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コラム

ご提案-新たなグローバル化の波を転機とした協調関係の構築-

◆トヨタ、円高の影響から今後 5~ 6年で国内の生産台数をさらに 15 %削減へ。
国内での生産台数を 390 万台ある生産能力の約 70 %に減らすと表明。
<2010年 07月 28日号掲載記事>

◆日産、新型「マーチ」の部品における新興国『現地調達率』は 9 割程度。マーチは 3月にタイ、5月にインドで量産を開始している。さらに中国とメキシコでの生産を計画する。日本へも輸出するタイ工場の新興国調達率は 87 %、インド、中国、メキシコ工場では約 90 %に達するという。工場立地国内だけを考えた厳密な現地調達率は 4 工場でほぼ同じで、約 75 %としている。
<2010年 07月 13日号掲載記事>
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本メールマガジンでは、今年 7月 6日配信号にて、弊社秋山が、日産マーチのタイ生産及び日本への輸出を例に、昨今のグローバル化とその経営課題についての見解を述べさせて頂いた。

『更なるグローバル化と取り組むべき経営テーマ』↓
http://www.sc-abeam.com/mailmagazine/aki/aki0289.html

その後、ホンダも環境車へのシフトを前提にした国内工場の再編を発表。国内需要の縮小や生産現地化の加速に伴い、現在年 130 万台ある国内生産能力を将来的に 70 万~ 80 万台に引き下げる方針を打ち出している。

トヨタの動向も上記の通り同様である。

今回のグローバル化=生産拠点の最適化は、国内生産の規模縮小を伴う意味で(勿論、将来環境車の伸びしろが当該縮小規模をカバーしていくことを大いに期待するものの)、自動車部品企業にとってこれまで経験してきたグローバル化とは大いに違った意味合いを持つと言えよう。
 

【グローバル化の経緯】

日本の自動車産業のグローバル化への最初の転機は 1970年代以降の日本車輸出超過による「日米貿易摩擦」を発端とする 1985年の「プラザ合意」であろう。同年 9月に先進五カ国蔵相・中央銀行総裁会議が発表した為替レート安定化に関する合意により、為替レートは1ドル 235 円から1年後には 150 円台となり、35 %を超える急激な円高がもたらされた。既に北米を中心に海外生産に着手していた日本の自動車メーカーは、これ以降、本格的な海外生産に乗り出していくことになる。摩擦や円高に強制されて進出するといういわば受身のグローバル化だった。この時期 自動車メーカーの進出に伴い海外生産を開始した部品メーカーは大手サプライヤーが中心であった。

グローバル化の第二波は、1990年代後半から 2000年代にかけた国際再編のうねりによってもたらされた。バブル崩壊以降、日系自動車メーカーは業績が悪化、経営危機に陥る企業も現れ、国際的な自動車メーカーの合従連衡が相次いだ。結果、海外市場への積極的な取り組みを強化していくことになる。この期間の日系メーカーの海外生産台数は、以下の通り急拡大した。

北米    : 1990年 157 万台 ⇒ 2006年 400 万台
欧州    : 1990年 23 万台  ⇒ 2006年 170 万台
アジア : 1990年 95 万台  ⇒ 2006年 413 万台
中南米: 1990年 16 万台  ⇒ 2006年 75 万台

この時期は攻めのグローバル化の時代と言え、自動車メーカーのみならず自動車部品メーカーも「体力のある」ところは規模を拡大すべく、積極的に海外進出した。
 

【これまでのグローバル化との違い -自動車部品メーカーにとって-】

現在の日本の自動車業界は、国内マーケットが低迷する中、中国を始めとするグローバル経済の動向と企業業績の連動性が一段と高まった状況にある。生産拠点の最適化が進むことで、いくつかのモデルの国内生産はより潜在需要の大きい海外市場に移り、逆に海外拠点から国内に輸入・販売するケースが増えてくるものと思われる。これは国内自動車部品メーカーにとっては非常に厳しい経営環境の変化である。今回のグローバル化では、会社存続ために「体力がない」部品メーカーであっても敢えて海外進出し、あわよくば結果として成長市場も攻略する「攻守一体型のグローバル戦略」が求められてこよう。

