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宝来(加藤) 啓 執筆記事
 
 
 
『東京モーターショーからディーラーが学べること』

(「東京モーターショー 2005」が報道公開で開幕)

一般公開日は 22日 (土) から 11月 6日まで。週末が 3 回含まれ、前回よりも
更に足を運びやすくなった。13 ヶ国 1 地域から 239 社、5 政府、1 団体の出
品者により、最先端のモデル 571台を展示。世界初公開の 79台のほか、日本初
公開の 120台が披露される。

                 <2005年10月19日号掲載記事>

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 東京モーターショーが開幕した。モーターショーは世界中で開かれているが、
東京モーターショーは、来場者数が世界 1 であり、前回は 140 万人の人々が
足を運び、今回は 150 万人ともいわれている。ちなみ 2 位はニューヨーク、
パリで 120 万人である。世界の自動車工場とよばれるデトロイトは意外と少な
く 6 位の 77 万人である。

 150 万人もの人々を来場させる力はいったい何なのか、その何かを販売の現
場であるディーラーに活かすことはできないかという観点から、筆者自身が東
京モーターショーを訪れた際に見てきたことも踏まえて、今回は考えてみたい。

 補足させていただくと、自動車販売におけるプロセスは、大きく分けて以下
の 3 つである。

 (1)ブランド・クルマを認知してもらう
 (2)購買の動機付けを行う
 (3)実際に購買する

 3 つのプロセスの中で、自動車メーカーとディーラーの役割分担は、自動車
メーカーが(1)と(2)、ディーラーが(3)である。東京モーターショーは各ブース
に商談スペースは用意されているものの、主には(1)、(2)である。そのため(3)
に直接的に役立つことを抽出することは、そもそも難しいことであるが、150 万
人という集客力を誇る東京モーターショーから、何か学べることはないか、活か
せることはないかを考えてみようという趣旨である。以下では、’実現可能性
があること’と、自動車メーカーとの役割分担という面やディーラー各社の投
資という面などから’チャレンジの価値があること’という 2 つに分けて記載
していく。

【実現可能性があること】
<他では見られないものがある>
 東京モーターショーには、世界中のブランドのニューモデル、コンセプトカー
、主要モデルが同時展示されている。他では見ることができないものだ。

 ディーラーレベルでコンセプトカーを展示することは難しいかもしれないが、
他では見られないものを展示する方法はある。例えば、カスタマイズカーやク
ラッシックカーをショールームに展示することなどが考えられる。

 モデルや対象顧客に見合ったカスタマイズをすることにより副次的な効果と
して、オプション製品やカー用品の販売増も期待できるのではないか。

<非日常性による集客>
 東京モーターショーは一つの祭りであり、日常から切り離された特別な空間
になっていることが魅力の一つになっている。ディーラーレベルでも非日常性
を演出することはできないだろうか。

 以下の 3 つの切り口から非日常的な演出を考えてみる。
1.展示モデルによる非日常的な演出
 現在でも東京ドームで行われる輸入中古車フェアやホテルでの新車発表会を
除けば、オフサイトで多数のモデルが一同に展示されることはあまり一般的で
はない。新車ディーラーと中古車ディーラーの合同展示会、異なるブランド合
同の新車展示会といった展示モデルの組み合わせで非日常的な演出をする。

2.展示場所による非日常的な演出
 実際にはスペースやアクセスの制約があるが、ゴルフ場・高級レストランで
高級車を展示する、オートキャンプ場で SUV を展示する、エステサロンで女性
専用車を展示するといった展示場所で非日常的な演出をする。

3.展示場所におけるソフト面での非日常的な演出
 販売員の服装をタキシードにする、モータージャーナリストを招く、オーロ
ラビジョンを使用する、バンドやピアニストオペラ歌手を招く、展示会場に
特殊なにおいを漂わせるといったソフト面で非日常的な演出をする。

<イベントを定番化する>
 東京モーターショーは 2年毎に開催されること、そこには他で見られないも
のが並んで、非日常性の演出があることを多くの人が記憶している。そのこと
が集客力を高める効果を生んでいる。他にも映画館で行われている毎週水曜日
はレディースデーだとか、スーパーでは毎月 15日は冷凍食品半額だとか、定番
化されたイベントは結構ある。いずれも定番化することで顧客の記憶に定着さ
せて集客効率を高めているのである。

 こうしたイベントの定番化の概念をディーラーにも持ち込めないだろうか。
例えば、ディーラーの集客は週末に偏りがちである。平日の集客を高めるため
にも、毎週水曜日はペーパードライバーの主婦のための安全運転講習の日を作
るといったアイデアが考えられる。

