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コラム

日産、鋼材の調達難で再び1万5000台前後の減産へ

<2004年12月02日号掲載記事>
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日産自動車のカルロス・ゴーン社長は 2日の記者会見で、鋼材不足から一時生産休止に陥る車が、これまでの見通しの 2 万 5000台に加え、新たに最大1万5000台見込まれることを明らかにした。

年間の国内販売台数が膨らむ来年 4月に予想され、約 60 億円の減収になるという。4月以降は鋼材不足が解消に向かうほか、3月も米欧での生産などには影響はないとしている。

ゴーン社長は、「明らかに問題があった」と生産計画のミスを認めたが、「サプライヤーに関する戦略は変更しない。(戦略による) 1 兆円のコスト削減と、今回の 50 億円のリスクのどちらがいいかは明白だ」と強調した。

中国を中心とする需要の増加から鋼材の供給が国際的に逼迫し、自動車メーカー各社の生産にも少なからず影響を及ぼしている。中でも日産の生産への影響は報道などでも大きく論じられている。

日産の場合、リバイバルプラン以降のサプライヤー戦略においてコスト削減を目的として、調達先を絞り込むことを行なっており、その戦略が今回の件に影響を与えているのではないかとも取りざたされている。

確かに影響がないとはいえないが、ゴーン社長自身が述べているように、今回の件により日産がこれまでのサプライヤー戦略を大きく変更するといった方向性にはないだろう。
むしろ、今回のニュース以上に日産の今後のサプライヤー戦略に影響を及ぼすと思われるのは、サプライヤーとの関係が希薄化したことによる技術開発力、品質の低下ではないかと思われる。日産はリバイバルプラン以降、サプライヤーとの資本関係を解消し、系列取引を廃した上で、純粋にコストを焦点とした調達方法を推進してきた。

結果として大幅なコスト削減が達成され、自動車メーカー有数の利益率を達成することに成功したが、一方で J.D.パワーの初年度品質調査などでは順位の低下が見られる。

これは何も日産に限った話ではない。日産同様、外資系自動車メーカーの資本を受け入れた日系自動車メーカーでは、欧米流の調達方法を取り入れた結果として、少なからずこの問題に直面しているようである。

また、現在、安全技術、環境技術等の技術開発においてサプライヤーの担う役割は日増しに増大しており、これら技術の取り込みが自動車メーカーとしては自社製品の競争力維持のためにも必須の状況である。

そういった状況の中、サプライヤーとの関係が希薄なままでは、コスト削減等、短期的な収益には影響が無いかもしれないが、中長期的に見た場合、サプライヤーの技術力を取り込むことが遅れ、結果として自社製品の競争力が徐々に低下するという事態が懸念される。

そして、このような事態に対する懸念が日産のサプライヤー戦略の微妙な変化に表れているように思われる。それがカルソニックカンセイへの出資比率の27.6 %から 41.7 %への引き上げや、技術力のあるサプライヤーと資本関係を持たずに長期安定的な関係を築こうとするプロジェクトパートナー制の打ち出しである。

プロジェクトパートナー制の詳細はまだ明らかになっていないが、これは新しい形の系列関係を目指すものといえる。資本関係がない以上は純粋なビジネスとしての関係であり、お互いが Win-Win となる関係を目指さねばならない。日産もサプライヤーというステークホルダーにとって魅力ある自動車メーカー足りうる必要がある。

系列を維持したトヨタが系列のサプライヤーともども業績的に絶好調の今、リバイバル期を完全に抜け出て成長期に突入した日産が今後どういった「新系列」の形を目指すのかに期待したい。

<秋山 喬>

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