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 岸田 能和 執筆記事
 
 
 
自動車業界を始め、複数の業界にわたり経験豊富なコンセプトデザイナーの岸
田能和氏が、日常生活のトピックから商品企画のヒントを綴るコーナーです。

【筆者紹介】
コンセプト・デザイナー。1953年生まれ。多摩美大卒。カメラ、住宅メーカー
を経て、1982年に自動車メーカーに入社。デザイン実務、部門戦略、商品企画
などを担当。2001年に同社を希望退職。現在は複数の業界や職種の経験で得た
発想や視点を生かし、メーカー各社のものづくりに黒子として関わっている。
著書に「ものづくりのヒント」(かんき出版)がある

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第40回 『早起きのヒミツ』


 ここのところ、どんなに夜更かしをしても朝 5時くらいには起きている。そ
れも、目覚まし時計を使わずに。それは、我が家にいる猫の"じゃじゃまる"が
起こしてくれるからである。彼は、朝の 5時頃になると決まって私の足を引っ
かきにくる。引っかいたあとは、私の顔を見に来て、起きているかどうかを確
認する。それでも、起きないでいると、枕もとにやってきて、私の顔に軽く爪
を立てる。そうなると、いくら眠くても起きずにはいられない。たまに、ふと
んに潜り込んで、攻撃をかわすこともあるが、敵もさるもの引っかくものであ
る。ベッドの横にある棚からラジオやら本を床に落とし始める。そうなると、
白旗を揚げて、起き上がるしかない。すると、しっぽを膨らませ、「みゃあ、
みゃあ」と甘えた声を出しながら、私を下の階へいざなう。私がモタモタと降
りていると、「早く降りてこい!」とばかりに振り向いて「みゃあ」となく。
彼は、一分でも早く朝ごはんが食べたいのだ。眠気まなこで、朝ごはんをあげ
ると、彼はそそくさと食べる。問題はそのあとだ。食べ終わると、私などに見
向きもせず、窓辺に行って外を眺めている。早起きして、ごはんを用意してあ
げた私に一言くらい、挨拶があっても良いと思うのだが、そんなそぶりは一切
ない。

 前置き(?)が長くなったが、私がどんなに眠くても起きているのは、なぜ
だろうか。それは、毎朝、"じゃじゃまる"が迷わずに私のところへきてくれる
ことがウレシイのである。つまり、"じゃじゃまる"が「私のことを必要として
くれる」という思いが、私を起こすエネルギーになっている。

 たまにはユーザーもメーカーに対し「みゃあ、みゃあ」と甘えた声を出して
みてはどうだろう。

 「世の中にはいろいろなメーカーがあるし、価格ももっと安いところもある
けど、あなたのメーカーのここが一番気に入っている。大ファンです」などと、
真顔で言われたら、誰でもウレシクなる。すると、「そこまで、私たちのメー
カーを必要だと思っているのなら、もっとスバラシイモノを作ってみよう」と
思うのが人情だろう。

 相手に対して、不満をぶつけて改善を要求するのも大切だが、後味の良いも
のではない。反対に、相手の良いところを誉めたり、気に入っているところ伝
えたりすることで、自分自身もの気持ちも晴れやかになる。その上、相手が、
その気なって、がんばろうと思い、さらに良いものを作り始めれば、しめたも
のだ。そんなファンがいたからこそ、個性的で競争力のあるメーカーに成長し
た例は多い。


                            <岸田 能和>




































 
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