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コラム

トヨタのハイブリッド車世界生産、2006年には「ヴィッツ」…

◆トヨタのハイブリッド車世界生産、2006年には「ヴィッツ」並み年産30万台に
量産効果で一段と競争力を高める。1997年~2003年の累計販売は18.3万台。

<2004年09月16日号掲載記事>

◆ルネサステクノロジなど国内半導体大手が「JASPAR(ジャスパー)」に参画へ
NECエレクトロニクスや富士通も参加を決め、東芝も検討を進めている

<2004年09月17日号掲載記事>
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ここ数週間の間で、自動車新分野における規格、スタンダードを押さえていこうというトヨタの動きを報じるニュースがいくつか目に留まった。

ハイブリッド分野においては中国でプリウスを 2005年内を目処にノックダウン方式で生産することを発表した他、北米での現地生産の可能性も検討しているとのことである。そして、そういった海外生産の展開により、今回のニュースにもあるように 2006年にはハイブリッド車の生産台数をヴィッツ並の 30 万台に引き上げるという。

エンジンとモーターで駆動する方式のハイブリッド車が、今後自動車業界の中でどういった地位を占めるようになるかは誰にも分からない。よって一般の企業はハイブリッド車がどの程度普及するかを推測・予測し、その予測の下に自らの行動を規定している。

一方で、トヨタは明らかにハイブリッド車を普及させることも目的にして行動している。ハイブリッド車を自動車業界におけるある種の規格にしようとしているとも言えるだろう。

そういったトヨタの動きに影響されてか、これまでハイブリッド車に対する取り組みが遅れていた GM, フォード、ダイムラークライスラーといった大手外資も 2003年から 2004年にかけてハイブリッド車両の投入を開始している。

また、「JASPAR」は豊田通商およびその子会社の豊通エレクトロニクスが設立した非営利団体の有限責任中間法人であり、トヨタと日産が参画し、車載電子制御システムの基本ソフトの標準化や共通利用を行う予定である。

これも今後車両の電気・電子化が進むことをにらみ規格化を推し進める動きであると言え、トヨタが参画する規格ということでその将来性を信じ様々な企業も参画しているというのが現状である。

それ以外にも、テレマティクス分野においてトヨタは自動車向け情報サービスの G-Book を展開しているが、日産、ホンダが主に交通情報、地図情報等の実用的なサービスを提供していく方針なのに対し、トヨタは異業種からの参加を促し多種多様なコンテンツを揃え消費者に提供していく方針であり、そのための規格を整備・オープンにしている。

こういった新分野における規格・スタンダードを押さえるということは、いわば今後自分が戦う土俵を自分自身で設計するというようなものであり、それがひとたびスタンダードとして認知されれば、今後の競争において圧倒的に優位な立場に立つことが可能となる。
これまで、自動車業界では個社がそれぞれのノウハウ・やり方で車づくりを進め、それが走行性能、品質といった差別化要因となっていたため、それほど規格というものが意識されることが少なかったと思われるが、同じ製造業である家電業界に目を移すとそれがいかに重要なものであるかわかる。

家庭用 VTR におけるベータ・マックスと VHS の争いや PC の OS におけるウィンドウズの寡占等が該当するといえるだろう。

これらはデファクトスタンダード(事実上の標準)と呼ばれ、公的に認証されたものでなく市場原理によって認知・採用されたものである。デファクトスタンダードは市場が選択したものとしては評価されるものの、スタンダードを獲得できたほうはいいが、獲得できなかったほうはそれまでの投資が無駄になることとなる。

それでは各社リスクが高いので昨今では企業コンソーシアムをつくり、共同で規格を策定するケースが増えてきている。但し、その場合リスクは低くなるものの、それだけにリターンも低くなる。皆で設計した土俵では皆が公平に戦えるからである。

現在、圧倒的な競争力を誇るトヨタが、自動車新分野において自身の思惑どおりに土俵を設計し、それが規格・スタンダードとして認知されたならば、一層競争力が増すのは間違いないであろう。

それだけに、残る各社はその動きに同調していくかどうか、日和見主義ではなく、主体的に判断して対応していく必要があるものと思われる。

<秋山 喬>

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