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コラム

日産、「カーウイングス」で車のメンテナンス情報の管理や…  

◆日産、「カーウイングス」で車のメンテナンス情報の管理や情報提供を強化へ
走行距離から一律に判断するのではなく、車両の整備状態を自動的に判定

<2005年02月21日号掲載記事>
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トヨタの G-BOOK、日産のカーウイングス、ホンダのインターナビといったサービスを通じて、テレマティクスが徐々に市場に浸透してきつつある。言うまでもなくテレマティクスとは、「telecommunication(通信)」と「infomatics(情報科学)」の造語であり、自動車と外部との双方向通信ということができる。

現在、顧客である自動車ユーザーに対して提供されているテレマティクスサービスは大きく二つのパターンに大別することができるだろう。

まず、一つ目は外部事業者から自動車ユーザーへの情報の提供であり、これはいうなれば単一方向の情報の流れである。

これに該当するサービスとしては、天気予報や近辺の店舗案内、音楽などの情報コンテンツの提供が挙げられる。

そして二つ目は、これは双方向であるテレマティクスならではのサービスと言えるのだが、自動車ユーザー、もしくは自動車そのものといった自動車サイドからの情報を受けて外部事業者が何らかの情報、サービスをフィードバックするというものである。

こちらには音声認識によるナビゲーション、盗難時の自動通報、運行管理といったものが該当する。

この二つ目のパターンの場合、外部事業者側からのフィードバックには情報のみならず実際のサービスの提供も含まれる。例えば上に挙げた盗難時の自動通報でいうと盗難時の情報をもとに警備会社のサービスマンが駆けつけるといった具合である。

一方、サービスを提供する事業者側から見ると、顧客にサービスを提供し満足度を向上させる以外に、自社の顧客情報の収集という別の狙いも存在する。

今回、日産が新たに導入するサービスはバッテリーの充電状態やブレーキパッドの減り具合などを自動的に把握、問題があれば、カーナビゲーションシステムの画面などでユーザーに整備を促すというものであり、上記の分類でいうと二つ目のパターンに該当するものであるが、顧客情報の収集というもう一つの狙いも色濃く出ているものであるといえる。
そもそも自動車メーカーにとってのテレマティクスサービスはインフラ構築に要するコスト等を勘案すると、サービス提供により収益を確保しようとするよりも、むしろ顧客情報収集により顧客を囲いこむというのが主な目的となっている。

今回のケースの場合は整備状態を情報として収集し、整備のお知らせを顧客に提供することで、競合となる整備工場、車検チェーン、用品チェーン、ガソリンスタンド等ではなくディーラーへのサービス入庫促進を促し、誘導する、また更にはそうすることで新車代替のタイミングも的確に捉えようとするものであると思われる。

但し、こういった狙いを成功させるためには留意しなければならない点も存在する。

それは、テレマティクスによる顧客誘導はあくまでもフックであるということである。
顧客誘導といっても、強制的に入庫させるわけではないため、今現在、整備工場や用品チェーンに、整備を依頼しているユーザーに対しきっかけを提供することにはなるだろうが、それを受けて実際にディーラーに足を運ばせるためにはコストなり、サービスの質なりで何らかのメリットを感じさせる必要がある。

また、サービス入庫が増えたとしてメカニックやドッグ等、ディーラー側での受け入れ体制も入庫増に対応できるものでなければならない。(受け入れ体制に関しても、整備箇所の事前把握や必要となる部品の準備等でテレマティクスの活用が期待されている。)

そして今回のケースに限らずいえるのは、テレマティクスによる顧客情報収集を機能させるためには、その情報の受け皿ともいうべき、IT を含めた顧客情報管理体制が整備されておりメーカーとディーラーとの間で共有されるようになっていることが必要ということである。

顧客情報管理体制が整備されていない状態ではいくらテレマティクスにより情報が収集されても、それは宝の持ち腐れになってしまう。顧客管理体制の全体像を定義した上で、その内どんな情報をテレマティクスを通じて入手するか、その情報を系列金融会社発行のカード履歴等、他のソースから入手した情報と如何に組み合わせ、顧客の嗜好、運転時の傾向等を炙り出すか、といったことを検討する必要があるだろう。

自動車メーカーにとってテレマティクスを使いこなすとはテレマティクスによって収集される情報を如何に使いこなすかに他ならない。

<秋山 喬>

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