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コラム

エンジニアのための経営学(3)

財務諸表や経営管理指標など経営陣の方々が気にされている数字や指標の意味合いをエンジニアや現場の方々の立場に立って分かりやすく意味付けをしてみようというコーナーです。

『第3回 三大営業資産から見えること』
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日産80%、ダイハツ77%、マツダ67%、富士重62%、スズキ57%、トヨタ40%、ホンダ35%、七社平均49%。
自動車メーカーの総資産(直近2年度の連結本決算上の期末簿価平均値)に占める売上債権、棚卸資産、有形固定資産の3つの合計の比率です。
何か意味ある数字なのかと怪訝な顔をされるかもしれません。ご覧の通りこの比率は少ない会社でも会社の全財産の3分の1以上、多い会社では4分の3以上、平均で約半分に相当するほど重要な資産です。自動車メーカーの資金はこれら3つの資産に投資されている、これら3つの資産をうまく活用した企業が競争を制する、といっても過言ではないくらいに重要なので三大営業資産と呼ぶことにしました。
その三大営業資産にどれだけ資源を集中させるか、各社ごとの戦略の違いがこの数字から浮き彫りになっていると思われることから注目してみました。おそらくその結果として何らかの社内的なテーマが設定されているのではないでしょうか。
日産やダイハツは「三大営業資産以外は持たなくてよい」という『割切り型』。トヨタとホンダは「多少の遊びも必要」という『不合理寛容型』、マツダ、富士重、スズキの3社はその中間に位置する『バランス型』と言えるかもしれません。
(実際、トヨタ、ホンダは金融子会社の金融資産が多いとか、有形固定資産の償却が進んでいる等の理由で三大営業資産以外が図らずも多いという事情もありますが。)
これに「三大営業資産の回転率」(当該資産からその何倍の売上高が産まれているか)を加味してみると面白い傾向が見られます。
ホンダ3.1回、スズキ2.4回、マツダ2.0回、トヨタ2.0回、富士重1.7回、ダイハツ1.7回、日産1.2回、七社平均1.9回。
日産に注目してください。三大営業資産以外は持たない徹底した『割切り型』経営の一方、その三大営業資産の効率は必ずしも高くありません。おそらく改革の手始めが売上への貢献度の弱い無駄な資産の削ぎ落としであり、中枢的な改革の追求は端緒に付いたばかりということではないでしょうか。
まだまだ経営改善の余地があるということで、売上高に対する利益率が高い会社だけに一旦売上効率が上がるとその底力は恐ろしいものがあると言えるのではないでしょうか。
次にホンダです。三大営業資産以外の保有も可とする『不合理寛容型』ですが、三大営業資産には徹底した効率を求めています。日産とは逆に本業部分でのアウトプット効率から入った結果でしょう。付加価値率も高い会社で既存の経営資源からは(まだまだそんなことはないと言われるかもしれませんが)最大限の成果を引き出すことに成功しており、この会社が一層の凄みを出すのは現在の効率を維持しながら(それが難しいのですが)事業規模の増強に乗り出したときではないでしょうか。有形固定資産の償却が進んでいる(設備の汎用化が進み専用設備投資が少なくてすむという一面とある程度老朽化の一面もあると思われます)こともあり、タイミングとバランスに配慮しながら新規設備投資の拡充に進むと強力な会社になると思われます。

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<加藤 真一>

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