マツダ、販売拠点の拡充で「顧客防衛率」を中期的に60%ま…

◆マツダ、販売拠点の拡充で「顧客防衛率」を中期的に60%まで引き上げへ
2年前まで新車投入が滞ったこともあり、現在の防衛率は40%程度と伸び悩む
<2004年04月08日号掲載記事>
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マツダは既存顧客のマツダ車への買い換え比率(顧客防衛率)を高めるため、販売店の拠点拡充やセールススタッフの増員、顧客満足度(CS)の向上に取り組む。

同社では2年前まで新車投入が滞ったこともあり、顧客のマツダ離れが進展しており、現在の防衛率は40%程度にとどまっているが、これを中期的に60%まで引き上げたいとのことである。

顧客防衛率という言葉が示すように、成熟市場でありマーケット全体の伸びがそれほど期待できない日本においては、顧客は他社から奪うものとなる。いわば既にホワイトスペースは塗りつぶされてしまっている格好である。 そういった状況の中で、コンスタントな新車投入や販売、サービス体制の充実、顧客一人一人のニーズに応じたきめ細かい対応といった施策は確かに効果があるだろう。

しかし、実行するのは大変だが、やはり顧客防衛に最も効果があると思われるのはブランドにより顧客を引き付けて離さないことではないだろうか。
自動車に限らず、洋服でもなんでもそうだが、消費者がこのブランドと決めている場合は、なかなかそこから離れられないものである。
そのため、上記のような顧客防衛のための各種施策もブランドとの整合性を考慮しながら進められる必要がある。

ブランドとは、販売者の製品やサービスを識別し、それらを競合他社から差別化するために付される名前、言葉、記号、シンポル、デザイン、ないしはこれらの組み合わせであると通常、定義される。

トヨタの車はやはり安心できる、ホンダの車は若々しい、ファッショナブルなイメージがあるというのもブランドがもたらすイメージであり、マツダの場合もXXゆえにマツダに乗りつづけるというイメージの確立が顧客防衛にも大いに寄与するのではないかと思われる。

一方で、中国市場のように未だホワイトスペースが塗りつぶされていない場合は、日本のような成熟市場ほど顧客防衛がそれほど意識されないが、徐々にホワイトスペースは塗りつぶされ、いずれ顧客の奪い合いが激化することが想定される。
その際に確固としたブランドが確立していれば、顧客防衛の観点からも強みとなることは間違いない。その意味で自動車メーカーは今の時点からブランドを意識した戦略を展開していくことが求められている。

<秋山 喬>