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コラム

道路4公団の民営化後に設立する6社などのトップ人事、各社…

道路4公団の民営化後に設立する6社などのトップ人事、各社に民間出身者

<2005年04月05日号掲載記事>
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政府は 5日、中日本高速道路会社の会長に近藤剛 日本道路公団総裁を充てるなど 10月 1日に発足する道路関係 4 公団の民営化会社などの会長 5 人、社長 1 人、理事長 1 人の首脳人事を決定した。

小泉内閣「特殊法人改革」のひとつであり、これまで紆余曲折あった道路公団民営化問題だがようやく首脳人事の決定に至った。政府案自体が骨抜きといったような批判もあるものの、今回発表された首脳人事は全員が民間出身者であり、民営化を進めるという強いイメージを打ち出すのが狙いといえる。

今回のニュースのような行政分野に限らず、企業においても人事、人材配置は今後の方向性が如実に表れるものであり、既存事業の中で新たな方向性を打ち出そうとするときは人事、人材配置がその象徴となるケースが多い。

例えば、現在、産業再生機構のもとで再建中であり、新たな方向性を模索しているダイエーの場合は、元 BMW 東京の社長であった林文子氏が会長兼 CEO に内定しているが、これなどは今後食品スーパーとして再起を図り、主要顧客である主婦の目線を大事にしながら事業を進めていくというメッセージのシンボル的な意味合いがある。

また、渡辺氏の社長就任に代表される今回のトヨタの首脳人事も副社長を総入れ替えした上で平均年齢も 6 歳若返らせるなど大胆な人事が話題を呼んだが、「好業績の時こそ変化に適している」という奥田会長のコメントにあるように、現状に甘んじず今後も積極的に攻めの姿勢をとっていくことが伺える。

また、違った観点としては、新たな方向性に沿って事業を力強く推進、実行していくためにはまず、人事を固めることが先決ということもいえる。

自身の経験で恐縮だが、以前、某クライアントにおける新会社設立のサポートをさせていただいたときも、準備作業の進むスピードが人事が決まる前と決まったあとでは格段にあがったことを記憶している。新しく配置されることになる責任者が自分の問題として準備作業に取り組むようになったからである。

では、新たな方向性を打ち出す、新たなことを始めるというものの最たる例といえる社内の新規事業やベンチャー企業のようなケースでは人事、人材配置がどういった意味を持つだろうか。

一般に会社、事業の規模が小さくなればなるほど事業の成功要因に占める人事、人材配置の割合は大きくなり、社内新規事業、ベンチャー企業においては事業の主要な成功要因の一つといってもよいだろう。一方、既にある程度の規模となっている会社、事業の場合は規模が拡大する過程において、ビジネスが確立し、ビジネスの定型化が進む。そして、それに比例して人事、人材配置の重要性は相対的に低下する。(あくまで相対的に)

そして、人事、人材配置といっても特に新規事業リーダー、マネジメントチームの重要性は特筆すべきものであり、それは社内新規事業、ベンチャー企業どちらにも共通することである。

まず、新規事業リーダーは志を持ち、ビジョンを示し、メンバーを鼓舞することのできる人材であることが求められる。それと共に己を知り己の足りない部分を補完してくれるようなメンバーとマネジメントチームを組むことが必須である。

マネジメントチームを作る意味は個人には得意、不得意やスキルの限界があり、一人でできることは限られている、ということに尽きる。新事業リーダーひとりだけでは、新事業リーダーのスキルの限界がそのまま、組織の限界、成長の限界となる。そのため最適なチームを組むことが必要なのである。

人選にあたってはチーム内の役割分担に注意を払う必要がある。似たもの同士が集まったのでは、発想が偏ったり、価値感が固定化して外部環境の変化への対応が鈍くなるといった弊害が生じる。

例えば、マネジメントチームが技術屋ばかりでは研究開発のみに注力してしまい、顧客ニーズの把握や、営業、資金調達などマネジメントに必要なほかの機能に目がいかないといった結果になりかねない。

今や、世界の大企業となったホンダの場合、技術者である本田宗一郎氏と経営管理担当の藤沢武雄氏がコンビを組んでいたのは有名な話である。

ホンダのように社長はビジョンを示しつつ、ビジネス自体を掌握し、ナンバー2 が会社組織のマネジメントを行なうという組み合わせはスタートアップ期の企業においては比較的よく見られる形であるといえるだろう。

一方で、社内新規事業とベンチャー企業では相違点も勿論、存在する。

社内の新規事業の場合は、資金、人材といったリソースを社内から調達できるという点がベンチャー企業とは決定的に異なっている。

リソースの提供を受けられるといった点ではベンチャー企業に比べて有利であるが、反面、ベンチャー企業とちがって、既存事業との調整を図らなければならない。そういった局面に備えて、社内調整を支援してくれるようなサポーターを本社側で確保し、肝心の新事業に注力できるように配慮しておく必要もあり、新規事業リーダーはそういった部分のケアも求められる。

また、社内新規事業に比べて、資金、人材といったリソースが不足しているベンチャー企業の場合はより新規事業リーダー、マネジメントチームの果たす役割が重要になってくるし、より負荷も大きい。

人材が不足しているベンチャー企業ではリーダー、マネジメントチームがマネジメントと兼務する形で実際のオペレーションもやらなければならないケースが多い。リーダーが営業に出向き、ナンバー 2 が資金調達に奔走するといったことも珍しくない。どういったファンクションを兼務するかは、新事業リーダーとマネジメントチームメンバーの適性によって決まる部分が大きい。

現在、政府による様々な法律の制定や新興株式市場の整備、民間ベンチャーキャピタルの台頭などにより、ベンチャー企業に対するリスクマネー市場は整備されつつあり、以前に比べるとベンチャー企業の資金調達は容易になったといえる。

しかし、ベンチャー企業における人材不足の問題は未だ解決の道筋が見えていない状態である。そしてこの問題は日本における労働市場の流動化が進んでいないということと表裏一体の問題であるといえよう。

そして、それは自動車業界も例外ではなく、今後、業界全体が活性化していくためには、そのインフラとなる労働市場の流動化が必須と考える。

<秋山 喬>

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