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大谷 信貴 執筆記事
 
 
 
『誰もが期待する交通渋滞の緩和』

◆パーク 24、多機能 IC カードに対応し、パーク&ライドの取り組みを強化

 (財)大阪市交通局協力会発行の「OSAKA PITAPA」の利用者に、駐車後 24
時間以内の最大料金を通常 500 円→ 400 円とする優待駐車料金を設定し、パー
ク&ライドの顧客を誘引へ。

   <2006年02月28日号掲載記事>

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 自動車(Automobile)とは文字通り、自動(Auto)で移動(Mobile:モバイ
ル)可能な道具であり、この道具の普及は個人や法人(諸企業)の活動範囲を
劇的に拡大させてきた。

 しかし、近年ではこの道具の普及が「自由に動き回る為の限界数量」である
クルティカルマスを超え、道路というインフラの上に溢れかえっている状況が
散見される。

 こうした「状況」のことを日本語では「渋滞」と呼ぶが、渋滞は大きく分け
て「経済活動の停滞」と「環境面の悪化」という 2 つの問題を発生させる。

【経済活動の停滞と環境の悪化】

 国土交通省の試算によると交通渋滞が生活に及ぼす影響は、渋滞が無い場合
と比較すると損失時間は全国で年間約 38 億時間で、1 人当たりにすると約 30
時間にも及ぶ。この損失時間を金額に換算すると全国で年間約 12 兆円、1 人
当り年間約 9 万円が失われていることになる。

 一方、地球温暖化の原因の一つとされる二酸化炭素の排出量を見ると、運輸
部門の排出量は日本の全排出量の 21 %と 2 番目に高く(トップは産業部門の
38 %)、その内の 9 割が自動車となっている。二酸化炭素は速度が低下する
と燃料の消費量が増加し、排出量も増加する。乗用車では一般道路の平均速度
40km / h を 1.00 とした場合、渋滞などで速度が 20km / h になると排出量
は 1.45 倍に増加する。

 つまり渋滞が増えるほど二酸化炭素の排出量も増加する。

【今後も増加が予測される交通量】

 日本における乗用車の保有台数は 1975年の 1600 万台に比べ 30年後の 2005
年では 5600 万台と 3.5 倍に達している。

 国土交通省が発表している自動車の交通需要予測によると、将来人口の推計
をもとに地域別、男女別、年齢階層別の免許保有人口を算出したところ、女性
や高齢者の免許保有が高まることから免許保有人口、乗用車保有台数は 2020年
頃まで増加する見通しである。

 乗用車の交通量についても乗用車保有台数の増加の影響を受けて、2030年前
後に現在の 121 %まで増加し、その後減少すると予測している。

 上記の傾向は既に成熟したクルマ社会を形成し、人口増が見込めない欧州先
進国の 1985年−2000年の推移でも検証出来ており、日本の交通量は今後約 15
−25年間も増加傾向が続くと予測されているのである。

 国土交通省や各地方自治体が主体となって実施している交通需要マネジメン
ト(TDM)は自動車の効率的利用や公共交通への利用転換を促進させ、交通量の
調整を図るものだ。具体的な対策事例はロードプライシング、カーシェアリン
グ、パーク&ライド、ノーマイカーデーなどがある。しかしながら、行政主導
で行われてきた上記の施策は、実験段階で期待したような成果が実現できてい
ない。

【大阪市交通局とパーク24の協業】

 TDM の施策の 1 つであるパーク&ライドについて、大阪市交通局と時間貸駐
車場「タイムズ」を運営するパーク 24 は普及と促進を図るべく提携した。
(財)大阪市交通局協力会が発行する多機能 IC カード「OSAKA PiTaPa」を軸
としたサービスの展開である。

 パーク&ライドとは、自動車を郊外にある鉄道駅またはバス停に設けた駐車
場に駐車し、そこから電車やバスの公共機関を使用して目的地に向かう方法で
ある。既存のインフラを活用するため、比較的多くの地方都市が導入している
手法である。

 時間貸駐車場の大手であるパーク 24 は、駅前に駐車場を整備し乗り換えの
タイムロスを最小限化するだけでなく、既存事業の首都高カードや SUICA の相
互利用で培った IC カードの決済利便性を本事業で応用することで、パーク&
ライドを利用しやすい環境を整えている。

 電車・バスを利用する際に端末機にタッチして料金を精算する多機能 IC カー
ド「OSAKA PiTaPa」を全国の「タイムズ」パーキングの精算でも使用可能とし、
貯まったポイントで公共交通乗車料金を割り引くシステムを導入。しかも「OSAKA
PiTaPa」で駐車料金を決済する利用者のみの特典として駐車費用の割引料金の
適用、2 倍のポイントアップキャンペーン(期間限定)を実施する。

 利用客はパーク&ライドを一つの交通手段として考えているに過ぎないこと
を踏まえ、単にインフラを整備する従来の導入方法とは異なり、利用客の利便
性に訴求した手法を取り入れたのが特徴である。

【自動車メーカーへの期待】

 自動車メーカーは決して「機械製品」としてのクルマを顧客に提供している
のではなく、飽くまでもこの「製品」を媒体として経験することが可能な「喜
び」(即ち「価値」)を提供している。

 具体的には自由に移動する・運転する喜びを提供しているのだ。

 しかし、現代の交通環境下における都市部では、こうした価値が薄れつつあ
るのも事実であろう。

 価値の維持・拡大の為には、道路インフラの整備という行政の対応も重要で
あることから、昨年 12月に自動車メーカー各社トップ自らが道路特定財源の一
般財源化への反対活動を行ったと理解出来る。

 さらに、製品そのものの開発段階での工夫(例えば、去年の東京モーターシ
ョーに参考出品されたトヨタ『i-swing』のような事例=パーソナルモビリティ)
にも着手していることと理解しているが、本コラムで取り上げている新たな自
動車利用のあり方(TDM など)の模索にも積極的に関与していくことは大切で
あろう。

       <大谷 信貴>

 
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