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木村 友則 執筆記事
 
 
 
弊社親会社であるアビームコンサルティング(旧デロイトトーマツコンサルテ
ィング)が、自動車業界におけるモノづくりから実際のチャネル戦略に至るま
で、さまざまな角度から提案していく。

第1弾は、アビームコンサルティング IES 事業部の木村友則ディレクターが、
新しい経営手法として注目される PLM を4週に渡って紹介する。今回はその最
終回にあたる。

第1弾『自動車業界における「PLMの衝撃」(4)』

<衝撃その 4:PLM は、「コラボレーション・ハブ」モデルの基盤となる>

             (日刊工業新聞 2004年06月03日掲載記事)

 製造業のスピード競争には、「速い」と「早い」がある。「速い」は、設計・
生産リードタイムの期間短縮を競い、「縮める」、「合わせる」の意味もある。
それに対し 「 早い 」 は、他社に先駆けて新商品を市場投入することである。
日本の自動車メーカーは、その両方のスピードレースで優れる。04年 3月期で
トヨタは販売台数で世界第3位だが、連結純利益は1兆円を超え、自動車業界
で世界1位になった。それはかつて「癒着したケイレツ(系列)」として揶揄
されたが、長期にわたって培ってきたチームスピリッツで勝ち得た栄光といえ
る。

 しかし、トヨタはもっと純利益が出てもおかしくない。それは、新たな市場
にチャレンジし、参加者全員でその戦略の「仕様」をカタチにするチームスピ
リッツとその「仕組みづくり」の継続によって達成できる。それは、実直で粘
り強い「モノづくり」の「カイゼン」と「改革」の積重ねが基本である。

 市場は常に変化し、モノとサービスのイノベーションが常態化している。カ
イゼンだけでなく変革も求められる時代だ。変革はモノづくりだけでなく世界
市場を見据えたモノとサービスの仕様融合を図ること、つまりダイナミックに
顧客感動を与えることである。

 クルマもモジュール化が進み、従来のケイレツの枠を超えた合従連衡の動き
がある。しかしモジュール化が進みつつあるといっても、今日の自動車業界は、
コンピュータメーカーのように世界中から部品を調達する水平分業モデルでは
ない。メーカーと 1 次、2次サプライヤという階層型の「垂直統合モデル」の
傾向が強い。個性的かつ快適なクルマの生産を目的に、多くの部品でバランス
とまとまりの良さを追求することで付加価値を上げてきた。しかし「商品づく
り」の「変革」となると、垂直統合に加えて水平分業のマトリックス型の傾向
が鮮明になる。モジュールの組み合わせと、擦り合わせ・つくり込みの両方を
今以上に工夫しなければならない。このビジネスモデルを「コラボレーション・
ハブ」モデルと呼ぶ。

 これを背景に IT の世界で特筆すべき「サービス指向アーキテクチャ(SOA)」
という IT 設計思想が進んでいる。SOA により、情報の共有化やプロジェクト
管理、オークション機能などのアプリケーションが利用でき、結果的に自動車
メーカーとサプライヤーは、システムとパートナーシップの柔軟性を向上でき
る。

 現在の垂直統合モデルは、クローズな企業間関係である サプライチェーン・
マネジメント(SCM)の実装が進む。しかし、次代の「コラボレーション・ハブ」
モデルになると、SCM に加えオープンな企業間関係を処理する e マーケットプ
レイス機能も必要になる。いわば縦串と横串をうまく組み合わせることである。

 自動車メーカーとサプライヤー間の e マーケットプレイス 「Covisint」 は、
オークション機能で話題となったが、失敗事例として扱われるケースが多い。
そこで「コラボレーション・ハブ」を介した、企業間にまたがるアプリケーシ
ョンと商品づくりプロセスを緊密に結合することが重要。PLM は、その中央広
場の基盤構築に寄与することになる。

                        
<木村 友則>

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