住商アビーム自動車総合研究所 SC-ABeam Automotive Consulting お問合せ地図 サイトマップ English


住商アビーム自動車総合研究所
ホーム
私たちについて
サービス概要
自動車業界の皆様へ
自動車業界以外の皆様へ
ネットワーク
プレスリリース
メールマガジン
ライブラリー
会社概要/スタッフ紹介
お問合せ
 
メールマガジン
長谷川 博史 執筆記事
 
 
 
エンジニアや、普段「数字」にあまり触れる機会の無い方、
若しくは「数字」には触れているものの、それらの意味合いについて
あまり考える機会の無かった方に、なるべく分かり易く「価値を生み出す」
という行為がどのように数字に置き換えられているかという、基本的な
考え方を紹介したいと思います。気楽に書きますので、気楽にどうぞ。

第4回: 「売上を増やすには、もっと与えなさい!?

今回は、「売上を増やすには、もっと与えなさい!?」です。
顧客が期待しているレベルを遥かに超えたモノ・サービスを提供する
ことで、初めて所謂「売上」が計上される、ということを説明したい
と思います。

<利潤分配の順番>

 突然ですが、企業が得た利潤を分配する順序は?と聞かれたら
どう答えますか?

(1)貸借対照表を元に考えた場合

   貸借対照表=バランスシートというのを見たことがある人も居る
   かと思います。これの右側(貸方)を見ると、企業が調達した資金を
   返済する順番は、負債、即ち貸し手への返済が最初で、資本の部、
   即ち株主への返済が次というのが分かります(優先、劣後など
   という言葉を使ったりする)。勿論、厳密には担保権の設定や、
   劣後債、優先株などの存在などにより、更に細かく規定されて
   います。

(2)損益計算書・P/Lを元に考えた場合

   今度はP/Lを思い出してください。
   「利潤の分配順序」というと分かりにくいので、「企業が関わる
   経済活動に伴い、現金の分配はどういう順番で行われるか」という
   観点で考えてください。
   勘定科目を上から単純に読んでいけばいいですね。
   勘定及び分配は下のような順番になっているのが分かるはずです。

   1)売上原価
     まず企業がモノなどを仕入れた際に、現金を「仕入先」に分配。
   2)販売費
     次に、販売に付帯する各種費用を「取引先」に支払います。
     例えば、広告宣伝費等。
   3)管理費(主に人件費)
     次に、給与、賞与などの形で「従業員」に分配します。
   4)支払金利
     更に、金利の形で、「銀行等」に分配します。
   5)法人税等
     その後、税金の形で「政府」に分配します。
    6)当期利益を元に利益処分→配当
     最後に当期利益に基づき利益処分案を策定。
     結果、配当という形で「株主」に分配

   1)〜6)の分配先は、俗にステークホルダーと言われます。

<株主重視思想>
 最近流行りの「株主重視思想(株主至上主義)」というのを聞かれた
ことのある方は多いでしょう。これは、「株主が資金提供者として
企業の究極の所有者であり、資金提供が企業の出発点であること」
を前提に展開されている主張ですが、実はもう一つ、「株主を重視
すべきだ」と主張する理由があります。

 どういうことかというと、客も従業員も取引先も銀行も、商品市場、
労働市場、金融市場のなかで、それぞれ納得して商品を買ったり、
その賃金で雇われたり、金を貸したりしていて、市場取引の結果
として、それなりに満足をしている。しかし、上の分配の順番にある通り、
株主は他のステークホルダーに分配した後、即ちみんながとった後の、
残りかすしかもらえない。

 じゃあ、株主がハッピーになるように企業は行動するのがいいよね、
というのが株主重視経営です。

 もう少しかっこよく言えば、最終的なリターンを受け取る株主を満足
させるだけのリターンを確保すれば、結果としてその他の利害関係者
(ステークホルダー)をも満足させることになる、ということ。

<それでは、一番最初に分配しないといけないのは?>

 企業が最初に利潤を分配するべきステークホルダーとして、

・B/Sで考えれば、負債が最初
・P/Lで考えると、仕入先が最初*
・株主重視主義で考えると、株主が一番最初(と考えることで、全体が
 最適化される)

という3つを上で述べてきましたが、本当に一番最初に分配するべき
相手を忘れていませんでしょうか?

