AYAの徒然草(89)  『女性に向けて言うノーリスク・ハイリターンの言葉』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

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第 89 回 『女性に向けて言うノーリスク・ハイリターンの言葉』

私がいつもお洋服を買うお店には、友達のように仲の良い女性の店員さんがいます。お互いのメールアドレスも交換していてすっかりメル友になっています。先日も、彼女からメールで私好みの新作のお洋服の写真が送られてきたので実物を見てみたいと思い、お店に行ったんです。すると、店頭で彼女から「こんにちは!」と声を掛けられた直後に、「あ、佐藤様、今、すぐに私だってわかりました?」と言われたのです。私は、「え?わかるに決まっているじゃない?(なんで???)こんにちは!メールありがとう!」と言ったんですが、その後、私は彼女に怒られちゃったんですよ。

前回、私がそのお店に足を運んだのは、その約一ヶ月前でした。そのとき、多分、彼女の髪は、肩につくぐらいの長さだったような気がします。でも、つい先日行ったときは、肩から 30cm はあるくらいのロングヘアーになっていたんです。当然、一ヶ月の間で髪が 30cm も伸びるわけがないですよね。しかし、最近はそれが可能なんですよ。ご存じですか?
「エクステ(ヘアーエクステンションの略)」と言って、毛束になったつけ毛を襟足の髪の根元に、接着剤のようなもので付ける「部分かつら」のようなものがあるんです。それは地毛のような感覚になるのはもちろんのこと、シャンプーをしても取れず、2~ 3 ヶ月はもつ優れものなんです。普通、ショートヘアーの女性がロングヘアーになるまで髪を伸ばすのには、何ヶ月も掛かる上に髪の毛先が痛まないようにするために念入りな手入れが必要で、とても大変なことなのです。でも、このエクステを使えば、一気に、しかも手軽にショートからロングに変身できるのです。

彼女は、そのエクステを使ってショートからロングになり、イメージチェンジをしていたんです。それなのに私がその大きなイメチェンに気づかず、なにもコメントしなかったので、彼女はそれが気に入らなかったみたいなのです。
私は彼女から、膨れた顔で、「佐藤さんたら冷たいなー。私、なんか変わったでしょ?なんで気づかないの?」って言われちゃったんです。

そのとき私は、なんとなく雰囲気が変わったな、とは思ったけど、でもどこが変わったかは正直言ってわからなかったのです。つまり、以前の短い髪の姿をあまり覚えていなかったので、彼女の変化に気づかなかったのです。だから私はそのとき、「ごめんごめん、送ってくれた新作が早く見たくて気が焦っていたの」と下手な言い訳を言ってしまったのです。

でも、彼女の膨れる気持ち、なんだかちょっとわかるよな、と思って。そういえば、以前お付き合いをしていた男性が、私が髪を切っても全く気づいてくれなくて結構ショックだったことがあり、そのときのことを思い出してしまいました。また、こんなこともありました。いつもよりも気合を入れてお化粧をした日に、「私、いつもとなんか違うと思わない?」と聞いても、「なに?香水でも変えた?」と全く違う点を指摘されて、「あーあ、もうこの人、私に全く関心がないんだわ・・・。つまんないの。」と思ったこともありました。

女性って、自分の外見のほんのちょっとした変化、特に自分の努力によって良い変化をもたらしたと思っている点には気づいて欲しいものなんですよ。特に好きな男性には。男性も同じような感覚を持っているのかもしれませんが、おそらく、女性の方がそういう気持ちは強いと思います。それは、女性は男性よりも「美」を追求しようとする気持ちが強いからです。

努力による美に気づいてもらえると、それに費やした労力などが認められ、自分自身を褒めてもらったような気がして嬉しくなるのです。それに、自分の小さな変化に気づいてもらえるということは、変化する前の姿も覚えていないとわからないということですよね。

すなわちそれは、いつも自分の細かいところまで見てくれている証拠でもあるのです。それもとても嬉しいのです。そういう女心を、私も女だからわかっていたつもりだったのに、あの店員さんの大きな変化に気づかずにちょっと傷つけちゃったかな、と少し反省しています。「なんとなく雰囲気が変わったと思った」ということだけでも言葉にして言えばよかったな、と後悔しているのです。

しかし、以前の私の彼氏のように、当てずっぽうなことを言って変化した点を外してしまうのは却って逆効果です。ではこういうとき、女性に向けてどんな言葉をかけるのが賢明なのでしょうか。それは、変化した点を一生懸命探そうとはしないで、「今日はなんとなくいつもと違う雰囲気がある」、「なんとなくいつもよりも (一段と) きれいに見える」など、素直に感じたままのことを言えばいいのです。(当然、感じなければ言う必要はありません。) おそらく、そう言われて気分を害する女性はいないんじゃないかなぁと思います。女性は、そのような言葉でその日一日をハッピーに過ごせるのです。そうなれば、一緒にいる男性だって笑顔の女性と一緒に過ごせて楽しくなると思うんです。でも、そうは言ったって、実際は本人が努力して変化した点がどこにもなかったとしたらどうするのか?と心配になりますよね。実際は髪を切っていなかった、また、お化粧に気合が入っていなかったとしても、すなわちどこも変化した点がなかったとしても、実はそこはあまり問題ではないのです。

なぜなら、一般的に女性は、好きな男性と一緒にいるときはきれいになる(見える)と言われていますし、実際、キラキラと輝いて見えるのです。だから、「なんとなくきれいに見える」というあいまいな表現では、「なに調子のいいこと言っているの?」というような変な勘ぐりは起こさないものです。むしろ女性は、「そうかなぁ?いつもと変わったところなんてないはずなんだけどなぁ・・・。でも、もしそう見えるなら、きっと今この瞬間が楽しいからだわ。」という思考になり、嬉しい!とまではいかなくても心地良い気分にはなれるのです。

つまり、「今日はなんとなくいつもよりも(一段と)きれいに見える」というような言葉はノーリスクで、しかもハイリターンが期待できるというわけです。みなさんも、奥様や恋人になんとなくいつもとは違う良い雰囲気を感じたら、ぜひ、そう感じたことを素直な言葉で伝えてみてください。きっと、良いことが起こると思いますよ。変化した点を懸命に探し出して具体的に指摘しようとしなくてもいいのです。女性は、「相手(好きな男性)が自分を気にかけてくれている」ということを知るだけで気分が良くなるものなんですから。

<佐藤 彩子>