本文へジャンプ

コラム

くるま解体新書第8弾『求められる部品メーカー像(5)』

弊社親会社であるアビームコンサルティング(旧デロイトトーマツコンサルティング)が、自動車業界におけるモノづくりから実際のチャネル戦略に至るまで、さまざまな角度から提案していく。

アビームコンサルティング ウェブサイト
http://www.abeam.com/jp/

第 8 弾は、弊社副社長の秋山喬が、求められる部品メーカー像について 5 週に渡って紹介する。今回はその最終回にあたる。

————————————————————

第8弾『求められる部品メーカー像(5)』

(日刊工業新聞 2005年03月09日掲載記事)

これまで部品メーカーの製品分野ごとに成長性と開発力要件で 4 つのグループに大別して傾向を探ってきた。今回はそれらを踏まえて、それぞれ有効と思われる戦略的方向性を提案したい。

【グループ1(駆動・伝動・操縦部品、電装部品)】
成長性: 高い 開発力要件: 高い

グループ 1 に属する部品分野は設備投資等の成長リソース、製品の機能・性能向上のための開発リソースがともに必要とされるため、投資負担が大きい。しかも機能性向上と同時にコスト削減も要求される。従って、水平統合による規模の経済や利益率の高い市場に絞った海外進出を検討していくべきであろう。特に技術革新が速く、継続的な開発リソースの投入が必要な電装部品は、システム化・モジュール化や垂直統合のメリットも最大限活かしていく必要がある。

【グループ2(エンジン部品、懸架・制動部品)】
成長性: 低い 開発力要件: 高い

グループ 2 に属する部品分野は成長リソースよりも開発リソースが必要とされ、極めて機能・性能が重視される。しかもモジュール化や外注化が進めにくい領域である。グループ 1 と比較すると部品分野自体の成長性が低いため、収益確保のためには付加価値向上に見合う価格設定が必要となるので、自動車メーカーに正しく価値を認知してもらう努力が欠かせない。

【グループ3(素材)】
成長性: 高い 開発力要件: 低い

グループ 3 に属する部品分野は、開発リソースは必要とされないが成長性は高いため、設備投資等の成長リソースが必要となる。但し、システム化・モジュール化、海外進出といった規模拡大の施策が取りづらいのに加え、そもそも製品特性により規模の経済が働きづらく、規模を拡大しても収益的なメリットは薄い。従来とは異なるアプローチとして、新製品開発やそのベースとなる中長期的な基礎研究などの研究開発投資に注力し、機能・性能面での競争力を向上させて、競争のルールを変える試みも有効かと思われる。

【グループ4:(内装部品、外装部品、用品、金型・治具)】
成長性: 低い 開発力要件: 低い

グループ 4 に属する部品分野は、成長リソースと開発リソースの双方がそれほど必要とされないが、一方で、コスト競争力が重視される。海外生産の推進や海外調達、水平統合等により、徹底したコスト低減を追求するのも一つの方向ではある。但し、低成長市場でのコスト競争は、中国をはじめとした安い労務費を武器とする海外勢力に徐々にシェアを奪われていくことも懸念されるため、内装部品は積極的なシステム化・モジュール化の推進、用品は高機能化、高性能化により、競争のルールを変えていくことも有効と思われる。

最後になるが、自動車メーカーから開発力向上に対する期待が高まっているように、従来焦点を当てられていた QCD 以外にも競争力の焦点が広がりつつある。これを部品メーカーの立場から見ると、競合他社との差別化を図れる項目が増えるということになるだろう。

部品メーカーにとっては独自の価値の提供、戦略経営の必要性がこれまで以上に高まるものと思われる。重要なのは、部品分野別の傾向も踏まえた上で、自社の競争力の源泉を定義し、自動車メーカーに対して、どういった価値を提供できるのかという戦略を明確にすることである。

(本連載の元となったレポートを無料で配布しています。詳しくはメールマガジン冒頭のお知らせをご覧下さい。)

<秋山 喬>

  • コラム
  • 業界アンケート
  • 書籍&レポート
メールマガジン

住商アビーム自動車総合研究所が発信する各種情報をご紹介します。当研究所のスタッフが日々移り変わる自動車業界を、経営と現場を結ぶ視点で紐解いた記事やコラム、等です。

無料配信申し込みはこちら
PDF メルマガ見本はこちら

News -プレスリリース・メディア対応 自動車業界ライブラリ

UPページの先頭へ