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寺澤 寧史 執筆記事
 
 
 
◆ダイムラークライスラー日本、2007年に日本販売を2003年比33%増の7万台へ
 新型車だけで「SLK」「スマート・フォーフォー」など10車種以上を投入

<2004年8月3日号掲載>

 先週のコラムでは、ヤナセが13年ぶりにフォルクスワーゲン(VW)の販売
を再開するというニュースを取り上げたが、今回は同じヤナセを販売チャネル
に持つダイムラークライスラー日本が 2007年に日本での販売を 7 万台に拡大
するという記事について論じてみたい。

 まず日本市場における輸入車販売台数の状況であるが、2000年27.5万台、
2001年 27.5 万台、2002年 27.8 万台、2003年 27.9 万台と、率はともかく台
数として殆ど増加しておらず、限られたパイの中でのシェア争いという基本的
な構図に変化はない。

 その中にあってダイムラークライスラーの主力ブランドであるメルセデス
ベンツは、2000年5.2万台、2001年5.7万台、2002年5.0万台、2003年4.7万台と
現況伸び悩んでいる。2003年のメルセデスベンツの販売実績は、VWに 0.9 万
台、BMWに 0.2 万台のリードを許すこととなった。
 ダイムラークライスラーの主力ブランドであるメルセデスベンツが日本市場
で3位に転落するのは、史上初めての出来事である。
 BMWが、MINI (2003年の販売実績 1.3 万台)の投入により、メルセデ
スベンツと入れ替わって 2 位に躍進したのと好対照である。

 先週も取り上げたように、VW の高級車拡充やヤナセチャネルを活用しての上
級移行戦略や、トヨタのレクサス導入(05年 8月)により、高級車市場は一層
の競争激化が予想されており、守勢に立たされたダイムラークライスラーがど
のような対策を打ってくるかに注目が集まっていた。

 その回答として用意されたのが 8月 2日の報道である。新型車 10 車種以上
を投入し、マイナーチェンジも積極的に実施していくとコメントしており、合
わせて、販売店全店にドイツダイムラークライスラーグループの世界統一基準
の導入していくという方針である。商品と店舗のてこ入れにより、4年間で日本
での販売を 33% 拡大し、2007年には販売台数 7 万台を目指すという積極策を
打ち出した。

 拡販を目指す上で、品揃えの充実はもちろん重要なことだが、問題は店舗
(特にシュテルン系)のてこ入れがどの程度本格的に進むかにかかっているだ
ろう。というのも、以下の事情があるからである。

 (1)メルセデスベンツの正規ディーラーは、ヤナセとシュテルン系の2チャ
    ンネルで約 230 拠点であるが、シュテルン系は拠点数で 55 店舗、年
間販売台数で約 9 千台といずれも全体の 2 割に過ぎず、8 割をヤナ
セ系に依存したままである。

(2)そのヤナセは、先週も述べた通りメルセデスベンツの競合ブランドの
取扱を強化している。BMW(11 店舗)、Audi(25 店舗)、V
W(2005年春から)等である。
 
 いくら商品力を強化したとしても、その商品の魅力を顧客に伝える販売チャ
ネルの強化が進まず、逆にそのフォーカスが分散してしまっては拡販には程遠
い。販売店へのグローバル CI (コーポレート・アイデンティティ)の導入は、
確かにブランド力を強化するだろうが、投資を伴うことでもあり、販売店側に
投資の見返りとなる動機付けがない限りうまく機能しない。

 そこでダイムラークライスラー日本の立場で検討してみる価値があるのは、
三菱自動車系列のシュテルン店の強化策であろう。
 シュテルン店には三菱自動車ディーラーの経営によるところも多いが、本体
側で売るべき商品がなく、新型車も当面出てこないことから開店休業状態にな
っている店舗や、閉店に追い込まれている店舗が相次いでいる。
 小売店にとって、販売の最大の動機付けは品揃えであり、ついで店舗の改装
(アップグレード)や販促の支援、トレーニング等である。

 ダイムラークライスラー日本が品揃えの強化に加えて、これら一連の販売店
梃入れ策を本気で実行していくのであれば、中期的な販売拡大も画餅ではなく
なることだろう。
                        <寺澤 寧史>

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