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コラム

販売店舗の役割を再定義する

◆トヨタ、地方の自動車販売店の一部を生活総合支援業に転換へ

<2009年10月25日号掲載記事>

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【生活総合支援業への転換】

トヨタが地方のディーラーの一部を自動車販売業から生活総合支援業に転換する方針を固めたとのことである。

生活総合支援を生業とする店舗は、もちろん自動車販売業を止めるわけではく、生活総合支援の一環として、自動車販売業も引き続き行っていくだろう。
加えて、生活総合支援店舗では、トヨタ・グループが持つ住宅関連事業や現在開発中のパートナーロボットの取り扱いも視野にいれているようだ。

生活総合支援店舗の展開は、2010年以降、東北や四国などにある既存の自動車販売店舗を、順次転換していくとのことである。

今回の取り組みは、店舗を自動車事業だけの資産ではなく、トヨタ・グループ全体の資産と捉えて、その役割を再定義しようというものだろう。

【自動車以外のモノも扱いながら、自動車販売の効率も高められないか】

ご存知のように、自動車販売業は、国内市場が減少傾向にある中で、販社/店舗数の削減と、販社/店舗当たりの効率を如何に高めるかが、業界が抱える命題の一つとなっており、従来から各種の取り組みが行われている。

販社/店舗数の削減では、例えば、各系列で販社統合や販売チャネル・車種の見直しが行われている。販社/店舗当たりの効率を高めるためには、例えば、ダイハツ・カフェプロジェクトのように入店を促進する施策や、一部の系列では、従来のいわゆる新・中・サ総合店舗から、新車販売と整備を切り分けて、それぞれ個別の機能を持った店舗を商圏に応じて配置するといった、分業により効率を高めるような動きもある。

今回のトヨタの施策は、販社/店舗数の削減というより、販社/店舗当たりの効率を高めるための施策と思われる。しかしながら、店舗は、自動車とは異なる、住宅やロボットも取り扱うことになり、自動車販売業から見ると、一見、効率が高まりそうにない。

住宅やロボットを含めたグループ全体での効率も考える必要があるが、同時に、自動車販売業の効率も考える必要があるだろう。店舗が、自動車以外の領域に取り組みながら、自動車販売の効率を高めることはできるのだろうか。

【生活総合支援業の中で、自動車販売の効率を高めるために】

筆者は、店舗が住宅やロボットなど自動車以外の領域に取り組みながら、同時に、自動車販売業の効率を高める可能性はあると考えている。

以前に、シニア世代へ向けた製品・マーケティングを考えるシリーズを執筆したことがある。その時に、シニアが趣味を通じて他のシニアと繋がりたいという気持ちがあるのではないかと考え、そのようなシニアに対し、例えば、店舗を同じ趣味を持つシニアの仲間が集まる場として提供することを提案した。具体例としては、園芸や編物・織物・手芸であれば、育てた植物や創作品の個展の場として利用することや、講師を招いての教室を開催することなどである。

(詳細は以下をご参照頂ければ幸いである)
『シニア世代に向けた製品・マーケティングを考える  第3回』

というのも、まず、個展を訪れたシニアや教室を受講しているシニアは一定時間店舗に留まるため、その間に、洗車や点検など整備の需要を捉えられないかと考えたからである。その中で、顧客との関係性を構築し、新車買い替えの需要に繋がる可能性もあると考える。

今回のトヨタの例で言えば、住宅関連の相談に来た顧客やロボット関連の催しを企画・開催し来場した顧客の整備需要を捉えていくことが考えられないだろうか。

ただ、一方で、効率を考える時には、住宅やロボットを取り扱うために必要な人や物の投資コストも見なければならないだろう。その前段に立つのは、店舗にどのような役割を持たせるかである。

住宅で言えば、展示するだけなのか、実際に営業・サービス対応も行うのか、そのための人員はどうするかなどである。ロボットで言えば、現在開発中であるが、いくつかの試作品をブランド・マーケティングとして利用することも考えられるかもしれない。その場合には、そのコストを店舗だけでなく本社側が一部負担する仕組みも考えられるかもしれない。そうした店舗の持つ役割により、店舗の投資コストは捉え方が変わるだろう。

【顧客が感じるファンタジーの再定義】

今回はトヨタの取り組みを例にしてきたが、生活総合支援店舗という考え方は、トヨタに限らず持てるものだと考えている。

前述したようなシニアとの接点は、自社グループに自動車以外の資産を持たなくてもできるものだろう。また、住宅や生命保険やなど、その他の様々な事業もアライアンスにより可能なのかもしれない。

もともと店舗は、顧客に自動車を売る場所ではなく、「この車を手に入れると、お客様の生活はこんな風に変わりますよ」とか、「この車に乗ると、こんな楽しいことができますよ」などファンタジーを売る場所だと考えている。

(詳細は以下をご参照頂ければ幸いである)
『顧客接点でもっと仕事をしよう!』

環境問題や少子高齢化など時代の流れにより、顧客が感じるファンタジーが変わってきているのではないだろうか。自動車販売ということに囚われず、顧客に、どのようなファンタジーが提供できるかを再定義し、その中で、店舗はどのような役割を持つべきか考える時なのかもしれない。

<宝来(加藤) 啓>

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