◆新型のナンバープレート封印、「自己破壊型」に
勝手に取り外すと道路運送車両法違反で6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金
◆国交省、ナンバープレートの封印、9月から新型(自己破壊型)を導入へ
封印が抜き取られ悪用されているという問題に対応するため、封印を抜け
にくくするとともに、無理に抜こうとすると封印上部が円形に切り取られ
再使用ができなくなるよう封印の仕様を変更。9月から新型に切り替えへ
<2004年09月29日号掲載記事>
自動車を登録する際に、書類上・プレート上の情報と車両とを結びつける役
割をする「封印※」に新型が導入されることになった。
曰く、「自己破壊型」になるとのこと。
※封印とは、自動車を購入し陸運支局で登録を行う際にナンバープレートを
車両に固定するネジの上を覆うアルミ製のビールの王冠のようなものであ
る。
実は、これまでの封印も本来は無理に外そうとすると破壊されるはずであっ
たが、記事によると「国土交通省が警察などの情報をもとに、これまでの封印
を調べたところ、特殊な工具を使うと、傷つけずに封印の取り外しが可能なこ
とが分かった。このため新型の封印は素材などは同じだが、先端の部分を工夫
して、引き抜こうとすると壊れてしまう自己破壊型に変えた」とのことだ。
さて、この封印。
記事によると、ナンバープレートを付け替えた盗難車による犯罪が増えてい
ることから、国土交通省はプレートを外そうとすると封印が壊れる仕組みに切
り替えることにしたとのことだ。
即ち、国交省による問題解決を
1.状況把握(事実認識)
2.意味合い抽出
3.対処方法
という 3 つの方法で整理すると、
1.状況把握(事実認識)
プレート付け替え盗難車による犯罪が増えている。
2.意味合い抽出
プレートの付け替えが簡単だから、盗難車による犯罪が増えている。
3.対処方法
プレート付け替えを難しくしよう。具体的には封印を改良しよう。
という 3 つに分けられるだろう。
さて、これは本当に効果的な対処方法であろうか?
状況は事実であっても、意味合いの抽出が間違ってしまうと異なる対処策を
講じてしまい、結果効果が無いことになる。
実は、何らかの事実から意味合いを抽出する作業。これが何らかの問題を解
決しようとする際に、一番頭を使い且つトライアンドエラーが必要な作業であ
る。
その意味で、上の意味合い抽出内容は一つの考え方ではあるが、必ずしも完
璧な回答でもないだろう。
例えば、他人の車を犯罪に使おうとする人間を仮に計画的犯罪者と衝動的犯
罪者に分けたとすると、前者であれば封印くらいはしっかり模造するであろう。
自分の車に付いている封印を見る限り、模造が難しいものでは無さそうだ。
一方、後者であればナンバープレートなど気にせず他人の車を奪って犯罪に至る
であろう。
それでは、封印そのもののが存在する目的はどこにあるのだろうか?
目的は、必ずしも防犯だけではなさそうだ。
そもそも米国などの場合は、封印そのものが存在せず、ナンバープレートは
郵送で自宅に届く(だから盗難車による犯罪が多発している、という反論もあ
りそうだが)。
実は、封印を実施することが可能な権利を業界では「封印権」と呼び、限ら
れた公的機関及びそれに準じて同権利を付与された団体などのみがこれを実施
することが可能になっている。
自動車の登録には納税や保険、その他諸々の手続きが付帯する為、こうした
権利は一部の団体にとっては重要な権利であろう。
しかし、筆者が今年 3月にコラムにおいて電子政府における自動車登録各種
手続きの「ワンストップサービス」化における問題点として述べた通り、一般
個人が購入車両の登録手続きをインターネットを通じて行おうとする際に、
「封印作業」はボトルネックとして引き続き残る。
(↓ワンストップサービスに関するバックナンバー、こちらを参照迄↓)
http://www.sc-abeam.com/library/hase/0008.html
防犯そのものは重要である為、その対応策としての封印強化は大いに実施す
るべきであろう。しかし、この封印作業を残すことによりユーザーが電子政府
を利用する際の利便性が低下するのであれば、内容の見直しも必要であろう。
また、本日のコラム(このコラムの上)で弊加藤が「中古車の先物取引市場
の成立の可能性」について論を述べているが、同様の市場が整備される為には
中古車が商品として自由に売買され、その使用価値が大きなコストや手間を伴
わずに確実に担保されるようなインフラが必須である。
業界的としても、税収を期待したい政府としても、自由市場での商品売買の
活性化に伴う市場の成長は歓迎なはずである。
問題はこの封印のみにあるわけではないが、防犯はしっかり実現しながらも
登録のために自動車を必ず指定の場所に持ち込む必要がある現在の制度の再考
を検討してみてはどうだろうか。
<長谷川 博史> |