◆自工会の小枝会長、「自動車リサイクル料、見込みより安く設定できそう」
自工会では当初、1台当たり2万円前後と見込んでいたが、「破砕くずの処理
方法を効率化してコストダウンができた」と小枝会長。「各メーカーから計
1000人以上が派遣されたうえ、100億円以上を投じて処理システムを作り上
げた。処理にかかる変動費部分をユーザーに負担していただく必要性をしっ
かりとPRしたい」という。
<2004年7月13日号掲載記事>
2005年 1月に完全施行される「使用済み自動車の再資源化に関する法律(通
称自動車リサイクル法)関連の中で、消費者が負担することになるリサイクル
料金の概要が (社)日本自動車工業会及び主要自動車メーカーから公表された。
ここではリサイクル料金の中身より自動車リサイクル法そのもの及びこの自動
車リサイクル法でカバーしきれていない事柄について述べてみたい。
1.自動車リサイクル法について
ポイントは、シュレッダーダスト(ASR)、フロン類、エアバッグ類の
回収、適正処理の責任は自動車メーカー(およびインポーター)、処理費用の
負担は消費者と、責任と負担を明確にしたことである。
また、中間法人「自動車リサイクル促進センター」に両者の間を資金面で繋
ぐ役割を負わせ、制度が円滑に回る仕組みを用意したことである。
リサイクル料金は自動車メーカーが車種ごとに決定することとして、競争原
理を取り入れたところも特徴である。
自動車リサイクル法で規定されている使用済み自動車は、年間約 500 万台程
度発生しているといわれ、そのうち約 100 万台は中古車として海外輸出されて
いる。すなわちおよそ 400 万台が自動車解体事業者の手によって処理されてい
る。
この解体事業者の段階で、ボディ、エンジン、外装部品、内装部品、タイヤ
などがリユース、リサイクル化されている。その残滓がシュレッダーダスト
(ASR)である。
リサイクル率の政府目標 95% に対して、実態は 75〜 80% にとどまっている
が、その最大の要因が不適正な ASR 処理(不法産廃物投棄)にあると見て、こ
れを正規の回収ルートに乗せることを目的としたものだ。
読者の多くの方も記憶されていることと思うが、1990年代当初に香川県豊島
に大量に不法投棄された産業廃棄物が野積みにされたという、”豊島問題”は
戦後最大の不法投棄事件といわれ、それまで余り重視されてこなかった廃棄物
問題を、わが国最優先の環境問題にクローズアップさせ、廃棄物行政の見直し
を行う引き金を引く事件となった。
今回の自動車リサイクル法でも、当面は ASR の処理は埋立でも許容される
(リサイクル率にカウントされる)形となっているが、本当の意味での循環型
社会形成のためには、サーマルリサイクル(熱回収)等、より根本的な解決策
が望まれる。また、リサイクルしやすい素材開発、環境負荷物質低減等の課題
も残っている。
とはいえ、ASR の適正処理プロセスが固まったことは大きな前進であり、歓
迎したい。
2.自動車リサイクル法でカバーされていない課題
環境省が平成 13年 8月に行った「使用済み自動車の不法投棄、野積み状況調
査」によれば、全国で 12.6 万台にも及ぶ自動車が違法状態で放置されている
ことが判明している。
上記 1.にて、2005年 1月以降は解体ルートに入ってくる年間 400 万台の使
用済み自動車のリサイクルについては制度上では道筋がついたと述べた。
しかしながら、解体ルートに入ることなく不法投棄されるこれら 12.6 万台
の放置自動車については、自動車リサイクル法でも網掛けができていない。
これらについては、従来、制度もないまま各自治体がやむなく限られた予算
の中で処理してきたのだが、今回の制度においてもその解決策は提示されてい
ない。
解体ルートに入らない自動車をどのように捕捉するのか、誰の費用負担と責
任において、その回収を進めるのか、技術的に難しい問題ではあるが、放置し
ておくと今回の制度との整合性や公平性に支障を期し、最終的に今回の制度の
実効性にも影響しかねない。次なる課題であろう。
<寺澤 寧史> |