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コラム

ダイムラークライスラー、車両生産の中核部分を部品メーカ…

◆ダイムラークライスラー、車両生産の中核部分を部品メーカー3社に委託へ
米オハイオ州のトレド工場で2006年にも。「3億ドルのコスト削減になる」

<2004年08月18日号掲載記事>
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独ダイムラークライスラーは 2006年にもトレド工場(オハイオ州)で車両生産の中核部分を部品メーカー 3 社に委託する。生産コストの削減が狙いで、生産ラインに部品メーカー 3 社が入り、車両の溶接、塗装、駆動系の組み立てに加わる。

同部門最高執行責任者のトム・ラソーダ氏によると部品メーカー 3 社が 3 工程への投資や人件費を負担することで「3 億ドルのコスト減になる」という。

このニュースはいわゆるアウトソーシングがテーマとなっている。アウトソーシングとは自社の業務を自社よりも上手に遂行することができる外部の企業に委託することと定義でき、外部企業の専門性に期待する面もある。

自動車業界のみならず様々な業界で用いられている手法であるが、但し、今回のケースは車両生産の中核部分のアウトソースということで多少趣が異なる。そもそもアウトソースとは通常、自社の本業以外の部分に対して行なわれるものであるからである。自社が注力すべき分野、自社の強みを活かすことができる分野を定義したのちに、その裏返しの要素としてアウトソースすべき分野も明確になってくる。

日本の自動車メーカーの場合、アウトソーシングは数年前の日産、三菱、マツダ等の事業再構築の過程において事業売却、子会社売却を伴った形で多く見受けられた。しかし、その対象は物流、福利厚生、情報システム、特定部品の生産といった分野であり、今回のように車両生産にまで立ち入ったものではなかった。

今回のケースでも、当該分野が自動車メーカーにとってノンコアという認識のもとでのアウトソースだとすると、自動車メーカーの本業の範囲が一層狭まったことを意味するのだろうか。そして車両の開発やデザインといった分野に、より多くの資源を投入していくという意思の表れであろうか。

確かに生産工程のアウトソースは半導体、PC、携帯電話といった製品サイクルが短く、迅速な製品開発が必要とされる業界においては少なからず見受けられる。そういった企業では生産設備に必要となる投資を抑制し、その分をより上流の技術開発、設計といった分野に回すことで競争力の強化につなげている。

自動車業界でも昨今、消費者ニーズの移り変わりの速さを受け、製品のライフサイクルが短くなり、迅速な製品開発が求められるという意味では上記のような業界に近づきつつといえるだろう。但し、自動車という製品の特性を考慮すると一概に同様の方向に進むとは思えず、いくつか懸念される事項も生じてくる。

例えば、自動車は人命に関わる製品であるということを考えると、安全品質維持は大きな問題である。外部にアウトソースする場合もその点を考慮しなければならない。

また、自動車はアフターサービスが必須となる製品であるということを考えると、生産工程を外部にアウトソースすることで、その工程がブラックボックスとなってしまい、修理、メンテナンスが行ないにくくなるという状況は避けなければならない。

加えて、ノウハウの流出も懸念され、工程のブラックボックス化とも関連し、以降の部品メーカーとの力関係にも影響を及ぼす可能性がある。

車づくりにおいて部品メーカーの担う役割が増えるのは間違いないが、自動車メーカーとしては短期的なコスト削減効果に目を奪われることなく、自社の注力すべき分野、自社の強みを活かす分野を明確に定義した上で、外部を活用することを慎重に検討する必要があると思われる。

<秋山 喬>

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