 P/Lを元に考えた時、一番上に来る勘定はなんでしょうか?
 そう、それは、売上高です。

 そして、そのタイミングで利潤を分配すべき相手は「顧客」です。

  *ステークホルダー内で、より従業員を重視すべきである、などの
   考え方が存在するのは事実であるが、今回その細部にまで
   踏み込むことはしない)。

<売上高の計算方法>

 企業にとって利益を上げることは大きな目的ですが、その大前提は
売上高です。売上がゼロの会社で黒字というのは基本的には
存在しません(勿論、会計上の勘定科目が受取利息や
受取手数料などの場合もあるが、ここではこれらも広義に売上と
考えてください)。

 さて、この売上高というシロモノ。モノを販売したり、サービスを
提供したりすることに伴い計上され、通常はモノやサービスの
価格を販売数量で乗じたものから値引き金額を差し引いたもの
として計算されます。

 この計算方法は会計的に当然正しいものの、根源的には違った
ではない)。

 即ち、あなたの販売しているものはその「モノなりサービスそのもの」
ですか?それともその「モノなりサービスの持つ価値」ですか?
ということ。

 自動車を製造して販売している、所謂自動車メーカーは何を販売
しているのか?そう、自動車を販売している、というのが前述の

 車両価格x販売数量−値引き額

 という通常のコンセプト。

 一方、自動車に乗って得られる楽しみ、遠くに速く移動出来る
便利さ、こういったものに対してお客さんがお金を払うというのが
所謂「価値に対してお金払っている」というコンセプト。
なんだか、第1回〜3回で話してきたことに似てますね。

 根源的には後者のほうが正しい。
(価値というと、非常に曖昧且つ実態の無いもののように思えるが、
モノやサービスを受け取ることを通じて得られる便益や効用
というふうに考えてください)。

<なぜ企業は、売上高計上時に、「顧客」に分配しているのか>

 では、顧客は販売者から提供してもらった価値と比較して、

 1. 得た価値と同等のお金を払う
 2. 得た価値より多くのお金を払う
 3. 得た価値よりも少ないお金を払う

の内、どの行動を取るでしょうか。

 そう、当然人はモノなりサービスに伴う効用を一番安く買えるに
越したことはないので、?の「得た価値よりも少ないお金を払う」
という行動を合理的に選択すると考えられます。

 即ち、自動車製造販売会社の売上高として計上されている金額は、
会計的、表面的には

 車両価格x販売数量−値引き額

で計算されますが、根源的には、

 顧客が得た価値−値引き額*

で計算できます

  *(値引き額とは、顧客が「得た価値よりこれだけ安ければ買うな」
   と感じる金額)

 視点を変えて販売者の側から見ると、総売上高が顧客に与えた
価値であり、一旦この価値相当額を顧客から受け取った後に、
「値引き金額を顧客に還元」した結果、純売上高となります。

 即ち、損益計算書で言えば一番上に位置する「売上高」を計上する
タイミングで企業は「顧客に対して」利潤を分配している、ということ。

 売上高を計上する為には、与えた価値が実際に得られる貨幣換算
された「お金の金額」よりも大きくなければならないわけです。

<「売上を増やすには、もっと与えなさい!?」>

 ギブアンドテークという言葉がある。
ギブする(与える)価値とテークする(得られる)価値と同等で有る場合
成り立つわけだが、商売では正に「与える」ものの価値のほうが
「得られる」価値よりも多くなければ売上は計上出来ない。

 商売とは戦闘であり戦争である・得るもののほうが与えるものよりも
多くないと儲からないと考えがちだが、根源的には売上を増やすには
「より多くを顧客に与えよう」とするマインドと行為が先ずは重要
なのである。

 言い換えれば、第3回で述べた通り「顧客が期待しているレベルを
遥かに超えたモノ・サービスを提供することで、初めて所謂「売上」が
計上される」、ということになる。

<次回の予告>
第5回、最終回は、「原価って!?」です。


                        <長谷川 博史>

続きはこちら>>

メールマガジントップへ
 
 
ディスクレイマー 2004 SC-ABeam Automotive Consulting All Rights Reserved