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コラム

米GM、シンガポールに置いている「アジア地域統括本部」…

◆米GM、シンガポールに置いている「アジア地域統括本部」を移転へ
<2004年04月30日号掲載記事>

◆ダイムラークライスラー、東南アジア統括拠点本部をマレーシアに移転へ 優遇税制や人件費の安さなどを背景に、年内にシンガポールから移転させる
<2004年05月6日(GW特別号)掲載記事>
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GMが地域統括本部をシンガポールから移転することを発表したのに引き続いてダイムラークライスラーも同様に地域統括本部のシンガポールからの移転を発表した。

GMは1993年からシンガポールにアジア太平洋地域での販売拠点を設置しており2000年にはシンガポール政府から「地域統括本部として税制面での優遇措置」も取得しているが、「情勢が変化した」ことを理由に、海外移転の方針を決めた。上海、東京、メルボルン、ソウルのいずれかの都市に移す計画であり、中でも上海が有力とのことである。

また、ダイムラークライスラーは、現在シンガポールに置いている東南アジアの統括拠点本部(販売、財務、総務、マーケティング担当)を、政府の外資誘致政策、自動車政策、人件費の安さ等を理由に、年内にマレーシアに移転するという。

シンガポールからはこれで、昨年のBMWを加えると大手自動車メーカー3社が地域統括本部を海外に移転するという事態になっている。

ここまでで地域統括本部という言葉に馴染みのない方もいらっしゃるかと思われる。そこで、そもそも地域統括本部とは何かということを海外進出、海外移転の一般的なプロセスに基づき説明したいと思う。

海外移転の一般的なモデルとしては5段階を経て発展、高度化するというマッキンゼーモデルが存在する。

1.商社や現地の流通業者を通じて市場開拓が行われ輸出活動が始まる。

2.現地市場における自社の販売子会社の設立による直接販売・マーケティングが始められる。

3.輸出や販売拠点の設立で築いた市場を確保するために生産の現地化(製造子会社の設立)が要請され、現地の雇用確保や貿易摩擦になどに対応した国際事業戦略の構築が求められる。

4.現地のニーズを活かし、現地の経営資源を活用する方向で、開発から生産・販売までの完結した経営活動による親会社の複製を設立し、主要地域に国際事業本部機能を担う地域統括会社が設立される。

5.世界市場をひとつにとらえ、グローバルな視点から経営活動が調整・統合され、経営資源の最適配置・利用が図られる。

地域統括本部設置とはこのプロセスの中の第4段階に位置付けられる。ということは、どの地域であれ地域統括本部を持つ企業はその地域でのローカライズが相当に進んだ状態にあるということができよう。

さてここで今回の2つのニュースでも話題となっている地域統括本部としてどこが適切かという議論に戻ると、大別してビジネス面の魅力と制度、インフラ面の魅力のどちらを重視するかという話になる。

ビジネス面の魅力としてはマーケットに近く市場戦略を立てやすいといったことや、生産拠点に近く生産拠点間のコーディネートを行いやすい、サプライヤー発掘が行いやすいといったことが挙げられる。

制度、インフラ面の魅力としては優遇税制制度が存在する、法制度・銀行制度が整っている、情報インフラが整っている等が挙げられる。

シンガポールの場合、自動車産業における生産拠点や成長の見込まれるマーケットを持たないので、これまでは優遇税制や整備されたインフラ、法制度といった制度、インフラ面の魅力で各社の誘致を進めてきた。

しかし、シンガポールの高い人件費、マレーシア等他国の制度、インフラ面の整備といった要因に加え、地域ビジネスがASEANと中国の関係もあり一層複雑になっていく中で、統括拠点としてはシンガポール以外のビジネス面の魅力を持つ場所のほうが適切で
あるという判断が各社に働いたのではないだろうか。

以上のような事情を踏まえると、各社の地域統括本部の設置場所は各社の地域戦略を反映したものとなっており、またそういった視点から設置場所を見ると興味深いものとなるはずである。

<秋山 喬>

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