一元化して管理することで、他部門との連携を容易にし、より効果的な設計開発が行えるようにするとともに、ワークフロー管理等により効率的な設計が行えるような仕組みを構築する。
顧客のニーズに合わせた迅速な市場への商品投入や、顧客は勿論、社内他部門からも喜ばれるような(作りやすい、運びやすい等)製品の設計が目指されることになる。

以上、3つの経営用語を簡潔に見てきたわけであるが、これら3つは別 々のコンセプトであるものの相互に関連していることを忘れてはならない。適切な供給を行うには顧客のことをよく理解していなければならないし、顧客が望む商品を設計開発し、顧客が望んでいるうちに市場へと投入しなければならない。
自動車業界においては、SCM、PDMに関してはそのような呼称ではなかったかもしれないが、カンバン方式、CADの活用等、他業界に比べると先進的であったように思う。しかし、CRMに関しては自動車メーカーとディーラーとの間で十分満足いく顧客情報の共有ができているとは言いがたく、他2つに比べると遅れているのが実態であろう。

今後、自動車メーカーは程度の差こそあれ、ますます市場に向けてパワーを集中し、マーケティングに注力していくことになるだろう。その意味でも特にマーケットの成長が頭打ちになった成熟市場ほどCRMの有効活用が期待される。

また、CRMを推進する上で、インターネットは依然として有効なチャネルの一つだが高度化が進むカーナビやETCを含むITS(Inteligent Transport System)も大きな可能性を秘めている。車輌に専用の機器を装着することになるため、顧客一人一人の顔を把握するための大きな武器になるであろう。
さて、これまで4回にわたってBPRについて論じてきたわけであるが、如何だったであろうか。今後も画期的、前向きなBPRが様々な企業で起こり、自動車業界全体が活性化していくことを願いたい。(完)

<秋山 喬>

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