【チャレンジの価値が高いこと】
<オートモールを検討する>
 東京モーターショーが集客を促す魅力の一つは、複数ブランドのクルマを一
同に見られる限られた空間機会ということにあることは既に述べた。

 それを日常的な空間で実現する方法が米国で普及しているオートモールとい
う流通形態である。米国での行政や不動産デベロッパーが自動車ディーラーを
一区画に集めたいわばディーラー団地のようなものを造成、運営し、資本系列
もメーカー系列も異なる複数のディーラーに賃借することがある。それがオー
トモールである。

 つまりオートモールにおいては土地の所有者とディーラーの経営者が異なり、
土地の所有者はオートモールのインフラ(交通アクセスを含む)整備や集客プ
ロモーションに専念し、ディーラーは成約活動やサービス活動に専念できる分
業が成立しているのである。

 日本では岐阜のカラフルタウンに類似形態を見るのみで、そのカラフルタウ
ンも厳密な意味ではオートモールとはいいきれない。

 理由は 2 つある。
1.全てトヨタ系列の店舗であり、ホンダや日産のクルマを見ることはできない
2.イトーヨーカドーや映画館などが同居するパワーセンターの形態でどちらか
  というと、そちらの方がメインになっている(ディーラーは付属の展示場の
  ようになっていて販売活動を行う場になっていない)

 日本に本来の意味でのオートモールが存在しない理由は主に 3 つあろう。
1.成熟社会に入り、ディーラーの新設が不活発
2.他銘柄との比較購買につながりやすいオートモールをメーカーが必ずしも歓
  迎しない
3.土地代が高いため、古くからの地主以外が不動産を借りてまでディーラー経
  営を行うことの採算性の限界

 しかしながら、1.は昨今のディーラー統廃合の流れの中で複数テリトリーを
一元化すると同時に中間地域に移転することが検討課題になる。2.も集客のた
めのプロモーションコストに多額の支出を掛けられない輸入車では検討の動き
があるようだ。

 問題は 3.の土地の高さだが以前、長谷川が取り上げた不動産投資信託(REIT)
を用いて、REIT に土地を所有させるという形態が考えられる。

〔不動産投資信託(REIT)については、以下をご参照いただきたい〕
http://www.sc-abeam.com/mailmagazine/hase/hase0059.html

 オートモールが日本に定着すれば、ユーザーにとっては自動車を検討する際
に、複数メーカーのディーラー店めぐりという手間が省け、ディーラーにとっ
ては購買意欲の高い見込み客の集客力が高まる効果が見込まれる。

<異業種を取り入れる>
 日産のブースにスポーツブランドであるアディダスと共同でデザインした NOTE
が展示されていた。これはメーカーレベルでのコンセプト面での異業種との連
携だが、ディーラーレベルでは集客面で異業種を提携することを検討してみる
価値がある。

 一例としては、以前、筆者が取り上げたダイハツカフェプロジェクトがあげ
られる。店舗をカフェ風にアレンジしてカフェの来店客をディーラーへの集客
につなげる取り組みである。

〔ダイハツカフェプロジェクトについては、以下をご参照いただきたい〕
http://www.sc-abeam.com/mailmagazine/horai/horai0077.html

 異業種との連携を考えるときには、’ついで買い’ということから考えると
よいであろう。自動車における’ついで買い’は想像しにくい部分ではあるが、
新居購入や引越し、ベビー誕生の’ついで’に新車を購入する人が多いことか
ら、住宅販売会社や大手家具店、ベビー用品店等との連携を検討する価値があ
ることを以前、加藤が述べている。

〔「ついで買い」については、以下をご参照いただきたい〕
http://www.sc-abeam.com/mailmagazine/kato/kato0025-2.html

 広い意味でのショッピングバスケット分析により集客力を高める方策が見つ
かるのではないだろうか。

【まとめ】
 今回は、東京モーターショーからディーラーにおいて学べることはないかと
考えてきた。ご提案内容は、以下の 5 点である。既に取り組んでいることもあ
るかもしれないが、日々の活動や、今後の方向性を検討する際の一助となれば、
嬉しい限りである。

<実現可能性があること>
1.他にはないものをもとこと
2.非日常性を演出すること
3.イベントを定番化すること
<チャレンジの価値があること>
4.不動産投資信託を活用したオートモールを検討すること
5.’ついで買い’の可能性のある異業種との連携を考えること

                        <宝来(加藤)啓>



 
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