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本條 聡 執筆記事
 
 
 
◆アルパイン、「iPod」が接続できるカーオーディオ用アダプターを発売へ
 3月上旬にも販売開始。国内向けでは初。「KCA-420i」1万500円。

                   <2005年01月17日号掲載記事>

◆フェラーリまでも…、自動車メーカーが「iPod」接続キットを相次ぎ発表
 フェラーリ、M・ベンツ、ボルボ、アルファロメオ、日産の5社が米国で。

                   <2005年01月12日号掲載記事>

 iPod の波は自動車業界にも押し寄せてきている。

 米アップル社の iPod は、小型ハードディスクを搭載し、機種にもよるが最
大 1 万曲を保存・再生可能な携帯音楽プレイヤーである。2001年 11月の世界
同時発売以降、着実にシェアを増やしてきたが、昨年は iPod Mini 等の新製品
投入も効を奏し、一気に市場を占有するヒット商品となった。同社報道による
と、昨年一年間で 8 百万台販売し、累計販売台数も 10 百万台を超えたという。
また、2004年 1月時点では、携帯音楽プレイヤーにおける iPod の市場シェア
は 31 %であったが、2005年 1月時点では、65 %に拡大したという。

 iPod の好調を受け、米アップル社の株価も昨年来着実に上昇しており、過去
の低迷が嘘のような状態である。米調査会社によると、昨年、iPod ユーザーの
6 %が既にアップル社の PC である Mac に買い換えており、更に 7 %のユー
ザーは今後買い換えることを計画中だという結果が出ている。iPod の好調は、
アップル社に大きく貢献しており、今年もその勢いは停まらなそうである。

 iPod を始めとする携帯音楽プレイヤーの普及によって、近年、消費者の音楽
スタイルも大きく変わったことは間違いない。CD や MD を入替える必要もなく、
気に入った音楽を大量に保存・再生できるプレイヤーの出現により、音楽をよ
り手軽に持ち出すことが可能となった。こうした携帯音楽プレイヤーのユーザー
にとっては、自動車の中にも大量の音楽を持込み、自由に聞きたいというニー
ズは自然なものとも言える。

 この iPod の流行にいち早く目を付けたのが BMW である。BMW は、他社に先
駆けて車内に iPod を持ち込んだ。iPod 専用アダプタを発売し、複数の車種で
再生可能としたのに加え、ハンドルに iPod のコントロール機能を内蔵させた
車種も導入した。Mercedes Benz や Volvo も年内に iPod 対応アダプタを導入
すると発表しており、アップル社によると、Alfa Romeo、Ferrari、日産も年内
に対応アダプタを導入する計画だという。

 カーオーディオメーカーやインターフェース機器メーカーも、この流行を捉
え、昨年より順次 iPod とカーオーディオをつなぐアダプタを導入している。
今年は iPod を使用することを前提に開発されたカーオーディオも導入される
見込みであり、自動車業界でも iPod の存在感は更に大きくなると見られてい
る。

 ここで、近年のカーオーディオメーカーの製品開発を振り返ってみる。携帯
音楽プレイヤーが年々曲数の容量を拡大し、自由度を向上させてきた中で、カー
オーディオメーカーも容量拡大に取り組んできた。CD、MD では物理的なスペー
スに限界があるため、ハードディスクを搭載したカーオーディオを投入したり、
ハードディスク(HDD)ナビに音楽再生機能を搭載したりしてきた。しかし、車
内で再生するためには、CD やメモリーカード等、何らかのメディアを車内に持
ち込み、保存する必要があったため、携帯音楽プレイヤーのユーザーが面倒に
感じてしまうという課題は残っている。

 将来的にテレマティクスが社会に普及するようになれば、物理的に車内に音
楽を持ち込まなくても、自由に車内に音楽を取り込めるようになることが期待
される。しかし、同じ音楽を聴くために、家庭と車内の 2 回ダウンロードして
料金を払うのはお金が勿体無いというユーザーも出てくることも予想され、簡
単に普及するものではないかもしれない。

 こうした状況を考慮すると、iPod のような大量の容量を持つ機器が標準化す
ることは、非常に現実的な路線に思える。

 一見、iPod の勢いは、カーオーディオメーカーにとっては、これまで独占し
てきた車内の音楽機能を侵食されるようにも思える。しかし、対抗しなければ
ならない脅威というよりも、これを利用することでシェア拡大を図る可能性を
秘めた機会なのではないだろうか。

 カーオーディオメーカー各社の戦略によって異なる部分もあるだろうが、一
部の高級オーディオメーカーを除き、ほとんどのメーカーではカーナビも手掛
けている。これらのメーカーにとっては、アフターマーケットが成熟し、自動
車メーカー向け純正品は単価が低いカーオーディオよりも、高機能化により価
格が維持しやすく、市場も拡大しているカーナビの方が将来性が高いコア製品
であることは間違いない。

 一方、HDD ナビには音楽再生機能も搭載されているものも多いが、現在ハー
ドディスクが搭載されているカーナビは、各社のハイエンド機種が中心である。
販売価格や DVD の再生機能も考慮すると、DVD ナビも依然として大きなシェア
を占めており、HDD ナビだけを中心に商品開発を考えるわけにはいかない。

 そこで、敢えて iPod を受け入れることで、音楽機能を切り離すことにより、
iPod の勢いに乗り、カーナビやコントロールユニットのシェア拡大を図る方が、
大量のリソースを注ぎ込んで対抗し、音楽機能の死守に努めるよりも得策では
なかろうか。iPod が自動車業界でもスタンダードなものとなれば、多種多様な
機器との接続を想定する必要もなくなり、製品開発コストの低減も期待できる
はずであり、より付加価値の高いカーナビや次世代端末の開発に注力できるは
ずである。

 カーオーディオ業界にとって、今年は大きな転換の年となるかもしれない。

                        <本條 聡>

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