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コラム

既存ビジネスの収益を確保し新たなチャレンジを行う

◆三菱、クルマと長く安心して付き合う「三菱愛着プロジェクト」

三菱自動車工業は、最長 10年 10 万 km の特別保証などを盛り込んだ「三菱愛着プロジェクト」を、6月 5日から開始する。最長 10年または 10 万 km までの保証は国内メーカーで初。

<2010年06月02日号掲載記事>

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【「三菱愛着プロジェクト」】

国内メーカーでは初となる最長 10年または 10 万 km の特別保証を含む「三菱愛着プロジェクト」が開始された。プロジェクトの概要は以下のとおりである。

1. 「最長 10年または 10 万 km 特別保証延長」
従来、5年または 10 万 km としていた特別保証を、最長 10年または 10万 km まで延長する。

2. 「リフォームサービス」
ボディコーティング、ルームクリーニング、ヘッドライトコーティング、フロアマット交換、室内消臭等のメニューを展開する。

3. 「愛着クーポン」
「洗車」や「ガラス撥水」などクイックカーメニューの割引を受けられるクーポン券を配布する。キーレスエントリーキーの電池交換は無料となる。

購入以降で発生する車ニーズに対応するプロジェクトで、自動車保有期間の長期化を背景とした取り組みである。

【売上増加により一台当りの収益を伸ばす】

台数の増加が難しい国内の市場環境で、収益を確保するために、台当りの収益を伸ばすことを目的とした各種の施策が導入されている。「三菱愛着プロジェクト」も、その一つであろう。

1. 「最長 10年または 10 万 km 特別保証延長」は、5年目以降の車検入庫時に「保証延長点検」を受けることが条件となっており、車検チェーンに流出していた 2 回目以降の車検などの収益獲得を目指す施策である。

また、2. 「リフォームサービス」は購入から一定期間経過した時に発生する車ニーズに対応し収益の獲得を目指す施策であり、3. 「愛着クーポン」は日常的に発生する車ニーズに対応し収益の獲得を目指す施策である。

各社が提供しているメンテナンスパッケージなども同種の施策で、従来から商品開発が進んでいる部分である。

加えて、自動車の電子化などが進む中で、一般整備工場でのサービス対応が困難になり、自動車の構造面からも、新車ディーラーが収益を獲得できる機会が増加するという動きもある。

上記は、これまで流出していた収益を獲得できる機会を取り込み、売上を増加させることで、一台当りの収益を伸ばす方向性の取り組みであろう。

【コスト削減により一台当りの収益を伸ばす】

一方で、コストを削減することで、一台当りの収益を伸ばす取り組みも進んでいる。

従来から調達コスト低減や部品の共通化など各種の取り組みがあるが、国内向けの車両について、今後、海外で生産し国内に輸入することを想定するケースが増えている。

日産の「マーチ」や三菱も新型のグローバルスモールカーをタイから輸入することを発表した。需要の環境シフトや新興国シフトが起こる中で、国内向けの車両も含めて、グローバルで生産体制を見直し、現地調達による調達コストの低減や施設費・人件費の低減などにより、収益性を高める取り組みと捉えら
れるだろう。

また、国内については、商品構成を絞り込む動きもある。先日、ホンダは、グレード・オプション・カラーなどの仕様を絞込み、種類を半分以下にする方針を発表した。

種類を半分にすることで、一種類当りの生産台数が増加し、調達コストの低減や生産の効率化などが期待されるであろう。販売面でも、マーケティングコストの低減や、顧客の選択肢が減ることによりクロージングまでのプロセスが短縮し販売効率が高まることなどが期待されるであろう。

しかし、こうした合理化を進めることで競争力や収益力が低下してしまう可能性もある。例えば、販売車両の種類を減らすことで顧客のニーズに対応できなくなることや、販売台数という観点から見れば少ない車種であるが、車に愛着や拘りを持った層が購入しており、整備入庫などを含めて考えると収益が低下してしまうことなどが考えられる。

上記の例は、モノというリソースの再構築の話しであるが、コスト削減を前提とした人的リソースの再構築を行う場合は、一般に、間接部門の人員や管理職から最適化の検討を始める。営業員など直接部門の人員を削減することは、売上の減少に直結する可能性があるからである。その意味で、モノの最適化も慎重に行うべきであろう。

更に言えば、機能・性能を絞り込んだ低価格車の導入や販売車種の削減が過度に進むと、車の嗜好性が低下し、車は単なる移動手段という趣が強くなり、結果として、「車離れ」と言われる現象が拡大してしまう可能性もある。

【新しいチャレンジのリソースを確保する】

ホンダは上記で述べたような合理化を進める一方で、「CR-Z」という新しい価値観を持った車を販売している。また、「CR-Z」の発売に合わせて、前号のワンクリックアンケートでも取り上げた「mixi」でのプロモーションという新しい取り組みも行っている。

「mixi」でのプロモーションは、認知向上には高い効果が期待できるが、販売促進には高い効果が期待できないというワンクリックアンケートの結果が示すように、改善の余地があるかもしれない。しかし、既存ビジネスの合理化を進める一方で、こうした新しいチャレンジも必要なのではないだろうか。

前述したような売上増加やコスト削減により、既存ビジネスの収益を伸ばしながら、新しいことへチャレンジできるリソースを確保する。言い換えれば、既存ビジネスと新規ビジネスのバランスをどのように取るかが重要だと考える。

<宝来(加藤) 啓>

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