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長沼 要 執筆記事
 
 
 
新進気鋭のモータージャーナリストで第一線の研究者として自動車業界に携わ
る長沼要氏が、クルマ社会の技術革新について感じること、考えることを熱い
思いで書くコーナーです。

【筆者紹介】

環境負荷低減と走りの両立するクルマを理想とする根っからのクルマ好き。国
内カーメーカーで排ガス低減技術の研究開発に従事した後、低公害自動車開発
を行う会社の立ち上げに参画した後、独立。現在は水素自動車開発プロジェク
トやバイオマス発電プロジェクトに技術コンサルタントとして関与する、モー
タージャーナリスト兼研究者。

……………………………………………………………………………………………

第13回 『VW ドライビング エクスペリエンス−Eco Drive Training』

 燃費はクルマ、環境(道路)、ドライバー、の三つの要素で決まる。
 その第一の要素(クルマ)についてバックナンバーでお伝えしたが、今月は
三つ目の要素(ドライバー)についてあるイベントを報告する形で紹介したい。
http://www.sc-abeam.com/mailmagazine/naganuma/naga0165.html


 なお、本内容はモータージャーナリスト清水和夫氏主宰の動画サイトに筆者
が執筆したコラムからの抜粋です。
http://www.startyourengines.jp/mobility-tribune/2008/01/000734.php


 その中でドライバーによる燃費向上手法をおしえてくれる興味深いイベント
がある。それが”VW ドライビング エクスペリエンスーエコドライブトレーニ
ングー”。VWは本国ドイツで既に定期的に開催されている同イベントを日本流
にアレンジして日本でも今年から本格的に開催をすると発表した。日本での開
催ではVWとNPO法人mobility21が共同開催するこのイベントをSYEで取材させて
頂いたので詳細な内容はぜひ動画で確認して頂きたいが、少しコメントにて紹
介してみたい。

 イベント内容は講習と実走行から構成されている。VWが用意しているテスト
車両を使用してまずは各自普段の運転で設定されたコースを走ってもらう。こ
れはテストコースではなく一般の道路で、取材時はお台場付近で約15分くらい
のコース設定だった。そして燃費向上に関する講習を受けた後、清水和夫氏を
チーフインストラクターする講師陣からの指導のもと、再び同じコースを走る。
そして講習前後での燃費の違いを体験してもらおうというもの。

 ほとんどの参加者が約20%の燃費向上を体験できていた。2回目の走行後に
は講習前後での運転パターンの違いをグラフと表を使ってインストラクターが
説明してくれる。そのデータには、燃費だけでなくエンジン回転数や車速の履
歴が記録されて自分の運転がまる裸にされた気分で少し恥ずかしいが、自分の
クセがわかったりするので非常に興味深い。最近ではオンボードコンピュータ
で瞬間燃費が表示されるクルマも多いが、車速、エンジン回転数、ギア等がグ
ラフで表されるのは理科の実験のような面白さがある。そして肝心の燃費向上
が、数字で表れるのも嬉しい、特にg/kmという単位で表示される CO2排出量の
低下には、何か新鮮な気持ち良さが味わえる。


 さて、テスト車両に用意されるのはゴルフGT TSI。昨年多くの話題をさらっ
たこのクルマ、クルマ本来が持つ「走る楽しさ」と「燃費の良さ」を両立した
とても魅力的なクルマだ。1.4Lという小さい排気量だが、スーパーチャージャ
ーとターボチャージャの二つの過給器を装備し、十分すぎる低速トルクと高回
転時まで気持ちのよいパワーを発生する。ダウンサイジングがもたらす燃費向
上と直噴+過給器による走りの楽しさのキープというこれからのトレンドを先
取りしたエンジンの力をタイヤに伝えるミッションには、DSG というトルクコ
ンバータを持たない最先端ミッションが搭載される。二つのクラッチを使い6
速のギアを2軸に配置することで、ギアチェンジ時のトルクの切れがないスポ
ーティな走りが楽しめる。そして伝達効率の点でもMTと変わらない事から燃費
はMT同等だ。むしろ、ATモードでの変速スケジュールが優秀なこともあり、多
くの場合はMTより燃費がよいかもしれない。

 このように、走りと燃費を両立させたクルマで、燃費を意識した運転手法の
講習を受け、その効果を実感できるというこのイベント、ぜひ機会があれば参
加して頂きたいとお勧めしたい。ガソリン価格の高騰、高まる二酸化炭素削減
要求と、クルマの燃費に関わる話題に事欠かない最近、今まで意識していなか
ったドライバーも燃費に関心をよせているのではないかと思う。


 今までクルマの性能というと走りの性能が主役だったが、走りの楽しさと同
じくらい、最適な燃費で走れる事の楽しさを実感してみて欲しい。サーキット
走行で最速を目指すためには、タイヤの使い方、エンジンの使い方、ギアの選
択、等多くの理論に基づいた操作が必要となるが、燃費の最適化を目指すのも、
同じくクルマの構造をよく知り運転するという事で同じ楽しみがある。

 そして誤解して頂きたくないのが、このイベントでも強調していたように、
燃費向上は決してゆっくり走る事ではない、という点。道路状況に応じた最適
な走り方、速度を維持した上で燃費向上が可能だと言う事を実感できるのも貴
重だ。これからはサーキットでは最速を、一般道では最適燃費を、意識してド
ライブしてみてはいかがだろう。


 最後に同イベントが提唱するエコドライブ10か条を下記しておくのでご参考
まで。

1.短距離走行は、なるべく避けよう
2.なるべく軽く!不要な荷物は積まないように
3.タイヤ空気圧を高めると、燃費に効果あり
4.ルートは事前に確認、カーナビなどで渋滞を予測
5.暖気は不要、エンジンをかけたらすぐにスタート
6.できるだけエンジン回転数を下げて走るのがコツ
7.交通の流れを読むことは、安全と燃費に効果的
8.適切なアイドリングストップも効果的
9.必要なとき以外はエアコンを切ってみよう
10.オイルやタイヤの交換時も、エコを意識



                             <長沼 要>



















 
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