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コラム

新・業界ニュース温故知新 『差別化戦略の変化』

過去の自動車業界のニュースを振り返り、新たな気づきの機会として紹介していたこのコーナーですが、新たな形態にリニューアルします。

過去の記事で取り上げた内容を振り返り、現在の自動車業界と照らし合わせ、新たな視点で見直していきます。

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『差別化戦略の変化』

【参照記事】

『コモディティ化こそが究極の差別化戦略』

◆ホンダの福井社長、ホンダの環境技術戦略は他の自動車メーカーとは違う

<2007年01月21日号掲載記事>

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【参照記事の概要】

2007年当時、ホンダ福井社長は、ある新聞社の取材に対して、車載用二次電池は外部調達を継続すること、プラグインハイブリッド車については自社開発する意向がないことをコメントしていた。

全ての領域で自社開発にこだわるよりも、競争劣位な領域は積極的に外部調達を進め、サプライヤの参入・技術開発を促し、調達品のコモディティ化を進めるというのも一つの戦略である。コモディティ化が進めば、内製してきた競合他社の戦力を無力化し、自社に有利な方向に競争の焦点をシフトさせることにもつながる可能性もある。勿論、様々なリスクも伴うが、限られた技術開発リソースの中で、差別化を図る戦略としては参考に値すると考える。

【参照】『コモディティ化こそが究極の差別化戦略』

【ホンダの環境技術戦略】

現在、ホンダ伊東社長が取材で同様の質問をされたとしたら、回答のニュアンスもだいぶ変わるのではないかと想像する。

その一つが HEV ・ EV 用の二次電池に対する考え方である。自動車メーカーの立場からすれば、二次電池のコモディティ化が進み、安い価格で安定的に調達できることが好ましいが、現在、そういった状況にはない。ホンダも 2009年4月に、GS ユアサと合弁でリチウムイオン電池の製造・販売・研究開発を行うブルーエナジーを設立している。来る HEV ・ EV 用リチウムイオン電池の需要拡大に備え、安定した供給を確保することと、HEV で先行してきた技術の流出を避けることを優先させたのであろう。

とはいえ、仕入先を一本化させることにしたというわけではなさそうである。四輪の EV に先立ちホンダが商品化した電動バイクには、東芝製リチウムイオン電池を採用した。HEV ・ EV で需要が拡大する二次電池も、その搭載される商品毎に求められる特性は異なる。適材適所で二次電池のサプライヤも使い分けるという考え方は、今後主流になるであろう。

【緩やかな提携時代】

この 4年間で、自動車業界も大きな転換期を迎えた。リーマンショックに伴う大きな需要低迷、新興国の急速な回復、国内のハイブリッド車(HEV)ブーム、電気自動車(EV)の台頭、等々。こうした市場の変化の中で、これまで自前主義を貫いてきた大手自動車メーカーの戦略も変わりつつある。グローバル市場やパワートレイン技術といったあらゆる観点で多様化が進んでいる中、全ての製品開発を自前で取り組むことに限界も見えてきている。自社が優位にある領域に注力する一方で、劣勢にある領域は緩やかな提携関係で補完するというのが一つの戦略のトレンドになってきている。

ホンダ自身も、現在注力している HEV や既に開発を発表している EV だけでなく、プラグイン HEV についても検討しているであろうし、北米市場等の今後の展開を考えれば、視野には入れていると考える方が自然であろう。自社開発という選択肢もあるだろうし、必要な技術を補完する提携関係の構築という選択肢もあるだろう。あらゆる可能性を否定できないのが、現在の自動車メーカーの置かれている状況にも思える。

【競争領域と共存領域の住み分け】

ものづくりアーキテクチャ論でいう擦り合せ型ものづくりによる製品であることも影響していると考えるが、自動車の構成部品のコモディティ化は簡単には進まない可能性もある。各社がこれまで培ってきた技術領域をオープンにして連携することは簡単ではないため、コモディティ化を後押しするような規格化、標準化が難しいからである。

むしろ、自社で優位性を持っている技術を競合他社にブラックボックスとして提供していく提携関係を広げていくことで、その技術領域での牙城を固めていく方が現実的かもしれない。ホンダであれば、マイルドハイブリッド技術を他社が自社開発するよりも安価で提供していき、この領域ではトップシェアのパワートレインサプライヤとなることを目指す、というところであろうか。一つのコモディティ化戦略と言えるかもしれない。

そこで重要になるのは、競争領域と共存領域の住み分けかもしれない。自社の強みを他社に提供するだけでは、自社に優位性は残らない。他社に提供する共存領域と同時に、他社との差別化を図る競争領域も不可欠になる。この辺りが各社の戦略の問われるところになろう。いずれにしても、時代の変化に合わせて、戦略を修正して適合していくことが求めれることは間違いない。

<本條 聡>

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