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コラム

軽自動車、国内新車市場の3台に1台を占める。2強が凌ぎを…

◆軽自動車、国内新車市場の3台に1台を占める。2強が凌ぎを削る

<2005年1月23日号掲載記事>

◆富士重工の竹中社長、「軽自動車には大きな車にない価値を提案したい」

<2005年1月25日号掲載記事>
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軽自動車(排気量 660cc 以下)の売れ行きが急拡大している。昨年の国内販売は5%増の 189 万台と5年ぶりに最高を更新、今や新車の3台に1台を占める。首位のスズキと2位のダイハツ工業は今年も過去最高の販売を見込んでおり、僅差のシェア争いも白熱している。

新車販売の 3台に 1台と聞くと改めて軽自動車需要の大きさを実感させられる。個人消費が依然として上向かない昨今において、軽を含むコンパクトサイズの乗用車は経済性や利便性を理由に人気をはくしているが、小型乗用車が低価格化、小容量化の方向にラインナップを広げる一方で、軽自動車は居住性や安全性を向上させつつあり、小型乗用車と軽自動車のセグメントの垣根はどんどん低くなっている。

しかし、軽自動車は税金や保険料が安く設定されるほか、地域によって車庫証明が不要であったりと制度上優遇されるのが大きな違いであり、それを理由に軽自動車を購入するという選択をする人も少なくない。

現在の軽自動車メーカーの基本的な戦略は軽自動車の持つ上記のような経済性や優遇制度を主張する一方で、車両サイズが小さい、装備が貧弱といったイメージを払拭すべく広い車内空間や安全性の向上、装備の充実といった要素をアピールするというものである。軽でありながら広い、機能が充実しているといった点が顧客への訴求ポイントとなる。

また、軽自動車メーカーの戦略に関する別の視点を本メールマガジン Vol.43で加藤が提供している。

軽自動車メーカーにはブランドロイヤリティによる「顧客防衛率」など端から眼中にない。ある特定のライフ・ステージやライフ・シーンにマッチするようにセグメントを絞り込み、そこでの商品性を徹底的に磨き上げて、フルライン・メーカーといえども安易に入ってくることの出来ない参入障壁を築くことで、あるライフ・ステージやライフ・シーンに来た人たちが嫌でもショッピング・リストに入れざるを得ないところに身を置いている。
そして、これまでの軽自動車の標準的なコンセプトが以上のようなものであったとすると、てんとう虫の復活としてスバルが発表した R1 はそれとは一線を画したものであるといえるだろう。

「小さいからこそ愛されて、小さいからこそ誇りに思えること」というモデルコンセプトが象徴するように、R1 はある意味、売れる軽自動車開発の王道ともいえる”小さいスペースを目いっぱいに使ってできる限り広い空間を作り出そう”という発想から離陸して登場した軽自動車である。

全長は軽自動車規格枠が 3400 ミリまでとされているのに対して、3285 ミリと 115 ミリも短く、ホイールベースに関しては、先に発売されR1のベース車となったR2より 165 ミリも短くなっている。

また、R1 にはグレードが設定されていない、いわゆるモノグレードという車種である。モノグレードといってもスズキ ワゴン R、ダイハツ ムーブといったモデルの同じ価格帯のものと比較して、装備の面でそれほど優っている印象はなく、ワゴン R、ムーブがきめこまやかにグレード分けされているのとは対照的である。

以上よりこの R1 がこれまでの軽自動車とは異なる価値を提供しようとしているのは間違いない。従来の軽自動車の路線であった大きさ志向や低価格志向にとらわれず、2 名乗りのパーソナルユースという新たな価値観を提供しようとしている。その意味では、スマートやスズキ ツインといったモデルとコンセプトは類似しているのではないだろうか。
しかし、R1 に課せられた使命はモデル単体としての価値観の提供だけではなさそうである。それはスバルブランドの強化である。

スバルはレガシィ等のモデルにより築かれたスバルブランドの更なる価値向上に取り組んでおり、そのためにメッセージ性の強いモデルを必要としていた。スバルにとって軽自動車はボトムエンドだが、R1 はそうしたクラス分けを超えて、スバルのブランドアイデンティティをアピールするためのモデルともなる。

しかし、軽を含むコンパクトセグメントの購買層への訴求ポイントとしてブランドがどれほど効果的かどうかは微妙である。勿論、当該セグメントの成功要因が従来の経済性、利便性の追求だけだと言うつもりは毛頭ない。R1 というモデルの魅力が顧客に伝われば販売台数は伸びるだろうし、結果としてブランドの強化にもつながる。

ブランドはただ漫然と構築されてきたわけでなく、魅力的な商品の積み重ねにより形成される。(勿論、それだけではないが)スバルにはいい意味でブランドというものを意識せず、魅力的な商品づくりを行うことを期待したい。

<秋山 喬>

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