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長谷川 博史 執筆記事
 
 
 
『構造的分析に基づく効果的な行動の重要性』

◆車のホイールカバーに付ける広告をガソリンスタンドでも販売。パスボード
 これまで広告代理店を通じて広告主を募ってきたが、中小企業などの開拓へ

                   <2005年08月17日号掲載記事>

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 例えば、今日の記事に類似するような事業を展開しているベンチャーが存在
したとして、先ず最初にその成長可能性を定義する条件は何であろうか?

 そう、それは対象としている市場規模である。


【市場規模】

 市場規模とは、全ての市場参画者による商品・サービス売上のΣであるが、
注意すべきは、そもそも商品やサービスそのものを購入したいと思う人の
数x単価とそれは必ずしもイコールではないということである。 

 例えば、掲題の記事の場合、パスボードを購入したいと思う人数そのものは、
考え方によっては無限であろう。海外でも欲しいという人もいるかもしれない
し、xx卸売業者・問屋が纏めてyy個購入してくれるかもしれない。

 ただ、よく考えてみると、当該商品がクルマのホイールカバーに取り付ける
類のものであることから、1 番確実なのは日本の自動車保有台数x 4 というの
が今の時点の「最大市場規模」であろう(国内市場)。
 
 日本に走っている自動車の数は、78 百万台。
 つまり、78 百万台x 4=312 百万個が最大の販売個数であろう。


【セグメント規模】

 一方、実際には商品の性質や流通チャネル・地理的制約、人的ネットワーク
や資金的な制約などから、312 百万個の販売を実現する為に、限られた経営資
源を薄く広く展開するのは、乾いた砂に水を撒くような結果を齎してしまう。

 よって、何らかの基準(上に述べた制約条件などがこれら基準になることが
多い)を元に、市場全体をセグメント化したうえで、どのセグメントから資源投
入を集中的に行っていくかを考えることが肝要だ。

 例えば、地域的な基準を用いるのであれば、筆者が在住する関東地方の自動
車保有台数は、22 百万台となっている。

 これと資金面からの制約(手元流動性や資本・負債の形での調達能力)や流
通チャネル上の制約(直販は取り付けが必要という商品の性質上難しいが、一
般整備工場は xx の理由から難しく、正規ディーラーも yy の理由から難しい
など)を掛け合わせたうえで、はたして同セグメントへの資源投入が正しいの
かという判断が初めて出来るようになる。逆に言えば、そうした各種条件が揃
った時点で初めて、「対象セグメントの規模」の特定が可能になるといっても
過言ではないだろう。
更に、同セグメントへの競合他社の参入動向と強み弱みといったものも分析
したうえで、果たして同セグメントでの競争戦略が妥当であるかを判断する
といったことが必要である。

 例えば、今日取り上げた記事の会社であるパスボードはこれまで広告代理店
を通じて広告主を募ってきたが、SS を拠点に中小企業などへの顧客層拡大をめ
ざしているとのこと。即ち、セグメントの再定義を行いつつあるということだ。


【セグメント分析の重要性】

 例えば、セグメント分析といったような基本的な考え方をベースに置かない
と、闇雲な営業が、爆撃機や爆弾といった資源が不足しているにも関わらず、
絨毯爆撃をする結果となってしまい、結果が中々出ないことに繋がりかねない。

 以前の筆者コラムである、

http://www.sc-abeam.com/mailmagazine/hase/hase0020-1.html

に、ベンチャー企業が経済全体の中で求められる役割を述べさせて戴いた。

 このコラムでは、企業が売上高を増やす手法として「既存」と「新規」という
キーワードを用いると、

1)既存市場における、シェアを上げることによる売上増
2)今まで存在しなかった新しい市場における、新しい価値の創造

となるが、このうち 2)については、「今まで存在しなかった新しい市場」で
あるが故に、初めて挑戦するプレーヤーが「市場そのものを創造」する必要が
あり、そこには定石も必勝パターンも存在しなければ、リスク総額を定量的に
計測する手法も存在しない、と書かせてもらった。

 しかし、こうした新商品・新サービスを提供する企業であっても、少なくと
もその商品が搭載されるプラットフォームの数などを元に、セグメント切りと、
それぞれのセグメントの規模・参入戦略の類推は可能なはずである。

 今まで存在しなかった新市場における新しい価値創造の担い手となるべく、
常に挑戦者であり続ける役割を果たす為には、こうした当たり前の分析を当た
り前に行う必要がある。


【大切なこと】

 最近でこそ、雑誌などの媒体で所謂 理論はベンチャー企業経営者の存在が取
り上げられることがあるが、実際にはこうした体系だった経営学などを学んだ
後での起業というのはほんの一握りである。

 一方、理論そのものが収益を生むことはなく、構造的な考え方により「事象
の整理が巧くなり対応策が考えやすくなる」といった効果はあっても、情熱的
に個別の顧客開拓を足で稼ぐ行為が合わさらなければ、売上は上がらないのも
事実である。

 しかし、筆者が今まで見させて戴いた理想に燃える新事業の事業計画などで
は熱意は良いのだが、こうした基本的な分析が疎かになっている場合が多い。

 ベンチャー企業経営者や第二創業時の中小企業経営者にとって、経営資源の
提供者である従業員や金融機関・投資家などに対して「構造的な分析」に基づ
く、自社にとって効果の上がる「積極的行動」をしていることを説明出来ない
と、利害関係者からの協力が得られず、経営資源そのものが枯渇しかねない。

 弊社では、こうした「構造的な分析」と「効果的な行動」の両面に対するサ
ポートプログラムを各種用意している。


                        <長谷川 博史>




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