ホンダ、韓国で20日から「アコード」の本格的な輸入販売を…

◆ホンダ、韓国で20日から「アコード」の本格的な輸入販売を開始へ
ソウル市内にディーラー1号店をオープン。年内にソウルなどに4店舗開設へ
<2004年5月10日号掲載記事>

◆日産、韓国での「インフィニティ」ブランド導入戦略を発表
インフィニティ車が北米以外で専用販売網を通じて販売されるのは初めて。これが同ブランドの世界進出の第一歩となる。
<2004年5月13日号掲載記事>
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今週、相次いでホンダと日産の韓国市場参入に関するニュースが掲載された。

ホンダは、韓国の現地法人であるホンダコリアを通じ5月20日より、北米に販売されているアコードをベースに、韓国向けに仕様変更したものを現地で発売するとのことである。

ホンダコリアは2001年10月に現地実業家と共同出資で設立され二輪車の販売を行なってきた「ホンダ・モーターサイクル・コリア」に昨年四輪車事業の機能を付加し、社名変更したものである。ホンダが95%を出資している。

一方日産は、高級車ブランドであるインフィニティを韓国市場に導入し、2004年2月に設立された韓国日産を通じて5車種を販売するという。

韓国の自動車市場は、1997年の通貨危機以降、経済回復と産業再編を経て2003年には約132万台と、アジア有数の市場規模となっている。輸入車市場は、関税の引き下げや日本車輸入解禁(1999年)などの施策により、2003年で全体の約2%の約2万台規模まで成長している。

輸入車販売は高級車を中心に好調であり、英経済紙フィナンシャル・タイムズによると、昨年、韓国国内メーカーの販売台数が前年比18%減少した一方で、輸入車販売台数は同20%増加した。

輸入車シェアトップの独BMWは昨年、輸入車全体の27.9%にあたる5432台を販売しており、日本勢ではトヨタ自動車が高級車ブランドである「レクサス」を2001年に市場導入し、昨年は3772台を売り上げた。

輸入にかかるコストを考えると、コスト競争力がそれほど焦点とならない高級車のセグメントを輸入車メーカーがターゲットとするのはある意味、妥当であるが、その高級車のセグメントも既にBMW、メルセデス、アウディ等外資系メーカーが日系メーカーに先んじて参入、競争が激化しており、一層のブランドの差別化が必要とされている。

現在、弊社が集計を進めている日本、中国、韓国の自動車ユーザー比較調査でも、韓国の自動車ユーザーは日本に比べるとブランドを重視するという傾向が出ておりユーザーに対し、如何にブランド価値を訴えるかということが成功要因となるだろう。

また、弊社の別の調査ではそれ以外に2つほど興味深い傾向が発見されている。

一つは、輸入高級車セグメントにおいて、早い段階から自社の販売子会社を通じて販売、マーケティングを行なっていたのは現在シェアトップのBMWのみという事実である。

BMWは1996年の時点で既に販売子会社を設立していたが、その他のメーカーは当時、現地資本を通じての販売を行なっており、メルセデスが現地販売子会社を現地資本と合弁で設立したのは2003年、アウディは現在でも現地資本を通じての販売という状況になっている。社販売子会社を通じてのブランドコントロールがブランドを重視する韓国国民に対して適切に機能したということではないだろうか。

また二つ目は、多少の例外はあるものの各メーカーのショールームの数と売上が比例しているという事実である。これに関してもBMWのショールームの数は他社の群を抜いている。

これらの傾向はブランドコントロールの重要性、それに加えて拠点によるエリアカバレッジの重要性を示唆しているように思われるが、それでは今回のホンダ、日産のケースはどうだろうか。

両社ともにブランドコントロールの重要性を認識し、自社販売子会社を通じての販売という形態をとっている。しかし、後者のエリアカバレッジという要件を満たすほうがより困難な作業のように思われる。自社の力で、ブランドへの理解が深いディーラーを募集、教育し、強固なチャネルを構築するというのはそれほど容易なことではないからである。
そう考えると、日産の場合、ルノーサムスンの販売店も活用可能というのは大きなアドバンテージとなるのではないかと思われる。また、実際既にそういった相互協力の話も行なわれていると聞く。

いずれにしても日系自動車メーカーの相次ぐ市場参入によって、これから中国市場のみならず韓国市場も目が離せないものになりそうである。

尚、文中で言及した日本、中国、韓国の自動車ユーザー調査レポートに関しては完成次第このメールマガジンでお知らせしたいと思う

<秋山 喬>