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コラム

新・業界ニュース温故知新 『実質的な効果創出を目指す業界再編』

 過去の自動車業界のニュースを振り返り、新たな気づきの機会として紹介していたこのコーナーですが、新たな形態にリニューアルします。

 過去の記事で取り上げた内容を振り返り、現在の自動車業界と照らし合わせ、新たな視点で見直していきます。

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『実質的な効果創出を目指す業界再編』

【参照記事】

『400万台クラブ型M&Aと新たな時代のM&A』

◆ダイムラークライスラー、北米クライスラー部門の売却「リストラが仇に」

                    <2007年02月26日号掲載記事>

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【400万台クラブ型M&Aの清算】

 4年前の自動車業界ではダイムラークライスラーによるクライスラー部門の売却につき様々な憶測、情報が飛び交っていた。

 売却ということになった場合には、豊富な資金を誇る投資ファンドが買収に乗り出す可能性が高いが、その場合にはダイムラーとの合併によりバックオフィスがスリムになりすぎてしまい、単独企業として運営できないという問題もあった。そのため、その他の受け入れ先として GM の名前も浮上していた。

 一方、このような規模を追求した 90年代の清算ともいうべき M&A のニュースと同時並行する形で、自動車業界では日系企業も含めた新たな時代の M&A が勃興し始めた。

 2005年のトヨタによるスバル、いすゞへの資本参加などがそれに該当し、M&Aの目的もコストスプレッドによる規模の経済性享受ではなく、むしろグループ内に多くの関連する研究開発テーマを持ち、それらが相互に生み出すシナジー効果によって、より多くのイノベーションを生み出すという範囲の経済性享受を目指してのものになりつつあった。

(4年前のコラムはこちら)
『400万台クラブ型M&Aと新たな時代のM&A』

  
【その後の変化と現状】

 こののち、クライスラー部門は 2007年 5月に投資ファンドであるサーベラスに売却されたが、その後、リーマンショックの影響を受けて、2009年 4月にチャプター 11 を申請し、現在はフィアット傘下で経営再建を目指している。

 クライスラーの引き受け先として名前が挙がっていた GM についても、クライスラー同様、2009年 6月にチャプター 11 を申請し、国有化されていたが、その後、経営再建に成功し、2010年 11月に株式公開を果たした。また、その際には、中国の上海汽車が GM 株の 1 %程度を取得している。

 このように GM、クライスラーの旧ビッグスリー勢がそれぞれ経営再建に励む一方で、2010年 1月には VW とスズキの資本提携が成立した。これは共通して小型車に強みを有しつつ、中国とインドという新興国において地域的補完関係が成立するまさに新時代の企業連合ともいうべきものである。

 また、その後、プジョー&三菱自動車、ダイムラー&ルノー・日産といった話も報道されてきたが、これらの背景には、近年の急激な業界環境の変化により、自社リソースだけでは多様化する販売地域、環境技術をカバーできないという各社の事情が存在する。

 このような状況下では、相互補完関係を構築する必要性に各社が迫られているといえ、業務提携、資本提携問わず、さまざまな提携関係が出現してきている。

 
【実質的な効果創出を目指す緩やかな提携関係】

 4年前を改めて振り返ると、かつての 400 万台クラブ時代の反省を踏まえ、単純な規模の足し算の議論ではなく、あくまで提携による実質的な効果創出が最重要視されつつあったタイミングであったと言える。

 そして、その後これまでの変化を見ても、方向性は大きく変わっておらず、実質的な効果創出を狙った緩やかな業務提携から始まるケースが業界のトレンドになりつつある。

 昨年末に発表された日産、三菱自動車の提携もこれに該当し、今後も劇的な資本提携というよりは、業務提携の延長線上にある資本提携、マイノリティ出資からスタートする形の資本提携、株式の持ち合いといったケースが多くなるだろう。

 むしろ、劇的な資本提携においては、今後、更に新興国の重要性が増大するにつれ、上海汽車のように新興国メーカーが主要プレイヤーになるケースも増えてくると思われる。また、テスラモータースのような環境系の新興勢力も注目の存在となっていくだろう。

 今後、新興勢力も参加してより一層業界再編が活発化していき、その中で新たな業界秩序が形成されていくものと思われる

<秋山 喬>

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