『安全技術に求められる、こまやかなセグメンテーション』
(欧州で自動車アセスメントを手掛ける EuroNCAP は、6 車種
の衝突安全試験結果を公表)
乗員保護では 6 車種中 3 車種が五つ星、チャイルド保護は 4 車種が四つ星
となった。乗員保護では 6 車種中 3 車種が五つ星、チャイルド保護は 4 車種
が四つ星となった。
<2005年 06月 28日号掲載記事>
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自動車ニュース&コラムによる内容によると、詳細な評価結果は以下のとお
りである。
<欧州衝突安全試験結果>
モデル 乗員保護 チャイルド保護 歩行者保護
Renault Clio 5 4 1
smart forfour 4 2 1
Mercedes A-Class 5 4 2
Fiat Stilo 4 4 1
Dacia Logan 3 3 1
BMW 3-Series 5 4 1
欧州では 5 段階評価であり、乗員保護、チャイルド保護の分野では、各メー
カーとも好成績を収めている。一方で、歩行者保護の成績は、各メーカーとも
芳しくなく、まだまだ未開発の領域といえる。
今回の記事は、欧州の試験結果であり、試験方法は国によって異なるため、
各国での結果は多少異なるかもしれないが、グローバルにみて、乗員保護、チ
ャイルド保護機能は、かなり高い水準まで到達しており、今後、強化が求めら
れるのは歩行者保護の分野である状況とみてよいと思う。
本コラムでは、日本の交通事故発生状況の分析から、今後の安全技術開発に
求められる方向性について考えてみたい。
【交通事故の発生状況】
「平成 17年版 交通白書」および「平成 16年中の交通事故の発生状況」から
交通事故の発生状況の特徴を筆者なりにまとめてみる。
1. 死者数は減少しているが、発生件数、負傷者数は増加している。
<交通事故発生状況の推移>
平成 12 平成 13 平成 14 平成 15 平成 16
発生件数 931,934 947,169 936,721 947,993 952,191
死者数 9,066 8,747 8,326 7,702 7,358
負傷者数 1,155,697 1,180,955 1,167,855 1,181,431 1,183,120
詳細な数値は確認できないが、死者数に関しては、絶対数だけでなく、保
有台数当たりも、走行距離当たりも減少している。
2. 65歳以上の高齢運転者による自動車事故の増加率が高い
<自動車における65歳以上の当事車両交通事故件数の推移>
平成 12 平成 13 平成 14 平成 15 平成 16
65 歳以上 64,513 70,383 75,898 81,890 87,572
増減率 109 % 108 % 107 % 107 %
高齢者の中でも特に 75 歳以上の自動車事故は、平成 6年の 4.72 倍と顕
著である。
他年齢層の実数については記載しないが、20 歳代では減少傾向にあり、30
〜 40 歳代は横ばい、50 歳〜 65 歳までは微増傾向にある。
3. 女性は歩行中の死者数が著しく高い
平成 16年中の死者数を男女別にみると、女性では歩行中が 48.2 %を占め
ている。(他状況については残念ながら記載なし)
4. 走行距離当たりの死亡事故では貨物車が多い
<1億走行キロ当たりの死亡事故件数の推移>
平成 12 平成 13 平成 14 平成 15 平成 16
乗用 0.86 0.82 0.76 0.70 0.67
貨物 0.98 0.91 0.85 0.83 0.79
全体 0.90 0.85 0.79 0.75 0.71
(全体:乗用、貨物)
【今後の安全技術に求められること】
上記にあげた特徴に対する現在の技術開発の動向と、今後の開発の方向性に
ついて考えてみる。
1. 死者数は減少しているが、発生件数、負傷者数は増加している。
車間距離維持機能、車線逸脱防止機能など各種のアクティブセーフティ技
術は、事故そのものや負傷者を減らすためのものと思われる。また、高機能
エアバッグなど死者数を減らすパッシブセーフティ技術も進化が進んでいる。
その結果として死者数の減少があげられるだろう。しかしながら発生件数、
負傷者数は増加しており、なかなか効果がでていない現実もある。今後は、
先日のトヨタの社長就任挨拶にもあるように「事故をおこさない車」、「人
を傷つけない車」といった、事故そのもの、負傷者を減らす方向性になるか
と思う。ただ、現実に、その成果が見えてくるまでの間は、負傷者を死者に
させないための技術という視点も引き続き高く持っておかければならないも
のであり、例えば、被害者救命介護機器やイマージェンシーコール装置の標
準装備化なども考えられるであろう。
2. 65歳以上の高齢運転者による自動車事故の増加率が高い
現在の安全技術の進化は、特に年齢層に特化した方向性ではないように思
われる。夜間の視野を確保するナイトビジョン機能などは、小さい画面に、
歩行者や自動車だけでなく、周囲の風景(建物、電信柱など)も 映し出さ
れる。高齢者の使用を考えると視認性を高めるどころが、かえって注意力を
散漫にさせかねない危険性もあるのではなかろうか。
そいういった意味で、例えば、65 歳以上のドライバーが乗るクルマに絞り
込んだ安全装備といった切り口が考えられる。高度な技術を搭載しているが、
シンプルなインタフェースが求められる。例えば、携帯電話でいえば「らく
らくホン」といったような最低限の機能で、シンプルな装備で、見やすく、
操作しやすくした商品が考えられる。
3. 女性は歩行中の死者数が著しく高い
女性を主な保護対象とした安全技術は、現在のところないと思われる。例
えば、身長の低い女性歩行者を発見しやすく、かつ低いポイントでの衝突を
和らげた商品の構造や装置が考えられる。
4. 走行距離当たりの死亡事故では貨物車が多い
貨物車両の代表であるトラックに搭載されている先進技術は、車線逸脱警
報装置、プリクラッシュセーフティ、夜間歩行者情報提供システムといった
ように、乗用車との違いがないようにみえる。
貨物車両の代表例として、トラックを考えてみると、乗用車と比較し、車
格や、車高など製品パッケージが大きく異なるし、運転時間も長時間となる
であろう。例えば、運転時間が長時間であり、集中力の維持が難しいという
観点から、逸脱警報や歩行者情報提供なども、より、わかりやすくするとい
ったこと(警報喚起音が大きいなど)や、営業所や配送センターでも運転状
況をモニターできる仕組みなどが考えられる。
総じていえば、投資対効果を踏まえた、年齢層、事故原因、年齢層、身体的
特徴、車種、用途といった切り口でのこまやかなセグメンテーションが、今後
の安全技術開発に求められるであろう。
<宝来(加藤)啓>
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