トヨタ、中国に高級車ブランド「レクサス(凌志)」専売店を…

◆トヨタ、中国に高級車ブランド「レクサス(凌志)」専売店を開設すると発表
<2004年6月8日号掲載記事>

◆トヨタ、「プリウス」中国で販売へ。第一汽車と共同で実証試験中
<2004年6月9日号掲載記事>

◆ホンダ、中国へ「アコード・ハイブリッド」投入を検討、今秋に北米投入予定
<2004年6月11日号掲載記事>
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6月1日に発表された中国の新自動車産業発展政策、及び6月9日に開催された北京モーターショーを受けて、自動車メーカーの中国施策が次々と発表されている。

中国自動車市場は今後も拡大することが見込まれているが、一方で、自動車メーカーの相次ぐ新モデル投入により競争の激化が引き起こされ、車輌販売価格の低下が顕著なものとなってきている。例えば2003年3月から2004年3月の間に平均車輌販売価格は8%も低下しており、こういった傾向は今後も続くことが予測されている。

このような状況において、キーとなるのは値下げ圧力を回避するための自社の差別化であり、いかにして強固なブランドを構築するかということが今後の焦点となってくるであろう。

現段階では、まだ自動車普及が発展途上ということもあり、日系自動車メーカーに対するブランドイメージも確定的なものとなっておらず、今後の取り組み次第でおおいに変動する可能性があるといえる。

そういったブランドの重要性に対する共通認識が形成されつつある中、6月1日に発表された中国の新自動車産業発展政策において注目されるのは「ブランドの明記」(第26条)に関してであろう。

政策の解釈に関しては、精査が必要なのは勿論だが、概略を述べると、「2005年からすべての国産自動車とユニット部品には生産企業の登録商標をつける。国内市場で販売する完成車については、ボディーの外部の目立つ位置に生産企業の商標と自社の名称あるいは商品の産地を表示する。もし商標のなかに生産企業の地理表示がある場合は、産地は書かなくても良い。すべてのブランド販売店はその販売・サービス拠点の目立つ場所に生産企業のサービス商標を表示しなければならない」といった趣旨である。

これを各自動車メーカーに対する影響という観点から考えてみると、中国に進出する当初から、中国合弁相手との混合「ブランド」策を採用した、「フォルクスワーゲン」などはそれほど抵抗もなく受け入れられるだろうが、「ブランド」の純潔主義を貫く「トヨタ」や「ホンダ」などには、少なからず影響が出てくるのではないかと思われる。

独資での現地生産が認められず、合弁企業にて現地生産した車種に対してもブランドの純潔主義が貫けないとなると、自社ブランドの純粋な体現機会は輸入車ということになる。

そういった観点から、今回、注目した記事は、どれもブランド性の高い車種の輸入による中国市場投入に関するものであり、今、目の前の需要を満たすためというより、中長期的な観点から今後の中国におけるブランド構築を狙ったものではないかと思われる。

輸入車が中国でのブランド構築に関し、重要な役割を担い、その成果が現地生産された車輌のブランドイメージにも一定の影響を及ぼすと考えると、今後、各自動車メーカーの現地生産の話題のみならず輸入に関しても注目していく必要があるだろう。

<秋山 喬>