つまり、これまでは「人・もの・金」を工面できる比較的足場のしっかりした企業、ないしは海外進出に野心を燃やす企業が成長戦略の一貫として海外進出した。しかし、今後は、その部品企業がたとえ海外進出のための条件を満たさずとも、例えば 「注文が足りない。」「進出のノウハウがない。」「人が足りない。」「資金が足りない。」といった状況にあっても、海外進出を検討・決断しなければならない時局に直面すると考えられる。
もし、その会社が自動車部品の開発・製造技術に卓越したものがあったとしても、海外製造の一部の必要要件を満たさないばかりに力を落としていくことになるとすれば、それは日本の自動車産業にとって大変残念なことである。
 

【協調関係のネットワーク作り】

日本の自動車産業の強さは、「すり合わせ能力の強さ」にあると言われる。これは一般的に技術・製品価値を生み出す際の強みとして認識されている特徴だが、こういった強みを製品開発の領域だけではなく、海外進出のケースでも活かすことはできないだろうか?部門や企業を超えた組織間調整で優れた製品を作ってきた部品企業は、海外進出にあっても互いに知恵を出し合い共同で海外生産展開が実行できるのではないかと思う。

集まった企業でスケール・メリットを作り、「海外進出ノウハウの共用化」、「ロジスティックスの共通化」、また「財務・経理・税務部門」や「(一部)購買部門」のアウトソース、場合によっては「現地従業員の共用化」といった部分にも踏み込むことで、進出自体のハードルを下げることができるのではないか。もし、実現できれば、今回の厳しいグローバル化を寧ろ契機として新興市場を開拓し、新たな成長のチャンスに繋げることもできよう。

また、既に海外進出を成功させている部品企業でも、四極対応等一層のグローバル化に備えるのに人材・ノウハウ・投資の分散希薄化問題を抱えているかもしれない。こういった問題を他社との協業を通して上手に解決していく必要があろう。
 

【生産拠点としての東南アジア】

では、進出先としてどこが良いか?言うまでもなく、現在の世界の成長市場はアジアであり、その中でも中国とインドである。この二大市場とアセアンとの間では今年 1月 1日より自由貿易協定(FTA)が発効している。まだ除外品目があり、関税が完全に撤廃されまでには時間を要するものと思われるが、今後段階的に関税は軽減されるだろう。

一般論であるが、こういった二大市場への部品供給基地として、また今後の潜在的な成長力を持つ市場として、更には日本への部品供給基地としても、アセアン諸国のポテンシャリティは高いとみる。BRICs として注目される新興国だが、日本企業が売り上げを伸ばしているのは「CIBIT (シビット)」(中国、インド、ブラジル、インドネシア、タイ)である。中国・インドに併せ、東南アジア諸国への製造進出は今後の大変重要な戦略と考える。(もちろん進出先は個々の企業を取り巻く諸環境で変わる。まずは個別のケースをじっくり検討することから始めるべきであることは言うまでもない。)
 

【ご提案】

今や日本の全世界における貿易総額の半分はアジアとのものである。アセアン諸国では 2015年までにアセアン協同体を作ろうという動きもあり、今後の「更なるグローバル化」を達成するためにも、また、中国・インド市場を両睨みする意味でも、東南アジアは自動車部品事業にとって重要な製造拠点の一つである。

一連の自動車産業の更なるグローバル化を受け、海外進出を検討されている部品企業・事業部門で これまで「何か」が欠けているために海外進出を躊躇されている状況であれば、是非ご連絡をいただきたい(下記メールアドレスご参照)。こういった企業・事業部門が集まることで横串を通し、Win-Win の解決策が見えてくることもあるかと思う。日本の優れた技術を世界標準として形作っていく意味でも関連する企業の縦横斜めの結束が重要な時期である。

協調関係のネットワーク作りから成長に向けての新たな一歩を見いだしたいと思う。
お問い合わせ先 : info@sc-abeam.com

<櫻木 徹>

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